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02 お隣のオオカミ君

昼休みになった。

瑠奈は相変わらず警戒してこっちに来ない。

怖いというよりは気まずいのだろう。

私はそんなに気にすることないと思うけどな。

何も経験がないのでよくわからないことではあるけど。


「ねえねえ、大垣君。起きなよ。もうお昼だよ」

「んーー。そうなんだ・・・あれ、ごめん、誰だっけ?」

「遠藤理沙だよ。私との甘い夜を忘れちゃったの?」

「うーん、ごめん、忘れた」

「・・・冗談だよ」

「そんなんだ」


本当にテキトウだな・・・

こんな調子で女の子と遊んでるなら怒る子もいるよね。


「お昼一緒に食べよう」

「うん、いいよ。席くっつける」

「・・・うん」


何のためらいもないんだなこの人。

いや、誘ったのは私なんだけどさ。


「理沙ちゃん、お弁当なんだ」

「うん、自分で作ってるんだ」

「すごいね。俺には考えられないな」


大垣君は市販のソーセージパンとメロンパンを取り出して食べ始めた。

私もお弁当を食べ始める。


「おいしそうだね」

「好きなの食べていいよ。どれ食べたい?」

「そのタコのやつ」

「はい、どうぞ」


彼は箸を持ってなかったので自然とあーんになってしまった。


「うまい!」

「ありがと」

「卵のもくれ」

「はいはい」


遠慮ってものを知らないのかなこの人・・・

まあ、別にいいんだけどね!


「ちょっと、りさっち」

「えっ」


突然、瑠奈に腕を掴まれて引っ張られていった。

大垣君と距離が取れたところで瑠奈が話し出した。


「なんで大垣くんとイチャイチャしてるの?」

「別にイチャイチャは・・・」

「何言ってんの。だってあーんまでしてたじゃん」

「それは・・・変だったかな」

「いや、そういえば大垣君はいつもそんな感じだわ。

 でも、このままだとすぐにエッチな展開になるパターンだから注意してね」

「はいはい。リサは一緒に食べる?」

「私は今日は部活の子たちと食べるから。じゃあね」

「はーい」


瑠奈が去った後も普通に大垣君と食事を共にした。

でも彼は食べ終わるとすぐに寝てしまった。



***



下校の時間になった。

瑠奈は部活だし、いつもは一人で帰る。


隣を見ると相も変わらず大垣君が寝ていた。

帰りの時間だというのに起き上がる気配がない。

帰りの支度はしていたので、それから寝てしまったのか。

いくらなんでも寝過ぎだなこの人。


「起きなよ、大垣君」

「んーー、ああ、帰りか」

「そうだよ。大垣君はどっち方面なの?」

「2丁目の方」

「じゃあ、一緒だね。途中まで一緒に帰ろうか」

「うん」


大垣君はけだるそうに立ち上がり、私と一緒に教室を出た。




下校を男の子と二人きりか。

今になって緊張してきたな。

もう一緒に歩いてて、しばらくたつのに全然話もできてない。


意識しちゃだめだ。

普通に普通に。


「えっと。大垣君は昔方この辺に住んでるの?」

「いや。高校通うために一人暮らし始めた」

「そうなんだ。私もだよ」

「でも、家事とかマジだるくて。洗濯とか死にそうになる」

「ああ、そうなんだ」

「このままだと着れる服がなくなっちゃう」

「・・・よくわかんないけど、それは心配だね」

「あきらめて、毎日同じ服着ようかな」

「それはさすがにやめた方がいいよ」


こんな彼が一人暮らしなんて。

彼の親はよく送り出したな。

あまりにもだらけているから試練を与えたのかもしれない。


「あ、着いたね。あのマンションなんだ」

「俺も」

「えっ!」


驚きつつもそういうこともあるかと自分を納得させる。

でも動揺が隠せてないかも。


「な、何階なのかな?」

「3階」


一緒かよ!


仕方ないので連れだって部屋の方まで行く。


「えっと・・・私ここなんだ」


自分の部屋の前で立ち止まり大垣君に別れを言う。


「俺となりだわ。びっくりだね」

「えええええええええええ!」


私は思わず大きな声を出してしまった。

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