同士
「あ〜疲れた・・・死ぬかと思ったよ」
「そう?思ってたより早く終わった気がするけど」
「とゆうかセラフィナ。今思ったんだが、何でルーベルトも謁見に呼ばれたんだ?此奴さらわれた側の人間だろ?」
「あ〜・・・多分私が父上に報告した時、ルーベルトの名前も出したからさ、そのせいで思い違いが起きたのかも・・・」
「「は?」」
おいおい、ルーベルトに面倒かけさせんなよ。なんかすまないな・・・
そうゆうの、ちゃんと確認してほしいよ。謁見の時、緊張しすぎてルーベルトの顔死んでたもん。
かわいそうだったよ。
先に聞いとけばよかった。
謁見が終わり、俺たち三人はさっきの控え室に戻った。
中は俺たちがいた時以上に清潔な部屋になっていた。上から目線だけど、あんな短時間でここまで綺麗にできる清掃係の出際の良さは恐ろしいよ。だって、埃が一つも付いていないし落ちていないもん。俺の普段着も綺麗に畳まれているし。
俺は王城の清掃係の有能さに少し引いてしまった。
おまけに長椅子と長机も部屋の中央に置かれてるし。
これらも高額で取引されてそうな見た目をしている。やっぱ王族はすごいよ。
そのまま、俺は椅子に座った。
「んで、今から何すんの?」
「多分、報酬をもらうんじゃないかな?・・・とゆうか、まだ制服来てないの?」
「多分宿の方に来てると思うよ。帰ったら着てみるわ」
「楽しみにしとるよ★」
うわ、此奴・・・表の顔で言いやがった。普通の男だったらその一撃で魅了されるだろうな。何なら女もそうなりそうだよな。
まあ、俺らに色仕掛けなんて通用しないけど。お前がどんだけ猫被ってもこっちは本性知ってるからな。ほら、ルーベルトのだって白い目でセラフィナを見ている。
通用しないのがわかったのか、悔しそうに本性を露にした。
「チッ!」
「お~怖いね~w」
「ああん?おう、殺るか?いいわよ相手にしてあげる!」
「はぁっ⁉沸点低すぎだろってマジの目してるし・・・落ち着け、落ち着け、おt・・・」
セラフィナは俺に向かって拳をぶつけてきた。一応避け切ることができたが、もろに喰らったら死にはしないだろうけど確実に重症を負わせることができる威力を出していた。
「あああああぁぁぁっぶねええぇぇぇ!」
俺はルーベルトはこう思った。『此奴ら何してんだ』と。小さな部屋の中で、12歳の少年と15歳の少女が追いかけっこをしている。だが、ルーベルトはこの光景を見て、心が弾んだ。
しかし、その理由は分からなかった。
「俺には行く所があって・・・おい、ルーベルト。たs・・・」
「ルーベルト、此奴をしばくの手伝って!」
「分かったよ、セラフィナ。」
ちょっと待って、俺にはまだ行くところがあるんだよ!だからその二対一の理不尽鬼ごっこやめてくれ。そんな願いは聞き入れてもらえずに俺は二人にしばかれた。ルーベルトの魔法で進路を妨害されたり、セラフィナがどこからともなく武器を出して殺そうとして来たり。
とゆうか、此奴アイテムボックス使えるのかよ。初めて知ったわって感心している暇はないよ!
そのまま俺は二人に遊ばれた。部屋はぐちゃぐちゃになっていて、俺はへとへとになっている。一応セラフィナに疲労は回復してもらった。疲労は。
「それで、他にも行く所ってどこ?」
「宿屋。だからルーベルトと共に宿に戻って荷物片づけとこうと思って」
「そういえばさ、君ら二人、父上から王都居館貰っていたよね?そこに転居したら?」
「寮生活をする予定だから、学園卒業した時の住居として使う」
「あっそう。・・・あ!そうそう、リュート、ルグって先生調べたんだけど・・・」
「なんか出た?」
「残念ながら、情報はなかったよ。何なら裏社会でも情報は流通してなかったし」
「そうか・・・情報規制の可能性は?」
「其処については分からないね。そこら辺の情報はすべて冒険者ギルドが行って・・・そういえばギルドは?」
「・・・あ!」
冒険者ギルド総帥に面会すること、すっかり頭から消えてた。やっべぇ今何時だ?時間は6時を指していた。あんまり時間ないじゃん。外を見ると日が落ちていた。
どんだけ、此処にいたんだよ。
俺はセラフィナを無理矢理部屋から追い出した後、すぐに普段着に着替えた。着替えてる間はルーベルトに見張らせてる。自分の体を友達であっても女に見られるのは抵抗があるからな。その後は、セラフィナに正礼装を借りたことのお礼を言い、王城を後にした。
そのまま俺はギルドに直行した。
一度行ったことがあるから道は把握している。そのため、最短距離で行くことができた。
ギルドはまだ空いていて、急いで中に入って受付の所に向かった。
ギルド員に事情を息切れしながら説明すると、魔道具を弄り始め、受話器のような物を耳に当て始めた。
———やっぱり、あれ通信機だよな。所々異世界を感じさせるようなパーツは付いてるけど、向こうの世界の学園の職員室とかでよく見る形状をしているな。
てことは、転生者か転移者が作ったか、もしくは設計図を職人に送って、作らせてもらったか。どっちにしろ、向こうの世界出身の人間が関わってるとしか言えない。
エレベーターや自動ドアは兎も角、通信機なんて魔法で頼り切ったこの世界の人間じゃ想像もつかない品物だからな。
ギルド員が通話をしてしばらく、俺は声をかけられた。
「ただいま、仕事が立て込んでおりますので、総帥の面会室でお待ちいただけますでしょうか?」
