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幕間第3話 傀儡

幕間第三話!

ぜひお楽しみください!

 「なぁ、本当に一緒にテトリアへ行かんのか?」夫のアルヴァンがおどおどしながら聞いてくる。 「えぇ、2人で行ったら国の収拾がつかないでしょう。 私は残りますから、いい関係が結べるようにしっかりと頑張ってください。」 いろいろな感情を押し殺しながら、微笑んで答えた。 「うむ… では行ってくる…」 アルヴァンはそれでも国を任せる不安、一緒に行かない不満を見せながら、微妙な表情をしてテトリアへ向かっていった。


 そこからしばらくは、いなくなったアルヴァンの代わりに悪くない政治ができたと思う。 フェルディンは2人で作り上げたため、多少は知識もある。 しかし、民の声を聴いている中で、「本当にグラン=セプトとの関係を切ってしまってよかったのだろうか…」という声がよく聞こえる。 それは私も思う。 確かにアルヴァンからこの動きについての説明はあった。 しかし、それは説明、というより有無を言わせぬ規定事項のようなもので、こちらが口をはさむ余地はなかった。 確かにテトリアという国はほかの国とも結び、かなりの勢いを持つという。 しかし、それでも最大勢力グラン=セプトと組み続ける方がいいのではないか、何より息子の国を裏切るのか。 言いたいことは山ほどあったが、言わせてもらえず、悶々として国にいた。 私も兵士と同じ考えであるが、国を任された立場として、それを野放しにしておくことも、焚きつけることもできない。 民全体へ、「このことはアルヴァンがしっかり吟味してのことですから、信じていなさい。」 もやもやしつつ、このように軽くたしなめるしかできなかった。



  アルヴァンが兵を出して進軍した時だった。 とある国から使者が来た。 兵士に尋ねたら、グラン=セプトから使者が来たという。 心臓が飛び跳ねる思いがした。 ドキドキしながら自分の前に通す。 顔をあげさせると、兵士の姿こそしているが、紛れもなく息子であるノインであった。 「どうしたのです!?」 慌てて問いただした。 「母上、私たちを裏切るのですか?」目の前に来たノインは開口一番そう糾弾した。 「いや、それはアルヴァンが勝手に決めたことで…!」と慌てて弁解する。 グラン=セプトの勢力に敵対するのは得策ではないし、何より息子を相手にはしたくない。 そのような狼狽を見て、ノインは「では母上… こうしていただけますか?」とアルヴァンへ向けて兵を動かすことを提案してきた。 これも大罪である。 夫と息子、慎重に天秤にかけた。 そうしてしばらく考えた後、恐る恐るその提案に頷いた。


 私は兵を指揮するのは初めてである。 しかし、そこはノインがフォローしてくれるという。 わからないなりに兵を説得し、アルヴァンの軍へ向かった。 戦場はどこも混乱している。 当然だろう。 私は自分の混乱や戸惑いが現れないように、極力気丈に振舞った。


 結果は惨敗。 あっという間に制圧されてしまった。 アルヴァンを捕えるように指示をした。 しかし、側近であろう二人に素早くこちらが捕えられてしまった。 牢獄へ入れられる。 私はもうこれで終わりだろう。


 「では大人しくここにいるように…」とアルヴァンが青い顔をして伝えてきた。 まだこの事態が呑み込めていないのだろう。 しかし、その状態の彼を見て後ろめたさは沸いてこない。 驚くほど冷めていた。 今頃は自分の処遇を決めているころだろう。 どのような処遇になるだろうか。 そのようなことを考えていた時、急に牢獄の鍵が開いた。 

 

 外を見ると、そこには自分をそそのかした息子が立っていた。 周りには警備をしていたであろう兵士の残骸。 「母上、迎えに上がりました。」そう言ってノインは笑顔を見せる。 あぁ、私が真についていくべきは彼だ…との思いが私を支配し、ノインの伸ばした手をつかみ、牢の外、グラン=セプトへと私は向かった… 

 

ありがとうございました!

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