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○とバリエーションが少ない人
「あーあ」
「どうした、潰されたヒキガエルみたいな顔してるぞ」
「バリエーションに富みたい」
「バリエーション?おう、好きなだけ富めよ」
「ほら、自分、他人に対する受け答えのパターンが二種類ぐらいしか、ない」
「例えば?」
「うーん」
「もう一つ宜しく」
「うん」
「お前、それ、実質一種類だろ。発音が伸びてるだけじゃあねえか」
「うーん?」
「止めろ」
「うん?」
「止めろって、言ってんだろ!」
「御免なさい」
「よろしい。しかし、ほら、アレだ。もっとはっきり答えられたら良いんじゃね」
「例えばどのような形式で?」
「イエス、ノー。これに尽きる」
「うん」
「だから、止めろって」
「ノー」
「悪かったよ、俺が」
「うん」




