結集ー集まりし騎士 2ー
動けるようになったユーゴの仲間達はまだ警戒心を解いていない。ユーゴは仲間達に大丈夫だと合図を送ると、レイリーを紹介した。
「彼女はレイリー…古い友人だ。」
「レイリーです。突然 手荒な事をしてごめんなさいね。」
「いえ大丈夫です。先にユーゴが抱き締めようとしたのですから…」
「まさか ユーゴに抱き締められそうになるなんて‥でもそうかそうよね‥ユーゴらしいというか女性大好きなユーゴだものね」
「その言い方はないだろう。」
ユーゴは笑いながら抗議する。
レイリーはフッと笑うとまっすぐにユーゴを見る。
「リューイに言われているのでしょう。あたしと何処かで出会っても知らない振りをするようにと…」
「ああ そうだ!リューイが君の前の戦いに関する記憶を封印した時、皆んなが約束させられた。」
「そうよね‥あれから再びあたしは幼馴染としてケインに会いライザにも巡り逢った。でも彼らは何も言わなかった。ライザとケインとはそれから三年…行動を共にした。ケインとは今でも共に行動する事が多いわ。でも彼らはあの頃の事を一言も口にする事が無かった。此処にはケインとその仲間と一緒に来ているの。」
「そうか…レイリー 本当に全て思い出したのか‥」
「ええ…前の戦いの時自分がどんな目にあったのかも…何もかも全てね…」
「すまない!俺達が護りきれなかったばっかりに、辛い目にあわせてしまった。」
「何 言ってるの…自分で自分を守る術を持たなかったあたしが悪いのよ。責任を感じる必要はないわ。」
「レイリー お前…強くなったな。」
「みんながくれた時間が、あたしを成長させてくれたのよ。」
そこへケインが戻って来た。
「久し振りだなケイン!」
「ユーゴ ユーゴじゃないか…元気だったか?」
「ああ もちろんだ。」
ユーゴとケインは軽く拳と拳を合わせる。
懐かしさもあってそのまま近くにあった椅子に腰掛けて話しはじめた。
「今もレイリーと行動を共にする事が多いんだってな」
ケインは頷く。
「お前も大変だな…あの頃じゃ絶対考えられないよな。こんな力強いレイリーは…」
そのユーゴの言葉にケインは頭を傾げる。
「さっき 俺 レイリーに腕を捻じ上げられて身動きができなかったんだぜ‥唖然としたよ。あの頃のおとなしくてか弱そうなレイリーはどこへ行ってしまったのだろうな…」
「そうだな…再会した時 既に力強かったんだ‥それから日々逞しくなっていく…」
「逞しいと言うより脅威かもしれないな。」
二人の男性は向かい合ってそれぞれが腕を組み頷き合っている。
「二人ともそんな言い方やめてよ。人聞きの悪い…」
「だって本当の事だぜ…あの頃のレイリーはどこへ行くにも誰か付いて守ってやらなければと思わせるか弱さというか儚さがあったよな。
「今だって か弱き女性でしょ。あたしは‥」
「まあ 女性だけどな…か弱くからは程遠くなったって断言できるぞ。」
ユーゴが言う。 「俺なんか今でも時々あの頃の癖が抜けなくて手を出そうとすると、すでに自分で切り抜けて反対に助けられる様なことがある。その時はつくづく思うね。何て強くなったんだろうって‥どう考えても儚さもないな。」
レイリーは自分がどれだけ皆んなに守ってもらっていたのかをつくづく感じた。心の中で感謝する。でも声にする言葉は
「もう ふたり共そんなにはっきり断言しなくてもいいじゃない…」
だった。
「でも 本当の事だよな。」
ケインが言った。
「儚さもか弱さも無い事を認めるべきじゃないのかな…?とっても強くなったレイリー嬢」
ユーゴが言う。
「わかった…わかりました。認めます!あたしにはもう か弱さも儚さも 残っていません…」
それを聞いていたユーゴの仲間達が、声を堪えるように笑っていた。
「ほら ユーゴの仲間達が笑っているじゃない。でもまあいいか!本当の事だものね」
皆んな声を出して笑った。
その笑いがひと段落ついた所でケインは、今わかっているリューイの情報を話した。
リューイは前の戦いの後、二年位 各地を周り敵が残した傷痕を癒やしていたようだ。何処へ行っても慕われ頼りにされていたという。その後他国へ旅立って行った。そして半年前にこの国に戻っているようだが、消息は不明のようだ。
そんな話しをしている所へドヤドヤと十人程の団体が入って来た。その先頭を歩いていた男性の顔を見たケインは思わず立ち上がった。
「キース…」
その声にその男性は驚いたように立ち止まり、ユーゴとレイリーは振り向いた。
「ケイン ユーゴ…」
そこまで言って一瞬 言葉が止まる。
ケインとユーゴが頷くのを見て言葉を続ける。
「それにレイリー どうして三人が此処に…」
「こんな事って…やはり近いのか…」
ユーゴが呟く。
「キース 久し振りね…」
レイリーが言った。
「リーダー 私 彼女知っているわ…彼女が《風のリー》よ。」
キースの後ろにいた女性が、レイリーを見てそう言った。
「何だって…《風のリー》ってあの横暴窮まりないお偉方と、その下でのさばっていた無道徳な奴等を一掃したという《風のリー》か」
ユーゴが言った。
「風を操りその力を武器と防御に使い分ける。風の力を使わなくても素晴らしい武術の遣い手だと聞いている。そして彼女が去った後には必ず心地良い風が吹くそうだ。だから彼女は《風のリー》と呼ばれる様になった。」
キースが言った。
「俺もその話しは聞いている…それがレイリー」
ユーゴが言った。
「間違いないわ…だって私 彼女に助けられたのだもの。」
さっきの女性が言った。
「本当なのか…レイリー‥」
キースが聞いた。
「本当よ‥レイリーが《風のリー》よ。」
その時そう声が聞こえ声の主である女性がバルコニーの入り口に姿を見せた。
「ライザ」
レイリーが彼女の名前を呼ぶ。
「やっぱりそうよ。あの女性とあの男性が彼女の側にいたわ。私 覚えているもの…」
キースの後ろの女性がケインとライザを指し示した。
レイリーは一度俯くと顔を上げて言った。
「そうよ…あたしが風のリー…ケインとライザはそのあたしに力を貸してくれてたの。此処じゃ他の方々の迷惑になるから外に出ましょう…そうね あの森がいいかしら…」
レイリーはバルコニーから見える森を指した。
レイリーはケインに仲間達も呼んできて欲しいと頼んだ。




