狼と吸血鬼
「誰?」
「未来で君の彼氏になる者」
「言ってる意味が、わからない」
「いずれ、分かるさ」
「なんか、ムカツク」
「久しぶりに聞いたよソレ。最近言ってくれなくて、寂しかったんだ」
「わたし、はじめて言った」
「君は、そうだろう。だけど自分は飽きるほど聞いてる」
「未来人?」
「どうだろう。この世界の未来では無いけれど、確かに未来から来た」
「この設定、面白い?」
「二人で居るのが嫌?」
「聞き方がずるい」
「自分が狡いのは、君も知ってる事だろう」
「バカ」
「知ってる」
「マヌケ」
「知ってる」
「大好き」
「知ってる」
「やっぱ、ムカツク」
「君に言われたくないよ」
「このまま、三分だけこのまま居てくれたら許す」
「じゃあ、許されなくてもいい。自分はずーっと一緒に居る」
「うそつき」
「その通り」
「許さない」
「自分も君の事を許さないよ」
「会った時と、変わらない」
「ずーっと一緒だ。あれ?本当じゃん」
「うそつきじゃないの?」
「嘘吐きじゃないなら、君は自分を許してくれる事になる。そしたら、一緒に居られなくなる。すると、また嘘になるから、一緒に居られる」
「変わらない」
「思えば、自分と君、この二人の関係の本質自体がそんな感じだったかも知れない」
「ようするに、一緒?」
「そう。一緒」