よくわからん奴と食人鬼
「おやおや、わざわざ迎えに来てくださいましたか。感動しました。貴女がその様な事をなさるとは、いやはや……」
「正直、私はどっちでも良かったのだが。佐藤が行けと」
「ああそうですか。それにしても、貴女は非常に美しい。美し過ぎて逆に気持ち悪い。吐き気がする」
「そうかい?君以外にそのような事を口にする輩はいないがね」
「不気味の域に達してますよ、本当に」
「わざわざ忠告有り難う」
「あ、そう言えば、佐藤君はどの様な事を」
「行け」
「疑うようで申し訳ない。たったそれだけでしょうか?」
「ああ、それだけだよ」
「……ま、シンプルで良い、か?」
「なにをブツブツと」
「いや、佐藤君がいつも通りで何よりだと」
「君はいつもより、毒が少ない」
「ああ、もしかして罵られたいのでしょうか?醜悪な趣味ですね」
「いいや、只そのぐらいで無いと、尻の座りが悪い」
「貴女も、そんな感覚を持ち合わせていたのですね……」
「どうやら、本当におかしいようだ。増して君らしくない」
「今日は特別ですから」
「特別?ああ、そう言えば今日は聖夜祭か……。もしや、君は佐藤に」
「貴女も、居心地の悪さを感じる脳があるなら察してください」
「……。悪かった。エスコートしてくれたまえ」
「だから、それが……。まぁ、いい。僕もいつも通りで行きましょう」
「それがいいと思うね。常以上に特別な物は無いのだから」