ⅩⅩ話 二人の昔
その日の夜、俺は射撃場にて一人で練習を行っていた。とにかく持っている銃を、全部撃ちまくり命中精度を上げていた。
「ふぅー 流石に肩痛い… やり過ぎたな… 今何時なんだろう?」
『大丈夫? 結構な時間、撃ち続けてたけど』
「やっぱり、肩が痛いですよ 今日はもうやめときます 銃弾、生成できなくなったし」
『やり過ぎよ それに銃弾だけで魔力、消費し切った人なんて見たことないわよ…』
「あははは… そろそろ、部屋に戻りますか…」
俺は、落ちている薬莢を回収し収集ボックスにへと入れた。そして、俺が射撃場から出ようと扉を開けると目の前には羽島が立っていた。
「あれ、羽島…さんですよね どうかしたんですか?」
「いや、お前がどこにいるか聞いたらここにいるって言われてな ついでだし、撃ちに来た」
「そうなんですか でも、俺に何の用が?」
そう聞くと、羽島は深々と頭を下げ謝罪した。突然のことに、俺は戸惑いながらも羽島に話しかけた。
「前日の無礼をお許しください」
「あ、頭をあげてください! そのことはもう気にしてないので、大丈夫ですから!」
「分かった、すまない こんなところで、突然 本来ならしっかりと部屋で謝罪するべきだが」
「いいですよ、もう それよりも、羽島さんが上手いって柊真さんから聞いたんですけど、見せてもらえますか?」
「いいだろう」
羽島さんは、台に着くと腰のホルスターからグロック18cを取り出し、片手だけで照準を合わせた。
(え⁉ もしかして、片手だけで狙うのか? 行けるのか?)
「ふぅー…」
羽島さんは、一発だけ的に向かって発砲した。そして、その弾は頭のど真ん中に命中した。そして、羽島さんは、再びホルスターにへと銃を戻した。
「これでいいか?」
「あ…え…は、はい…」(うそーん 一発片手撃ちで当てたよこの人ぉー! 怖すぎる…)
俺は、羽島さんから数分ほど射撃のやり方を教えてもらった。数分間、教えてもらったやり方をするとがむしゃらに撃っていた時よりも数発、穴の位置が近づいていた。その後、休憩をしているときにいくつか話を聞いた。
「羽島さんは、どうしてこっちに?」
「俺は、転生してこっちに来た 今こんな見た目だが、向こうの世界では86歳のおじいだった」
「え⁉ ってことは、寿命で亡くなってこっちに?」
「いや、肺がんだったよ 見つかったときには結構進行してたから 施しようが無かった」
「そう…だったんですね…」
「この世界に来れたのも仏さんの気まぐれだと俺は勝手に思ってる 結果的に、生まれ変われているわけだし」
「なるほど そういえば、なんで軍隊に入ったんですか?」
「ん? まぁ、向こうの世界じゃ小さい頃は旧日本兵だったからな、悔しさを払拭するために、誰かを守れる様になりたかったからかな… あんまり深くは考えたことは無いな」
「そうなんですね… だから、銃の扱いも上手いわけなんだ そうなれば、羽島さんの部隊は銃火器を使ったりしてるんですか? すぐにでも覚えれそうなぐらい、わかりやすかったですけど」
「いや、使ってない むしろ、使わせるわけにはいかない」
「え?」
「この世界には、魔法ってのがあるじゃないか 彼らはその方のプロ むやみやたらに訳の分からない武器を使わせるわけにはいかないし、こいつは正しい扱い方を知っている人間にしか持ってはいけない そのことはお前も重々分かっているはずだ」
「それは分かっています いくら命を守るためでも使い方次第では奪うことになるんですから…」
その後、俺は羽島さんと別れ、部屋にへと戻っていた。その時、ツカサさんがいる部屋を通りかかろうとした時、ほんの少し扉が開いているのに気付いた。興味本位で中に入ると、ツカサさんは机で寝ていた。そして、その机には刀を整備するための道具らしきものが置いてあった。
「珍しい、ベッドとか布団とかあると絶対そっちで寝るツカサさんが机で寝てる」
『確かに本当に珍しいわね 布団だけでも掛けたら?』
「そうですね 何かといつもお世話になってるから、こうゆうことぐらいはしてあげないと」
敷布団から一枚、布団を取り出しツカサさんに掛けた。かけた後、俺はついツカサさんの頬を触ってしまった。
「あ、柔らかい… しかも、ちょっとあったかい…」
『ずるい! 私だって触りたいな~ってずっと思ってたのに!』
「でも、こっちに来れないじゃないですか大和さんって」
『そりゃそうだけど… いいじゃん別に』
「俺は気にしませんよ、全然 そういえば、ツカサさんの刀って変わってるよな 全然見たこともないし」
『そりゃ、魔法と科学の世界からやって来たんだし、科学の世界よりはいくぶんか進んでいるんじゃない?』
「それはそうか これ出せるかな?」
そうして、俺はツカサさんがいつも使っている刀を持った。持ってみると、ずっしりと重く鞘の方も木とは違う素材が使われていた。そして、刀を鞘から出そうとした、がいくら引っ張っても抜くとこはできなかった。
「マジかよー 一ミリも動いてないじゃん…」
『なんで勝手に触ってるのよ… 起きてたらどうするのよ』
「そんな、起きてるわけ…」
「何をしているのかなー」
そこには、笑顔ながらもとてつもなく怒っているツカサさん…ではなく涼奈さんの姿があった。そして俺はどうしてここにいるのかなどについて事の経緯を話した。
「しゅみましぇん…」
「まぁいいわ それで、別に用は無いんですよね」
「は…はい…」
「それなら、わたくしの話でも聞く?」
「え⁉ どうして?」
「せっかく居るんだし、それにちょっとぐらいは信頼を持ってもらいたいからかな」
「そうゆうことなら、聞かせてください」
「分かりましたわ それなら、昔話でもしましょうか」




