ⅩⅥ話 北西都市ハベーヌ
ハベーヌに到着したころには、日の出前になっており運転していたことや大和さんの愚痴を聞かされていたから俺は少し疲れ気味になっていた。
『それじゃあ、ちゃんと頼ってね』
「はいはい…分かりましよ…」
ピックアップトラックから降りる際、シューメルさんから預かった巾着袋をポケットに入れた。街の中にへと入り、クレイドさんについて行った。
「とりあえず、俺の家に行くぞ 今日はそこで休んで夕方になったらあいつのとこに行く」
「あいつって?」
「この国の研究者だ なんでも、かがく?とか言うのを研究してていつも変な事ばっかしてる」
「科学⁈ この世界に科学者がいるんですか⁉」
「かがくしゃって言うのはよくわからねぇけど、研究者ではあるな」
「なるほど…」
俺たちは、クレイドさんの家まで街中を歩き続けていた。街はレンガ造りの、おそらく二階建ての建物が多く道路も石レンガが敷き詰められていた。そして、街の中央には巨大な城がそびえ立っている。見惚れているとツカサさんが立ち止まりある城の名前を口にした。
「モンサンミッシェル…」
「え?」
ツカサさんの言葉を聞き俺は立ち止まって振り向いた。
「いや、どことなくモンサンミッシェルに似てるなって でも他の建物と同じ高さの土地で作られてるし雰囲気もまた違うし ただ似てるなと思っただけだ」
「言われてみると、見えなくもない…」
「おい! 何してる つっ立てると置いてくぞ!」
「すいません!」
急いで、クレイドさんに追いつき城について聞いた。
「あの城って、この国の…」
「あぁあ、クァルム一家の城だ 建てたのは俺の曾祖父が建てたやつだそうだ」
「え⁉ 曾祖父って…もしかして、代々建築士の家計なんですか?」
「あぁ、何百年も前から建築士の家系だよ だから俺もやってる」
「へぇ~ だから建築士に… そういえば、あの城の近くに立ってる塔は?」
「なんでも魔物対策用の防御システムらしい 発動したらこの街丸ごと覆われるらしいな」
「まじか! そんなものが」
「まぁ一度も動いたことは無いらしいがな」
「え! 一度も動いたこと無いの⁉」
話をしているうちに、クレイドさんの家にへと到着し中にへと入った。中は広々としており、一人で住んでいるような広さではないほどだった。そして、二階に上がる階段らしきものもあった。
「二階は基本的に俺の寝床と作業部屋がある 上がってくんじゃねぇぞ」
「もちろんですよ…へへへ…」
(本当にやめとこ…)
「一階にいてもいいが、どこかうろついて来てもいいぞ 4時ぐらいにここに戻ってこれば」
「4時? この世界に時計なんてものがあるんですか? 腕時計みたいなのも付けてなさそうだし」
「この街にはなぁ、何か所か噴水時計って言うのがあるんだ 噴水の周りに囲うように12個のレンガが置いてあるんだ 半分ずつ色が違って、上が何時か、下が何分かを表してる それと噴水に丸い印があるのがてっぺんだ」
「そんなものがあるんですか‼」
「まぁな これもあいつが考え出したものだ 便利だから重宝されてるよ 実際、観に行ったらいいさ……ってあれ? どこ行った?」
「凌牙ならもう家から飛び出したぞ」
「いつの間に…」
俺は、速足でその噴水のところにへと向かっていった。
『なんでそこまで急ぐの? 時間は十分あるんだし』
「全部回ってみようかな~って思って」
『えぇえ‼ どこにあるのかすらわからないのに?』
「移動してるときに一個だけ見つけたからすぐに行けますよ」
『ならいいんだけど』
通ったところにあった、噴水に到着した。十字路の中央に設置されいてどこからでも見えるようになっていた。そして、石レンガを見てみるとクレイドさんが言っていた通り上下に色が分かれていた。上が青色、下が赤色で分けられている。一分経つごとに赤色が数センチ動いていた。
「なんだこれ! こんなの向こうの世界でも見かけたこと無いぞ!」
『これ、高い技術力が無いとできないのに…よくこんなの作れるわね、この国』
「何はともあれ、次のところに行ってみますか」
俺は、印が入っているところから見て左にへと向かった。その後、いくつか噴水時計を二つ見つけた。場所によって、上下の色が違うことが分かった。その道中、アーマーを着た、この国の兵らしき人を数名見た。見た感じ見回りという感じだった。
「そこそこ兵の数、多いですよね…」
『ええ、国の面積が大きい割に短いかい間隔で見回ってる…結構警戒してるみたい』
「警戒? 言った何に?」
『そんなこと言われても、分からないわよ 犯行声明出されたとか、指名手配犯探してるとか そんなんじゃない?』
「まぁそんなところなのかなー」
不思議に思いつつ、街中を歩いていると近くに噴水時計がありそれを見ると3時40分となっていた。
「やっべぇ!! もうすぐ4時じゃねぇか! 早く戻らないと!」
『いつの間に! というか、今まで見てきたのによく気づかなかったわね』
「あれ、どこが上か分かりにくいし、数字なんて書いてないから余計分かりにくいんだよ! とにかく急がないと…」
ダッシュでクレイドさんの家にへと向かっていた…その時、ポケットからスマホのバイブレーションのようなものが伝わってきた。ポケットから取り出すと巾着袋から振動が伝わってきた。中からビー玉のようなものを取り出すとずっと振動していた。
「あれ? なんでバイブなんか発生してるんだ? さっきまで何ともなかったのに」
『ねぇ、真ん中に矢印っぽいの出てない?』
「えっ、ほんとだ…右側?」
矢印の方向には、薄暗い細い路地があった。矢印通りに進んでみると、どんどんバイブレーションが強くなり、中央の矢印も下にへと角度が変わっていき、完全に真下になるとバイブレーションも止まった。
「止まった… もしかしてだけど…」
俺が下を見ると、持っているビー玉と同じようなものが落ちていた。それを俺は拾った。
「これ…持ってるのと同じ…なのか? 中の模様も似てるように見えるが…」
「おい! 動くな」
「え⁉」
路地の奥の方から声がし、こちらに歩いてくる音が聞こえてきた。そして、姿が見えると黒いスーツを着た男が向かってきた。
「まさか、本当に引っかかるとは…やってみるもんだな…」
「誰だ!」
「それはこっちのセリフだ まぁあいつらの仲間だろうが」
「はぁ? 何のことだ…」
俺が、右腰から銃を取り出そうとすると、俺よりも早く、目の前の男は俺にあるものを突き付けた。
「お前! その銃!」
「下手に動くな…脳天に風穴が開きたくないだろう」




