禍兎
ストックはまだあるから何とかなってるけど、筆が進まなくなっていく。構図は完全に決めたのに・・・
後、昨日は色々忙しかったので投稿できませんでした。今日は夕方にもう1話投稿します(予定)
「それで、記憶封印って何なんですか?」
俺はそう問いかけ、出された緑茶を一口飲んだ。
「う~ん・・・それが1割しか分かっていないんですよね」
「じゃあ何で呼んだんですか?」
俺はキレ気味に聞いた。
「その1割がとても重要なことだからさ」
「ふ〜ん。それで、その1割の情報教えてくれるの?」
「もちろん教えますよ。記憶封印を所持している者は例外なく転生者しかいません。そして、封印されるものはどれも生前の記憶の重要な物のみ」
「あの、封印を解除する方法はあるんですか?」
「今の所、一つだけです。レベルを上げることです」
「具体的にどれくらい必要なんだ?」
「大体、150は必要ですね」
に・・・150だと!
そりゃ、解放されないわけだ。100レベになってから、剣や魔法の訓練だけでは全然上がらなくなったからな。実践を積みまくらないといけないかもな。
「あ、レベルに関してはギルドで稼いだ方がいいと思うぜ」
「そうなんだな。やっぱ依頼か・・・とゆうか、転生者ってどんだけいるんだ?」
「僕が会ったことのある転生者は君を入れて二人だね」
「一人しか会ったことがないのか・・・」
「実際、僕も転移者だし相当人数が少ないんだろうね」
「そのもう一人の転生者が、さっき話してた別のジ○ジ○ラーだったわけか。んで、その人は今どうなっている?」
そう聞いた途端、クロカワは悲しみを帯びた声で話し始めた。
「・・・魔物との戦闘で戦死しました・・・僕はあの時居合わせたんですが・・・何もできなかった・・・」
「・・・そうか。聞いて悪かったな」
「いやいや別に良いよ。10年前に起こったことだから」
「ん?10年前?お前何歳なんだよ」
「27歳」
「マジかよ」
とゆうことは此奴、高校生ぐらいの年齢でここに飛ばされたのか。
とゆうか、ルグとは違って顔や身体は成長していないように見えるが・・・
「なあ、クロカワはなんで身体が成長していないんだ?」
「そのまま、成長が止まったんだよ!!!」
「あら可哀想w」
「笑うな!」
「なあ、関係ない話なんだけど、ルーベルトとルグのこと知ってる?」
「ルグは知ってるよ。彼が近くの森で彷徨っていたところを保護し、育てた。それ以外のことはわからん。だが、ルーベルト・・・なあ、本名分かる?」
「ルーベルト・フォン・アルヴィスだった気がする」
その名を言った瞬間、クロカワは驚愕した顔で目を見開き俺の方を向いた。
「アルヴィス・・・生き残りがいたのか!?」
今の言葉を聞くに、どうやらアルヴィス家はなんらかの事件に巻き込まれ、ルーベルトしか生き残っていないことがわかった。
「アルヴィス家はなんで滅んだんですか?」
「・・・先に言っときますが、結構残酷な事件なため引き返すのは今のうちですよ。それでも聞きますか?」
「はい」
「分かりました。ただし、この話は絶対に口外しないでください」
その声はさっきの清々しい声と違って、とても重く、恐ろしく感じる声だった。
「分かりました。絶対に口外しないと心に誓います」
「それでは、話します。史上最悪の暴走、『兎の厄災』が4年前に発生したことを・・・」
「ちょっと待って!暴走が起きたって聞いた事ないけど?」
「それは単純です。一つの大都市が滅んでしまったからです」
「もしかして、その大都市が結構主要な都市だったってこと?」
「はい。滅んだ都市は隣国のアレイグランド王国の中で一番の経済都市であるアルヴィスです。この都市はアレイグランド王国の経済の中心地・・・日本で言うと東京の千代田区、中央区、港区の経済力を合わせたようなところなんです。もし、それが隣国に知られでもしたら・・・」
「間違いなく戦争が起きて、ほぼ確実に負けるね」
「はい。我々冒険者ギルドには冒険者の管理だけでなく他国との戦争を防ぐ役割を担っています。そのため、立場として仕方がなく情報規制を行いました」
なるほどね。
この話が知られでもしたら、アレイグランド王国は確実に滅びて王族貴族は処刑されるか幽閉されるだろうな。
「なあ、原因となった兎の厄災ってどんな魔物の暴走だったんだ?」
「蝗害の兎版みたいな感じですが、兎は生きるために植物だけでなく、動物も食べる事があります」
「おいおい、まさかそれって・・・」
「はい、察しの通り人間も餌として認識しています。一頭の兎を指揮官とし何百万頭ものウサギが人間に群がり、血を啜り、肉や臓器を食らい尽くし、最後には骨しか残らないのです。ギルドの最高戦力でアルヴィス市に向かった時にはすでに・・・」
「・・・なあ、その指揮官兎って名前はあるのか?」
「名前は・・・」
————―――――――――――――禍兎————―――――――――――――
「禍兎・・・」
禍の兎か・・・そのままの名前だな。
「この一件でアルヴィス家の息子以外の住民は全員死亡しています」
「・・・母親はどうなっているんだ?」
「色々あって、戸籍情報を削除しています」
そう言い、クロカワは母親のことをごまかした。恐らく、クロカワとルーベルトの母親とは何かつながりがありそうだ。
「それで、どうするんですか?その名前を聞いて」
「殺す。それだけだ」
俺はそう力強く言い放った後、座椅子から立ち上がり、部屋の出口に向かった。
ルーベルトには、今日この話を聞いたことはまだ言えない。あいつの傷を抉るためにわざわざ話す必要もない。
でも、いつか向き合わないといけない日が来るだろう。その時のために、俺は今日この事を胸に刻む。
「ありがとう。いい事が聞けたよ・・・あ、聞き忘れたことがあった」
俺はクロカワの方を振り向いた。
「なぁ、代行思考機構っていうスキル知ってる?」
「・・・少なくとも僕は聞いたことないね。どうしたの?」
「あ、いやなんでもない。それじゃあ、またどこかで会おうか」
「分かった、それじゃあまたいつか」
そういい、部屋を後にし、荷物を学校の寮に移すため一度宿に戻ることにした。
外はとっくに日が落ちている。
今日起きたことを頭の中で整理しながら歩いた。
王の信頼を得て、クロカワと繋がった。それに、禍兎のことを知った。ルーベルトの過去も。
それでもまだ、アルス家のことは何も見えてこない。
レベル150か。まだ遠い。でも、歩くしかない。
宿についた。が無駄骨だった。受付の人に話を聞くと、ルーベルトが俺の荷物も寮に持って行ってくれたらしい。
ありがとう、ルーベルト。何か飯を奢ろうかな。
俺は上機嫌で学校に向かった。ルームメイトが誰なのか、制服の見た目とか、色々楽しみにしているからだ。
・・・今思ったんだが、夕食は出るんだろうか。




