夜翼竜ノクス
黒歴史の癖に筆が進む。
なんで?
あと今日から毎日投稿するかも
突如、月が雲に隠れた瞬間、空の闇が形を持った。
――夜翼竜ノクスが、静かに翼を広げる。
「りゅ…竜?鑑定は⁈」
鑑定
〈夜翼竜ノクス〉
【災害級の魔物。夜を支配する竜の一角。それが作る夜は誰一人逃がさない。】
「夜翼竜ノクス・・・」
体長は象ほどの大きさ。
翼を広げると、夜空を切り取ったような大きさにかわる。
輪郭が常に揺らぎ、はっきり視認できない。何なら見続けるほど焦点が合わなくなる。
目をこすると姿が見えない。
見えていると思った瞬間、それはただの夜空だったと気づく。
羽音がしない。
「「「――ザッ」」」
それは斬撃音ではなかった。
夜が、人の身体をなぞっただけの音だった。
気づいた瞬間にはもう遅く、夜翼竜ノクスの影が頭上を覆い、次の刹那、衝撃が全身を打ち抜いた。
下を見ると自分の左腕が落ちていた。
「あああああああああぁぁぁっ!!」
―――傷口から血が噴き出す
―――痛みより先に、体温が奪われる感覚
―――傷口よりも、周囲の音が遠ざかる
―――自分の悲鳴が、途中で途切れて聞こえなくなる
―――後から来る猛烈な痛み
―――痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
声が上がった。
だが、不思議と周りの音が聞こえない。とゆうか、耳が痛くて何も聞こえない。
理由は簡単だ、俺の絶叫が鼓膜を破ったからだ。
おかげで、両耳から血が流れてくる。
絶叫が夜翼竜ノクスの作った夜に包まれる。
その瞬間、小さく震える息に変わった。
俺は何もできない。グロウルベアの時は何とかなったが・・・
クソが!あれは化け物だ。
今の俺は勝てっこない・・・
助けを呼ぶしかない。
「誰か―――――――助けて―――――――――ください!」
誰も返事しない。当たり前だ。俺はもうすでに奴の夜に飲まれてる。助からない。
涙が勝手に溢れ、歯が震え、呼吸は浅く速くなる。死ぬ、という感覚が、はっきりと近づいてくる。
「ここで終わりかよ・・・」
夜翼竜ノクスの爪が来る。
闇の中で、意識が途切れかけた、その瞬間。
「パリィ!」
かすれた声が、喉から絞り出される。
夜翼竜ノクスの爪をはじいた。
おそらくここで俺は死ぬだろう。いや死ぬのは確定だ。でもおとなしく死ぬのはごめんだ。俺は往生際が悪いのが長所でもあり、短所でもあるからな。だから・・・
「俺が死ぬまでお前の遊び相手になってやる!」
歯を食いしばり、膝を突くようにして立ち上がる。
足は震え、今にも崩れそうなのに、無理やり前に出る。
奴の爪をぎりぎりで避けて、すぐさま俺は奴の懐に潜り込んだ。
「破嵐斬!」
いい感じに入ったと思ったらうろこに傷が入っただけだった。でもこうやって傷を与え続けたらティオさんたちが討伐しやすくなるだろうし、時間稼ぎになってくれるかもしれない。
俺はすぐさま後ろに下がり、
「蒼閃!」
蒼閃の斬撃を目に直接あたるように狙って打った。
が、それはすぐにいなされた。奴の爪攻撃が飛んでくる。
俺は、ふらつきながらも構え直す。
「俺がただ助けを求める子供と思ったか?ハハッ、残念!俺は往生際が悪い子供なんだよ!パリィ!」
今回もうまくはじくことができた。
だが、武器がどれくらいまで使えるかわかんねぇ。
息が切れ、肺が焼けるように痛い。
視界の端が暗くなっていく。
「あれ⁈どこ行った⁈」
目を離したすきにどこかえ消えた。でもあの竜が見逃してくれるわけない。いやな予感がする。
まさか・・・
「上かよ!」
気づいた時にはもう遅く、夜が降ってきて左足がつぶされていた。
「ッ⁈」
左足から血が大量に噴射される。
足からの猛烈な痛みに声にならない悲鳴を再び上げる。
でも何故、俺を殺さない?
そうか、お前俺をなめてるのか?そりゃそうだな。じゃなきゃ、俺の悪あがきに付き合ってくれないからな。暇つぶしに遊んでいるかもしれんが・・・
いきなり俺を咥えた。俺を食うつもりらしい。
あきらめて目をつぶることにした。
そろそろ限界か・・・
頭がぼーとする・・・
体も動かない・・・
もう痛みを感じなくなってる・・・
舌の生暖かい感覚を少し感じる・・・
「クソッ…」
俺はそのまま胃の中に運ばれていくのだと悟った。
結局何も分からないまま終わるのか。
アルス家も、前世の記憶も、自分が何者かも、全部うやむやのままで。
それだけが、悔しかった。
が、違った。
「・・・よく頑張ったね。あとは私に任せて。」
誰の声かと目を開けると一人の女性がいた。
艶のない漆黒の短髪。
瞳の色は茶色に近かった。
服装は白のロングコートを羽織ってた。ただ、背中にある赤色の十字がすごくめだってる。
コートの内側も白色の軍服を着ている。胸ポケットにも赤の十字が縫ってある。
ズボンは白のスリムなズボン。
腰には細身の長剣。
靴は黒革のロングブーツをはいていた。
俺はその人の顔を見上げた。
その顔は目つきが悪くても、美しく優しい顔をしていた。
だけど、後ろの竜の姿を見た途端無表情ですごく冷たい顔をしていた。
「安心して。すぐに終わる。」
竜の爪が彼女に襲い掛かる・・・がいつの間にか剣を抜いていて、竜の手をぶった切った。
竜は負けじと、もう片方の手で攻撃をしたがその手も豆腐のように切った。
そのまま、竜は抵抗できない状態で両足も切断した。
最初あんなに真っ白だった服も今は竜の返り血で赤く染まっていた。
「「「グォォ……ォ……ッ!!」」」
「うるさい。」
そう言い残した後、竜の首を切り落とした。
首から竜の血が噴き出し雨として降り注ぐ。
彼女は一瞬で災害級の竜を討伐したのだ。しかも単独で。
「あなたは・・・一体・・・何者?」
「私?私は通りすがりの騎士よ。そんなことよりひどい怪我ね。すぐに治すね。」
―――――――――――――神聖魔法・神命再生―――――――――――――
潰れた足や切断された腕がすぐに再生した。疲労感で瞼が重い・・・
彼女は竜を見て何か気が付いたようだ。そのあと俺のほうを見て少し微笑んだ。
俺はそのまま寝てしまった。その時一瞬何かが聞こえた。
———代行思考機構・獲得———
次の日、俺はテントの中で寝ていた。あたりを見渡しても昨日いた女性はいなかった。その代わり、昨日俺を殺しかけた竜と一枚の書置きが置いてあった。
そこにはこう書かれていた。
《いつか君が私と同じくらいの強さになれるのを期待しているよ。》
「・・・じゃあなんでこの竜置いてってんのよ。」




