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入学式

入学式当日、学生講堂で校長の長話を聞いていた。

こっちの世界でも、校長の話は長いんだな。


「――おほん。新入生諸君、そして保護者の皆々様。本日は、王立オルディナシス中高一貫校の入学式に、よくぞお集まりいただいた。まずは――そう、まずはだな――この校長の長たる私、校長グラン=バルディオスが、諸君らの輝かしき前途を祝し、少々言葉を贈りたい。さて、少々、と言ったが・・・うむ、若者というものは往々にして「長話」を嫌う。私も若い頃はそうだった。三百二十年前のことだがな。」


新入生がざわついている。そりゃそうだもんな。いきなり人外宣言したからな。


「静粛に。今ざわめいた者、後で名前を控えておく。安心したまえ、今すぐ何かあるわけではない。今すぐは、な。さて、本学府の歴史について語らねばならんだろう。なにせ基礎である。基礎を疎かにする者に、高位魔法は決して微笑まぬ。王立オルディナシス中高一貫校は、建国王アルカディウス一世が――いや、正確にはその側近であった賢者メルキオールが――いやいや、実はそのさらに――」


大体30分くらい経過したかな?

上に視線が感じると思ったら3階にセラフィナがいた。

なんか不敵な笑みしてないか?あいつ。

周りを見ると寝てる人がいる。

とゆうか、ルーベルト!お前寝てんじゃねえかよ、おーーい!


「・・・という経緯で、現在の第三講堂の柱が少し傾いておる。修理は予算の都合で未定だ。触るな。」


なんで、賢者や建国王の話から第三講堂が傾く話になったんだよ!

俺が聞いてなかったのも悪いけど、どうやったらそうなんだよ!

色々突っ込みたいよ。


「さて次に、校則についてだ。校則は全部で二百七十三条あるが、今日はそのうち重要なものを説明しよう。第一条、「校内での決闘は禁止」。例外は、正式申請があり、立会人が三名以上おり、治癒魔法師が待機するか、学園長――つまり私が面白そうだと判断した場合に限る。」


校内での決闘は禁止はわかるけど、あんたのわがままで決闘始まるの結構やべーぞ!

そうなったときも、さすがに立会人や治癒魔法師はいるんだよな?

大問題になりそうな学園だな・・・

さすがにこれ以上は・・・


「第二条、「召喚獣を寮で飼ってはならない」。二昔、ドラゴンを「小型だから」という理由で持ち込んだ者がいてな……廊下が一つ消えた。そのものは退学処分を下したが。」


はい、二つ目だ~・・・

召喚獣だからと言って何でドラゴンにしたんだよ!!!

小型だからとか関係ね~よ!

ドラゴンそこで育てたら竜に進化して誰も手におえんくなるぞ!

学園長ありがとう。大事になる前に片付けてくれて。

さすがに、まともな校則だしてくr・・・


「第三条、「校内での透明化魔法の常時使用を禁ず」。」


はい!だめでした~

絶対のぞきが原因で制定されただろ・・・


()()()()()()()()()()()という理由は理解できる。私にも若い頃はあった。だがな、見えないまま授業を受けると出席確認が取れん。さらに問題なのは、既に透明になっていることを忘れて服を脱ぐ者が出たことだ。詳細は語らん。語らんが、二度と繰り返させん。」


・・・あれ?のぞきのこと、全然話さんな。

俺の心が歪んでいたのか。神殿にいって清めないt・・・


「ああ、覗きは誰であろうと即刻退学処分を下すから、絶対にしないように。ぜっったいに!な?」


やっぱり覗き魔いるのか。


「……おっと、今()()()()()()という顔をした者がいたな。いいだろう、正直でよろしい。だが安心したまえ。校則の説明はまだ三十六条ほど残っておるだけだ。」


くそが!長げーんだよあんたの話!

ちらっと時計を見ると、短針が11時を指そうとしていた。

校長の長話だけで2時間も使ってんじゃねーかよ!

この調子だと何時に終わるんだよ!

昼食食う暇あるかな?


「静粛に。次に、成績評価についてだ。本学府では単純な筆記試験だけでは諸君の資質を測れぬ。よって、実技、座学、人格、将来性、そして教員の主観――おまけに私の独断と偏見も入れて、評価する。理不尽? うむ、その通りだ。しかし世界とは往々にして理不尽なものだ。今のうちに慣れておけ。」


・・・はぁ⁇

学園長は今


   「おまけに私の独断と偏見も入れて、評価する。」


とか言ってたよな?

