ⅩⅩⅡ話 震源地
俺は柊真さんの研究室の目の前までやって来ていた。扉を開け、中に入ると、中には誰も居らず留守だった。
「あれ? 居ないなぁ 違うところの研究室にいるのかな?」
「どないしたんや? あの人なら、この階にはおらへんで」
「そうなんですか… そういえば、あなたは?」
「あぁ、最近入ってきたシュレイドって言うもんや よろしくな」
シュレイドという人は、右手を俺の方に出してきたので、俺も右手を出して握手をした。その後、作業があるからとその場を彼は後にした。
「なんか、変わった人やったなー 変な関西弁やし」
『なんか、あの人からも変な感じがするな~ 考えすぎなんだろうけど』
「考えすぎですよ それにしても居ないのか~ 仕方ないな 寝るか」
翌日…
「ん? 一昨日の地震のことか?」
「はい ちょっと気になって」
「それなら、もう調べてるよ 震源地も大体予想はついてるし」
「本当ですか⁉ それでどこで?」
「元魔王城」
「え…」
「これに関しては、目を見張ったよ それと、これはただの地震じゃなくて地面から直接振動が与えられてものなんだ」
「地面から直接?」
「地震が発生したらまずは初期微動があるだろう それが無かったんだ」
「確かに、何の間隔もなく揺れたような」
「それで近くの国、ラズベンの方だけど被害はそこまで出ていなかったらしい」
「え⁉ ほとんど距離はないはずなのに…」
「クレイドだよ 彼に頼んで耐震補強をしてもらうようにしてもらったんだ 元々、あそこは地震が発生しやすい地域だったし」
「そうだったんですか それで、魔王城の方は?」
「実は、そこの情報が一切入っていないんだ 羽島くんに聞いても『調査は行われているが、なんの情報も来ていない』って言ってたから」
「調査はラズベンのところがやってるんですよね」
「そりゃそうじゃないか? 一番近いんだし」
「そうですよね…」
(もしかしたら…最悪の事態になるんじゃないだろうな…)
「なにか思い当たることでも?」
「いいえ! 全然」
俺が話を返した時に不意に、お腹が鳴り朝ごはんを食べていなかったことを思い出した。
「やっべ、何も食べてなかったんだ…」
「それなら、三番路にあるパン屋に行くといいよ あそこ、この国じゃ1、2位を争うぐらい人気店だから 僕のおすすめは、無難に食パンかな クレイドはクロワッサンが好みだって言ってたな」
「パン屋かぁ そういえば、こっちに来てほとんど出かけてなかったな」
「行くなら急いだほうがいいよ、あそこ二時間前には並んでないと行列で来て後ろの方になるから」
「はぁ⁈ なんでそうゆうこと先に言わないんですか‼ こうしてられない‼」
そうして、俺は、身支度を済ませるために一旦部屋へと猛ダッシュで戻りにいた。
「あ! やっべ、防御繊維で出来た巾着袋のこと話しそびれた…」
(あれ、僕がリベイド博士の誕生日祝いで作ったってこと、すっかり忘れてたんだよなぁ)
俺は、急いで準備をして、研究所を後にし柊真さんの言うパン屋へと全力で向かった。
(えーっと、確か、中央通りを右に曲がって…三つT字路を越えた先が三番路だったよな)
「こっちであってるかな? 結構不安だな…」
『ねぇねぇ、あれツカサさんじゃない?』
「え? ツカサさん? どこに?」
辺りを見渡すと、何か袋を持ったツカサさんが居りおそらく、門の出入り口に向かっていた。
「どこに行くんろ? まぁいいやあとで追いかければいいし」
『結構あっさりスルーするのね』
「急いで並ばないと、買いそびれるだろうがぁ‼」
その後、無事にパン屋に着くことができたが1時間以上並ぶ羽目になった。ようやく入ることができ、とりあえず食パンとメロンパンを一個づつ買うことができた。そして、俺はツカサさんが向かっていた方向に歩いていた。
「こっちに来て、ツカサさんって何してたんだろう?」
『やっぱり、修行とかかな? 誰もいないところで坐禅組んだりとか滝行とか落ちてくる葉を切ったりとか』
「なんか、あり得そう というか、ヘルムにいた時も時々いなくなってたしな~」
『それとなんだけど、ツカサさん、ロングコート着てなかったわよね』
「そうなんですか? 一瞬しか見てなかったら分からなかった…」
『いつも欠かさづ着てたのに… どうしてかしら…』
30分歩き続けて、門の外へ出て近くの林を探し始めた。そうして、もう20分探していると川を見つけその近くにツカサさんともう一人、黒髪ロングの少女が焚火を挟むように丸太に座っている。木の陰から、様子を見ていると、少女はツカサさんが着ていたロングコートを掛けており、ツカサさんは持っていた袋を渡していた。
「ツカサさん、何してるんだろ というか、あの子誰だろう?」
『もしかして、迷子とか? それとも、転移者とかそっち系?』
「うーん、とりあえず行ってみようかな」
『むしろバレてるわよ』
「え?」
よく見ると、ツカサさんはこっちのほうに視線を向けており完全に俺がここにいることがバレていると悟った。そして俺は、ツカサさんのところへと歩いた。