「いいですよ」
「承知しました。それでは、ご案内いたしますのでついて来てください」
そのまま、エレベーターに乗って上階に向かって上がっていった。
そのままエレベーターに乗っていると最上階に着いた。下りるとその向かいにある一番豪華な装飾をした扉に俺はギルド員に案内された。
部屋に入るとそこには来客用の面会スペースと、総帥の執務のための仕事場があった。
面会スペースには低く広い机が据えられていて、その周囲には座椅子に似た背もたれ付きの椅が配置されていた。
仕事場にある机の上には、羽根ペンと魔導式筆記具が並んで置かれ、その隣に小さな黒い板状の物体が置かれている。その物体に既視感を覚え、そこに向かった。
よく見ると部屋の隅には奇妙な品が並んでいる。
此処の世界の人間が見れば、ただの小物の集合体にしか見えないだろう。だが、知る者が見れば、一瞬で理解する。
「これ、色褪せているけど電車の切符だよな?印字は薄れているけど、駅名の文字はどう見てもこの世界の言語じゃないよな」
その隣には、少し欠けた陶器の湯呑みが置いてある。
王都の工房で作られた品ではないな。釉薬の質も、絵付けの線も、この世界の焼き物とは決定的に違う。
ふと足元を見ると箱の中に何かが入っているのが見えた。それは、電池の切れたスマホだった。だが総帥はそれを捨てず、埃除けの布をかけて、まるで遺品のように扱っていた。
「やっぱり、総帥は元日本人か・・・」
そういえば、この建物すんなり入れたけど、スパイとかの対策はなっているのか?
俺はそう心もとない気持ちを抱きながら魔力感知を発動した。魔力感知を習得してから戦闘に使いまくった結果、五秒間だけだが容易に扱うことができるようになった。だが、七秒の壁はものすごく分厚くてまだ一回も到達していない。六秒台もざらにはないが。
魔力感知を行った結果、神経質になりすぎていたみたいだ。何故なら、この建物を包み込むように魔法結界が二つ張ってあるからだ。
しかも、二つの結界は物理結界と魔法結界だからだ。これらの結界は名前の通り、物理結界は物理攻撃を、魔法結界は魔法攻撃を完全にシャットアウトする結界だからだ。そんな最強クラスの結界を二つもあってあるのなら心配はいらないかもな。
・・・グラマス、一体誰なんだろうか。やっぱり、中年の男性が出てくるのだろうか。そしたら、どんな挨拶をしようかな?
そんなことを考えていくうちに、扉からノック音が聞こえた。
「失礼します」
その声は清々しいものだった。
中に入ってきたのは俺と少し大きい身長をした青年だった。髪は俺と同じく黒色で瞳も茶色に近いものだった。顔だけでも日本人と感じさせてくる。何故だか知らないが仕事服は日本のサラリーマンが来てそうな紺色のスーツだった。
「初めまして。僕が冒険者ギルド総帥を務めている、『レン・クロカワ』と申します。貴方はリュートさんで間違い無いでしょうか?」
「はい。俺がリュート・アルスです。ご用件は何でしょうか?」
「はい、貴方の所持している記憶封印と言うスキルに関して、話がございますのでお呼びしましたそちらの座椅子に座ってください」
そう言われ、俺は座椅子に座った。
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「それで!それで!ジ❍ジ❍はどこまでいったんですか!!!!」
「なんと第9部まで進んでいる!」
「そんなに進んでいるんですか!僕が日本にいた時、漫画の七部完結直前だったから、因果とか運命とか、そういう話が核心に来てる途中で止まってるんですよね・・・」
「それで異世界来たの、精神的に一番ヤバいやつじゃん・・・あと!君が言った7部は!アニメ化されている!」
「マジですか!で、見れたんですか⁉」
「残念ながら・・・俺は色々忙しくてPVをYouTabeでしか見れなかった・・・」
「え・・・てことは・・・」
「俺もアニメで見れてないんだよ!!!」
「何だって!!!!」
クロカワはそれを聞くと崩れ落ちるように地面に手をついて嘆き悲しんだ。その気持ち、俺もわかる。何でこんなタイミングで異世界に飛ばされたんだよ。
そもそも何故、こんな話になったか。
まず、俺が日本に住んでいたことを話した。そして、この世界に来た後の話も。その時にうっかりジ❍ジ❍ネタを言ってしまった。そしたら、クロカワが日本に住んでいた時、筋金入りのジ❍ジ❍ラーだったらしくそのままジ❍ジ❍の話が盛り上がり、記憶封印の話から脱線して、今に至った。
「あれ?7部がアニメ化されたってことは・・・まさか、6部以前の作品はすべて見たと・・・」
「フフフ!そうなんだよ!」
「マジですか!」
「まあ、俺はその時も色々忙しくてリアタイでは見れず、Yabazonのプレイムビデオやネタフリで見たんだけど」
「それでもいいじゃないですか!僕は・・・僕は・・・見ることすらできなかったんですよ・・・」
そう言いながら俺の方を涙目をした状態で向いた。
とゆうか、そろそろ本題に入ろうか。これ以上ジ❍ジ❍の話が続くと一生終わらない気がする。
「なあ、そろそろ本題に戻りませんか?」
「あ、そうですね。自分以外のジ❍ジ❍ラーとの会話を久方ぶりにできたもんで」
ジ❍ジ❍の話は終わり、記憶封印について俺は改めて聞くことにした。