・・・なんかもう、突っ込み疲れた。


「なお、留年制度は存在する。存在するが……過去百年で正式に落第した者は0名だ。まじめに学園生活を送れば留年せん。」


初めてまともな校則聞いた。さすがに留年制度とかはあるんだな。

校長は一度咳払いをし、水晶製のコップで水を一口飲む。

水晶製のコップ、おそらく保温機能がある。

どこで買ったんだろうか。そもそも買えるのか?

成人したらあれに酒を入れて飲んでみたいな。


「さて、ここからは保護者の皆々様に向けて少し。ご子息、ご令嬢は確かに才能を見込まれてここに立っている。しかし、才能は刃だ。正しく振るえば守りとなり、誤れば己を傷つける。本学府は、その振り方を教える場所である。・・・たまに、刃が勝手に飛んでいくこともあるが、その場合は誓約書に基づき――」


11時のチャイムが講堂に鳴り響く。


「・・・ん? 時間か? ふむ、もう一刻も話していたか。体感ではまだ序盤なのだがな。」


頼む。もうやめてくれ。

周りを見ると、一斉に目覚めた。

そして、絶望の顔をしているのが少し面白かった。

ルーベルトもその一人だ。


「安心したまえ。そろそろ締めに入る。そろそろ、だ。新入生諸君。諸君らがこれから学ぶ魔法や武術は、栄光にも破滅にもつながる。友を得る者もいれば、宿敵を得る者もいよう。図書館で寝泊まりする者、実験棟を三度爆発させる者、卒業時に別人のようになっている者・・・そのすべてが、本学府の“日常”だ。以上をもって――ああ、そうだ、最後に一つだけ大事なことを言い忘れておった。」


まだあるの⁈もうやめてくれ・・・


「――昼食は式典後すぐだ。走るなよ。以上、入学おめでとう。」


拍手が起きるまで、さらに数秒の沈黙があった。

最高で最悪の入学式になりそうだな。


「続いて、『クラウス・フォン・オルディナシス』公爵子息の演説でございます。」


「――ご列席の皆様、王立アルカディア中高一貫校校長閣下、諸侯貴族の方々、そして新入生諸君。

オルディナシス公爵家が次男、クラウス・フォン・オルディナシスである。」


そこら中から女子の歓声が聞こえる。校長とは大違いだ。


「このような栄えある場で言葉を述べる機会を賜り、身に余る光栄だ。もっとも、私自身も本日より諸君と同じ()()の一人となる。ゆえに、偉そうな訓示を垂れるつもりはない。」


そういい、小さく一礼をした。


「ただ一つ、私が生まれ育つ中で学んだことを話したい。魔法とは、才能ではない。血筋でも、家名でも、ましてや年齢でもない。責任だ。力を持つということは、選べてしまうということだ。救うか、壊すか。踏みとどまるか、踏み越えるか。この学府に集った諸君は、既に()()()()に立っている。だからこそ、本学府は厳しく、校長閣下の話は――非常に長い。」


会場に小さな笑いが聞こえる。


「だが、そのすべては、我々が軽々しく世界を壊さぬための鎖でもある。諸君の中には、平民もいれば、貴族もいる。将来、同じ戦場に立つ者もいれば、同じ研究室で机を並べる者もいるだろう。そのとき、家名は盾にはならない。残るのは、ここで何を学び、何を選び続けたかだけだ。」


クラウスは胸に手を当てる。


「私は公爵家の名を持つ。だが同時に、失敗すれば誰よりも目立つ立場でもある。ゆえに、諸君と共に学び、諸君と同じように悩み、諸君と同じ規則に縛られることを誇りに思う。新入生諸君。どうか、恐れずに学べ。だが、力を持つ自分自身を、決して侮るな。以上をもって、入学を祝する言葉とする。」


最後に、年相応の少し硬い動作で深く一礼した。

その拍手は、校長の話よりも、早く起こった。

しっかしクラウス公爵子息はちゃんとしているな。

長女セラフィナ()()()()とは違って。

あのあと、学園の行事の説明や所連絡を終えて、入学式を無事に終えることができた。

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