ⅩⅩⅤ話 定例会議
あれから数日後、ツカサさんの下で接近戦主体の訓練をしていた。ツカサさんと戦った時の動きは良かったものの元々、体力自体そこまでなかったため基礎的な体力作りから始めていた。しかし、その体力作りも厳しく、終わるころには意識がもうろうとするほどだった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「おつかれさん 一旦休もうか」
魔王ことカリナ・ヤマナシと始めて会った川にお昼頃戻って、俺は砂利の上で仰向けに寝そべっていた。ただただ、しんどく四足歩行でやっと歩ける程度でおぼつかない足取りで川へと顔を突っ込んだ。しばらくボコボコと泡を立てていると、テントの方から「できたよー」という声が聞こえ、俺はその声の方へと立ち上がり向かった。
「あれ、今日はサンドイッチなんだな」
「悪い?」
「いいや」
あの後、カリナはこの川のほとりにテント暮らしを始め、そのほとんどをツカサさんと過ごしている。ツカサさんもなつかれ過ぎて少し困っているほどだった。柊真さんも時々やって来て、武器の修理やメンテ、魔法の研究についても話してくれたりしている。昼ご飯を食べ終えたのちツカサさん刀を持って立ち上がり俺へと話しかけてきた。
「さて、そろそろ始めるか」
「え! もうですか⁉」
「うん、特に意味はないが」
「わ、わかりました…」
俺も、サンドイッチを口に突っ込み、すぐに立ち上がった。ストレージ魔法で中から、ハンドガンと刀を取り出して、それぞれ腰に収めた。そして、少し移動し林の中で少し開けたところで準備をした。
「いいか?」
「大丈夫です」
ツカサさんは、鞘から刀を取り出して、刃が上になるように左肩へと添えて構えた。俺は、コンバットユニットを左手に刀を右手に持って、構えた。そして、カリナの合図によって、模擬戦闘が開始された。始まって早々に、ツカサさんは接近し、首元めがけて振りかざしてきた。すぐさま体を後ろへとのけぞり、回避しのけぞりながら左手のハンドガンでツカサさんに向けて発砲した。しかしながら、刀を振った勢いそのまま片足で一回転し、回避され、腹へと刃を向けられた。
「終わりだな」
「強すぎますよ…手も足も出ないんですから…」
「手を抜くわけにはいかないだろう」
「それはそうですけど…もうちょっと、こう、あるじゃないですか」
「あるにはあるだろうが、あんまりそんな余裕は無い気がする」
「はい? どうゆうことですか?」
「いや、考えすぎかもな 続きやるぞ」
「休ませろぉぉぉぉ‼‼」
同時刻、中央都市ヴァルザスの塔にてとある会議が開かれるために四近神がそれぞれが会議室へと向かっていた。その中で、二人の男が話をしながら会議室へと繋がる廊下を歩いていた。
「ふぁ~ めんどくさいな~ 定例会議なんて…」
「俺だってやりたくはないよ 早く終わらせて、彼らの動向を見ないと!」
「彼らって、一人にどっぷりなくせに…」
「今日も見るか? 楽しいぞ~」
「断るよ…俺は眠いから…ふぁ~」
二人の男は、会議室の前まで到着し、両開き扉を押して中へと入った。中は、ドーナツ型の机と四つの椅子が並んであるだけの広い空間になっている。その会議室には、誰も居らずまだ二人だけしか来ていなかった。
「あらら、誰もいない…」
「いいんじゃねぇーのぉー、まだ時間はあるんだし」
「それもそうか」
二人は椅子へと座り、後の二人を待っていた。一人の男は、机にもたれ、徐々に目を閉じながら話しかけた。
「俺は寝るから、来たら起こして…」
「りょうか…って、もう寝てるじゃねぇかよ… いつもながら、アルベルトは寝るのが速いな…」
(それにしても、まさか魔王が復活するとは意外だったな… 復活を目論む奴らの行動を監視していたのは正解だったな 彼らにヒントをあげたのもいい感じに働くだろう)
数分ほど、待っているとあとの二人もやってき、定例会議が始まった。最初に話し始めたのは、大陸の南西を管轄しているシエラ・バーメリックが今回の議論について述べた。
「会議の内容だが…主な内容は魔王復活についてだな」
「その話は俺はパスだな…」
もたれながら、アルベルトはそう答えた。
「それは、北西担当のラスリィーの問題だろ?」
「そうゆう時だけ、俺に回すなよ…」
「そうゆうもんだ」
「へいへい」
シエラは、視線をラスリィーへと向けて、魔王の復活について話を始めた。
「どうして、何も手を打たなかった」
「そうゆう決まりだろ? 俺たちは、普段は介入しないっていう」
「だが今回は、特例だ 流石に力をつけすぎだ」
「問題ないと俺は判断して、何もしていないと言えば?」
「どうゆう意味だ?」
ラスリィーは、余裕そうな笑みでシエラを見ていた。シエラは、信用無さそうに見ていた。
「まぁ、魔王の件は心配ないよ それ以外は無いのか?」
「あ、あぁ 主な内容はそれだけだが…」
「なら、俺は戻らせてもらうよ ほーら、アルベルト、行くぞ~」
「なんで、俺もぉ~?」
ラスリィーはアルベルトを椅子から引きずり下ろし首根っこを持って会議室の扉のとことで一旦止まり、二人のもへ振り返った。
「そう言えば、四近神選抜試験の方なんだが、俺らで準備しておくからその辺はよろしく~」
そう言い残しその場を二人は退出した。残ったシエラと男は、とある話をし始めた。
「計画は、進んでいるのか?」
「問題ねぇよ だが、あいつが言っていたことが引っかかるなぁ」
「気にするな、敵はすべて排除するだけだ そして不要な存在もだ」
「りょーかい すぐにでも暴れたいんだから早くしてくれよな」
「良いだろう 伝えておこう」
「サンキュー」
その後、二人も会議室を後にした。




