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聖女の奇跡が止まった日  作者: あめとおと


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聖女の奇跡が止まった日

 聖女の祈りは、奇跡と呼ばれていた。

 病は癒え、作物は実り、人々は救われた――ことになっている。


 その裏で、帳簿はずっと赤字だった。


 無計画な施し。

 感情だけの救済。

 「祈ればなんとかなる」という、無責任な楽観。


 それを現実に引き戻していたのが、

 私――“悪役令嬢”だった。


 数字を合わせ、怒りを引き受け、

 理想の後始末をする役目。


 だから、嫌われた。


 そして私が追放された日。

 聖女は、いつも通り微笑んで祈った。


 ――奇跡は、起きなかった。


 人々は慌て、王は顔を青くし、

 聖女は初めて、自分が「祈るだけの存在」だと知る。


 誰かが、ぽつりと呟いた。


「……奇跡って、あの人が支えてたんじゃないか?」


 答えは、もう戻らない。


 祈りは無料だ。

 現実には、代償が必要だった。


 それを払っていた人間は、

 もう、この国にはいない。


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