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忘れてはいけない

作者: 遊崎

力を失い、掴んでいたものを離してしまったこの手。

かしゃん、からからから・・・

それが床を滑って行く。

苦しいものからは解放されるだろう、けれど。


忘れてはいけない、覚えておかなければ。

僕を愛してくれる人がいる、僕を必要としてくれる人がいること。


そんなことをうすぼんやりとした頭で思考していたら、鳩尾みぞおちあたりを思い切り蹴られた。

でも、諦めるわけにはいかない。

忘れるわけにはいかない。



僕が死ねば、僕が愛している人の何人かはとても悲しむだろう。

僕が死ねば、僕が嫌悪する人の何人かはとても喜ぶだろう。



そんな訳には、いかない。



ずきずきする右腕に鞭打ち、僕は落としたものを拾う。

それは忘れてはいけないもの


「これで、終わらせる」

きっと僕が言ったんだろう、そんなことも満足に判別できないなんて、まったくどれだけ一方的に章魚殴たこなぐりにされたことやら。



拾ったそれの照準をあいつに合わせ、撃鉄ハンマを起こす。

僕の持った銃が、あいつへと向く。


ばああああん


聞きなれた発砲音が、響く。

どさり、と何か重いものが着地する音がした。

何かなんて言うまでもなく、あいつの死体なんだけれど。



さようなら。

僕はこれから愛する人たちの下へ帰る。

お前に帰る場所はない。


お前を殺して、僕は―


fin

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― 新着の感想 ―
[一言] 初めまして。 針波瑠 遥と申します。 わたしも、西尾維新さんが大好きで、特に戯言シリーズが大大大好きなんです! この作品は、戯言シリーズっぽさが漂っていて、読んでいてとても楽しかったです。…
2016/10/21 18:44 退会済み
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