Ⅸ話 大変な一日
俺たちは、まず書物庫に来ていた。数名のメイドの方と掃除道具を持って。執事の方が、鍵を開け中に入りランプをつけた。そうすると、棚が多く並んでおり本がずっしりと並んでいる光景が奥の方まで続いていた。
「ひっろ‼ これ全部掃除するんですか⁉」
「はい」
「まじか~」
ぐちぐち言っていても仕方がないので手分けして掃除を始めた。俺は壁側の掃除を行い、執事の方も掃除を手伝ってくれた。
「そういえば、どうしてここの掃除もするんですか 普段使ってなさそうなのに…」
「ハベーヌという国の王女、ルーナ・クァルム王女が読書好きでして、ここにいらしたときには必ずこの書物庫の本を読んでらっしゃるのです 読みたい本が見つかれば読み終えるまで帰らないとまで言っておるほどでして」
「へぇ~だからなのか~」
俺が掃除をしていると大きな扉を見つけた。それに、その扉は少し開いており鍵がかかっていなかった。気になった俺は、扉を少し開け中をのぞいた。中は暗く下を見ると階段が下にへと続いていた。
「何してるんだ?」
「ヒエェ‼ ……な、なんだツカサさんか… 脅かさないでくださいよ…」
「わるかった それにしても、これはなんだ? 階段のようだが…」
「お二人とも…何をされているのですか?」
「執事さん いや、ここの扉が開いてて覗いてたんです」
「え⁉ 開いていたのですか?」
「あ、はい… あの、どうかしました?」
「ここは必ず鍵がかかっているんです それに、鍵を持っているのは国王陛下のみで必ず首にかけているんです」
「え、それなら国王が入ったんじゃ?」
「いえ、国王はこの部屋に入るどころか扉の前を通ることすらありません 白の中でも端の方ですし…」
「それじゃあ一体誰が」
「そういえば、少し前に鍵をまとめたのをどこかに無くしたって言うのを言っておりました すぐに見つかったんですけど…」
「多分、その時に鍵を複製したんですよ きっと」
「これは、国王陛下に伝えなければなりませんね お二人は、掃除を続けていてください 伝えてまいります」
そう言うと、執事さんは走って国王のところまで行った。言われた通り、俺たちは掃除を行い数分後には執事さんが鍵をもって戻ってきた。大きな扉の鍵を閉め、掃除も終わらせ俺とツカサさん、セレナさんとで執事さんに案内され子供部屋にやってきた。その子供部屋では外からでも聞こえるはしゃぎ声が聞こえた。四人は中に入り二人の子どもがとてもはしゃいでいる様子が目に入った。
「元気旺盛ですね 羨ましいですよ」
「今日はまだいい方ですよ 普段なら…」
「シームじいちゃん!」
「え! シームじいちゃんが来たの⁈」
そう言うと、二人が執事さんに近寄った。
「シームじいちゃん! 今日は何して遊ぶの?」
「ねぇねぇ! 遊ぼうよ~」
「今日はじいちゃんじゃなくて隣にいる三人と遊んでくれるかな? きっと楽しいよ」
「ほんとに⁈」
「やったー!」
そして、子どもの世話が始まった。二人は大体6、7歳辺りのように見えた。最初は、子供らしく簡単なことして遊ぶんだろうなぁ~と思っていたが実際そうでもなかった。俺が担当するのはミナーフェという女の子だった。
「ねぇねぇ! リョウガ兄ちゃん! 一緒に遊ぼ!」
「いいよ~ 何して遊ぶの?」
「これ投げて的に当てるの!」
そう言って、取り出したのは両方に刃が付いたナイフ数本だった。
「え…ナイフ…投げるの?」
「うん! あそこの的に当てるの!」
ミナーフェが指さしたところを見るとすでに数本が刺さった跡のある壁だった。しかも、その跡はそれぞれが近しいところにあった。
(え゙…めっちゃ正確に当ててるやん…)
「どうしたの?」
「いや…なんでもない…です…」
「それじゃあわたしからね」
そう言い、ナイフを柄をダーツのように持ち壁に向かって投げた。投げた瞬間、そのナイフは一瞬にして壁にへと刺さった。投げた時、ナイフが見えなかった。それほどまでに速い速度で投げたということになる。
(まてまてまてまてまてまて‼‼ なんで6、7歳の子どもがそんな速度でナイフ投げれるんだよぉ⁉⁈)
そして、ミナーフェは続けて二本投げその全部がほとんど同じ場所に刺さっていた。
「次、リョウガ兄ちゃんの番だよ!」
「う、うん…」
(誰だよぉこんな遊び教えたやつー!)
なんやかんやで、その日を終え用意してもらった宿に泊まることっとなった。