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Ⅳ話 不思議な出会い

 数日後、俺は行く当てがなかったためシューメルさんのところに住まわせてもらうことになった。シューメルさんは、条件として店の手伝いをすることを提案し俺はすぐに了承してくれた。ちなみにシューメルさんの経営する喫茶よろず屋、その名の通り喫茶を営みながらペットの迷子探しやボート、馬車の修理とかいろいろ相談事をやっている。そして今日は店の買い出しに出ている。


「え~っと、これで終わりかな。時間もあるしどうしようかなぁ~」

(それにしてもこれからどうしようか……魔王が居ないんじゃなぁ~……)


 俺は、買い出しを終え噴水広場にあるベンチに座っていた。時間も余っていたので少し散策することにした。


「しっかし、買い物とかは市場形式なんだなぁ。スーパーとか、そうゆうのはないが故にそうなってるのか。……そういえば、大和さんー?」

『はいはーい、どうしたの?』


 軽々しく声がしてきたため、フランクなのかそれともただ暇なのか、この人はほんとに神様なのか?ベッドでダラダラしてるイメージしか思い浮かばない。


「ちょっと気になったんだけど、どうして大和さんの情報量って少ない上に古いの?」

『い……痛いところついてくるわね……まぁ最近まで監禁されてたからかしらね。』

「監禁?」

『正確には、牢屋に入ってたの。10年ほど。』

「え⁈ どうゆうことですか⁈」

『話すと長くなるけどいい?』

「いいですけど……」


 大和さんは、話始めると先ほどの明るい声から、少し懐かしむようなあまり思い出したくなかったかのような重い声で話てくれた。


『人間の数え方からすれば、30年前ぐらいのことかな元々私は人間の人生を管理する職についてたの。今もそうだけど。』

「人間の人生を管理?」

『そう。生れてきてから亡くなるまでの間、幸と不幸をそれぞれ与え続ける。そして、亡くなる時に生きててよかったなって本人が思えるようにすると職におけるポイントがたまる。そしてその魂を新たな肉体に宿して任を終える。そこからは、また別の神が担当するの。』

「なんで、別の神に任が移るだ?」

『感情移入しないため。そういわれてるわね。』


 理にかなっているところはある。実際、感情移入してしまったら幸運しか運ばなくなりそうだし、気に食わなければ不幸にすることもできてしまう。恐ろしいものに見守られているものだ。


「へぇ~――というか、その話なら俺がこっちに来たのって!」

『そう、私が釘谷をやったようなもの。でも過去の幸との釣り合いを取るためだったの……覚えてない? 5年前にあったこと。』

「5年前? ······ああああああああ! 車に引かれて、生死をさまよった時の‼ 奇跡的に助かったと思ってたけど……まさか……」

『そうよ、それも私。その時の釣り合いを取るために今回やったの。』

「そうだったのか……。でも一回は助けてもらったんだからちゃんと礼を言わないといけないのか?」

『いいわよ……そんなことしなくて。話を戻すけど私は、その職で1、2位を争うような感じだったの。』

「凄い! でもそんな人がなんで牢屋に?」

『私と競い合っていたやつが不正をしたのよ。幸を与えすぎるという重罪。それを私に擦り付けられ、裁判にて、私に不利な嘘の証言を言って有罪判決が下った……』

「そうだったんですか……」

『まぁもう一度やろうにも、不利なのには変わりないし裁判を起こす程の物がない。この話はここまでにしようか。流石に暗すぎるわね。』

「いろいろ気になるけど一個だけいいですか。」

『なに?』

「大和さんはこんなことして何がしたいんですか?」

『――さぁ……何がしたいんでしょうね……』


 俺は広い路地に回り歩いていた。歩いていると、前からふらついている人とぶつかってしまい、俺は尻餅をついてしまった。


「いってぇ! あ、あの大丈夫ですか?」

「あ、ああ、大丈……ぶ……」


 ロングコートを着ているその人は、その場に倒れてしまい、額から汗がダラダラ滝のように流れるほど一気に不安になった。ぶつかったときので、俺が何かやらかしたのではないかと不安になった。とりあえず、噴水広場までその人を運びベンチに横たわらせた。


(まずい……ひじょーにまずい……どうしたら……)

「ん゙ん゙…… あ、あれここは……?」

「よ、よかった……起きた あ、あのこれ水です」


 そう言い、俺はさっき生成したペットボトルの水をそのまま渡した。なぜが、食べ物や飲み物は生成できないのに水だけは生成できる。一体全体、どうなってるんだ?


『そういえばその人、ペットボトルって開けれるの?』

「あ! やっべ! すっかり忘れ……て……あれ?」


 その人は、慣れた手つきでキャップを開け水を口にした。俺と大和さんは、その光景を見てポカーンとしていた。それに気づいたその人は首を傾げて、ハテナマークを顔に浮かばせていた。


「あ、あの……どうして開け方、知ってるんですか?」

「えっ、どうしてって毎日……使ってるからかな……」

「……もしかして、“この地球”の人じゃないですよね?」

「ペットボトルの存在を知っているってことは、そっちもなのか。」


 この時、俺と大和さんは同じ考えに至った。


『なるほど、そうゆうことね。この人……』

「うん この人は……」

「転生者」『転移者』

「え?」『え?』

「多分、転移されたんだと思う……」

(うそーん、俺間違ってるの~)


 俺が少しショックを受けていると、ダッダッダと走ってくる音が聞こえた来た。そしてその音は、こちらに近づいてきた。しかも、その足音は複数あった。


「居たぞー‼」


「ん? なんだ?」

「チッ……追ってきたのか……振り切ったと思ったんだけどな……」

(え? 振り切った? その体で?)


 大声で叫んでいた男の方から足音が増えていき、気づいた時には10人ほどに囲まれていた。そして、その男たちは武器を構えていた。


「ヤバい、ヤバい‼ 囲まれてるじゃんか!」

「おい! えーっと、名前なんて言うんだ?」

「釘谷凌牙ですけど……」

「釘谷、俺の武器あるか? 刀なんだが。」

「刀……あ、あれか! 運ぶときに邪魔だったから外したんだった。 はいこれ!」


 俺は、この人が持っていた刀を二本渡した。その人は、腰に刀を入れ、鞘から刀身を引き出した。その刀は、この世界では見ないようなメカメカしいデザインをしていた。


「さぁ、来いよ。」

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