11/11
夜の蜘蛛と、朝の蜘蛛
「何か言った方が良いか、な?」
「言いたいなら言えば」
「怒ってる?」
「えへ、やだな。私、全然ご機嫌なんだけど」
「その全然の使い方…いや、いいや。俺たちって、どうやって喋ってたかな」
「覚えてないや、あは、は」
「かなり、かなりって感じだ」
「そうだね、分かるよ」
「分かるかよ」
「じゃ、分からない」
「テキトーだな、おい」
「はは」
「……そうだった、俺たちはこんなにも半端だったんだ」
「そうだね、そうだったね」
「そうじゃなかったかもしれないけどな」
「そんな事、どーだって良いでしょ。誰も何もしようとしなかったんだ」
「そうだな、」
「何も……」
「ごめん、な」
「何を、今更」
「俺が、間違ってました、ごめん。それぐらいは言っておこうと思って」
「中途半端だなぁ」
「ほんとに、どうしようも、ないな。俺たち」




