ⅩⅧ話 ハベーヌの研究所
「ったくお前!! 探すのにどんだけ時間かけたと思ってるんだ! 挙句に軍のやつに捕まるなんて何やらかしたんだよ」
「すみません…」
「さっさと行くぞ、夜になっちまってるじゃぁねかよ」
俺はまた、首根っこを掴まれ引きずられた。そして、ある研究所に到着した。その研究所は白い壁で大体二階建ての四角い建物だった。中に入ると、すぐさま地下へと行く階段を下りて、地下二階まで降りていった。
「ツカサさん…そろそろ何とかしてくださいよ…」
「足なら持ってあげるが それでいいか?」
「なんの助けにもならないよぉ~」
「えーっと確か…あいつがいるのはB204号室だったはず…あーった、ここだ、ここ」
そうして、俺は首根っこを引っ張られたままB204号室というところに入った。
「ノックぐらいしろよって、クレイドじゃないか! 今日はどうしたんだ? また王から伝言でも預かったのか?」
「ちげぇよ こいつらの面倒見てほしんだ」
「あいにく、子供の面倒は見てられないぞ ずっと籠ってるし」
「子供じゃないですよ… 一応成人ではあるし」
「なら良し!」
「それじゃぁ頼む」
「え゙、まさかそれだけなのか?」
「これから先はこいつらから聞いてくれ 俺は帰る」
そう言って、クレイドさんはこの場から立ち去った。立ち去った後、白衣を着た男が少し戸惑ったような感じで話しかけてきた。
「…じ、自己紹介がまだだったね 僕はここの局長をしているシュウマ カワサキだ」
「俺は、釘谷凌牙、でこっちは…」
「名城弥ツカサだ」
「二人とも日本人なんだ! なら、川崎柊真って言った方がよかったね それじゃあ君たちのことについて話してくれるかな?」
「は、はい」
そうして、俺たちがここに来るまでの経緯を話し始めた。話が終えるころには大体2時間ほど経過しているほど長い話になっていた。
「なるほどねー 大体経緯はわかったよ 凌牙くんは転生者、ツカサくんは転移者でそれぞれここにやって来た それでこの国に来た理由ってのが…」
「はい、このビー玉についてなんですけど…」
俺は、右ポケットから巾着袋を取り出し、中からビー玉のようなものを出して見せた。
「うーん…確かに見た目的には彼が押収したものと一緒って感じだね それとこの巾着袋、防御繊維を使用してるけど俺が作成した記憶は無いんだよね」
「造った覚えがない?」
「レベル5の防御繊維って言うのは基本的に造らないようにしてるんだよ それどころか、繊維の元となってる鉱石、ヴァリブレイト鉱石っていうのは希少鉱石だからあんまり研究所にも回ってこないんだよ 入手出来てもそんな量は入らないし」
「そうだったんですか」
「まぁとりあえず、今日はゆっくり休むといいよ 今から部屋に案内するよ」
柊真さんについていき、一個上の階の部屋にへと向かった。
「ツカサくんと凌牙くんは和室と洋室どっちがいい?」
「俺は洋室でいいですけど」
「俺は和室で」
「りょうかーい」
そうして、ツカサさんはB103号室、俺はB110号室に案内された。俺が入った部屋は部屋割りはアパートのようでベッドやソファーなど生活用品がほとんどそろっており向こうの世界と遜色ない感じだった。
「あ、あの、これって…」
「そうだよ ここが君の部屋だよ というか洋室は基本こんな感じだよ」
「まーじかよ…」
「この研究所にいるのは、ほとんどがこの世界の人じゃないからね あと、明日の朝ぐらいに地下三階に来てくれないか? どこにいるのかは大体わかると思うから」
そう言い残し、柊真さんは部屋から退出していった。扉が閉じ切ったのち、俺は装備品を机の上に全部置き、ベッドに倒れ込んだ。
「おやす…みぃ…ZZZ…」
僕は、ツカサくんに案内した部屋に入った。
「やっほ~ どうかなこの世界の和室は?」
「物凄く快適だ ここにいてもいいぐらい」
「それは困るな~ ははははは… それにしても、クレイドが言ってた通り可愛いね」
「まさかだと思うけど…」
「残念ながら違うよ ファンクラブには入ってないよ しつこく言われることはあるんだけね
研究ばっかりしてるから、そんなことに時間なかなか使えないんだよね」
「そうか、それは良かった」
「ん?」
「いや、気にするな それで他に用はないのか? 無いなら、一人にしてくれないか? 流石に疲れててな」
「すまんすまん それじゃあゆっくりな」
そうして、僕は部屋から出ていった。そうして、俺は自分の研究室に戻った。
「フウェー 疲れたー 流石にいきなりすぎないかな~ こっちだって疲れてるんだからさー」
「お疲れ様やな 所長はんは」
「悪いな お茶なんか持って来てもらって」
「かまわんかまわん いっつも疲れ気味やろぉ? ちょいとは休んだらどうや?」
「流石に寝るよ 椅子もう二個ぐらいあれば寝れるかな」
「体に悪いで~ せめて布団で寝えな」
「そうだな 敷布団何処やったかな」
「そんじゃ、良い夢でも見てなぁ~」「そのうち、本当に良い夢見せてやったるわ」
そうして、一人の研究者が僕の部屋から出ていった。そして、僕は持ってきてくれたお茶を飲み、敷布団を見つけ床にそれを敷き入った。
「フワァ~ 久々にちゃんと寝るな~ そういえば、さっきの人、最近入って来たばっかりやけど大丈夫なんかな~ まぁいいや」
(それに最後に、なんか言ってたような気もするけど、聞こえなかったし、いっか~ でも、分かったことがある…下手な関西弁やな~ 急性の関西弁かな~ いいや~おやすみ~)