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01 隣の席のオオカミ君

私は遠藤理沙。

高校1年生の16歳。

勉強はそこそこできる方で、今通っている高校はこの辺りでは一番偏差値が高い。

とはいっても所詮は田舎の公立高校で、有名な進学校というわけでもない。

通っている生徒も特段頭がいいわけでもない。

私も例にもれず、まじめに勉強してるからそこそこ成績が取れるだけだ。


今日は高校に入ってから初めてのクラス替え。

今の席は結構気に入っているのでちょっと残念だ。

後ろの角の席なので先生のこともあまり意識しなくていい。

そして隣には席が隣という理由で仲良くなった瑠奈がいる。

少し派手目な女の子で正直初対面は苦手だなと思ったが、明るくてとてもいい子だった。


「残念だね。りさっち」

「うん、そうだね。でも、授業中だけ離れるだけだし・・・席離れても私と遊んでくれる?」

「当たり前だし」


笑顔で応えてくれた瑠奈を見て安心した。

友人は中学の頃にもいたが高校が違うのですでに疎遠になっていしまった。

瑠奈という今では一番大切な友人だ。


席替えが始まった。

私はラッキーなことに同じ角の席だった。

瑠奈は少し離れてしまった。

私の隣は誰だろう。

変な人でなければ誰でもいいけど。


「ふあー。良かった、後ろの席だー」


隣に座ったのはけだるそうな男の子だった。

席を移動するなり机に突っ伏して今にも寝そうだ。

もしかするともう寝てるかもしれない。

変わった奴だが邪魔にはならないしよしとするか。


授業が始まっても隣の彼は相変わらず寝ていた。

なんて名前だったかな。

積極的に友人を作ろうとしないのでクラスメイトでも特に男の子はあまり覚えていない。

でもせっかくだし後で話しかけてみようかな。


授業が終わり休み時間に入った。

瑠奈の方に目を向けるとこっちに向かって手招きしていた。

てっきり自分の席の方に来るかと思ったが、少し警戒した様子で離れていた。

なんでだろうと思いつつも瑠奈の席の方へ行った。


「瑠奈、どうかしたの?」

「いや、ちょっとね・・・」

「気になるよ、教えてよ」

「・・・隣になった男の子のこと知ってる?」

「あの寝てる人のこと?なんて名前だったかな?」

「流石はさなっち。大垣君を知らないなんてね」

「悪かったわね・・・」

「見ればわかる通り、大垣真宙は学年一、いや学校一のイケメンだよ」

「えーーーー、そう?」


確かにかっこいい顔だったかもしれないけど。

流石に瑠奈の個人的な思い入れが大きい気がするけど。


「でも彼は何に対してもやる気がなく、友人も作らない。

 あの美貌なのに彼女もいないんだよ」

「ふーん。じゃあ、瑠奈が付き合っちゃえば?」

「いや、まあ、顔は好みなんだけど・・・私はやっぱりもっとリードしてくれる男の人の方が付き合うならいいかな」

「そうなんだ。確かに女の子をリードするタイプには見えないわね。

 それはそうと、なんでそんなに警戒してるの?」

「えっ・・・ああ、実は彼には噂あがるんだよ」

「噂?」

「女の子を片っ端から食べちゃうんだって」

「なにそれ?オカルト?妖怪?」

「馬鹿。性的な意味に決まってるでしょ」

「あーー」


私はそういうことには疎い方だが、一般的な知識ぐらいはある。

しかし、昔からあまり男の子と遊んだこともなかったし彼氏なんてもってのほかだ。

だからといってそういう男に嫌悪感を持つわけでもない。

男の子はそういうことが好きなのは常識だ。


「だからってそんなに警戒しなくてもいんじゃない?単にモテるってだけでしょ?」

「彼女がいないのに女とヤリまくってるだよ。中にはレイプまがいのものもあるって噂だよ。

 あんなにけだるそうでやる気がなさそうなのにとんだオオカミさんだよ。許せない」

「許せない?」

「あ、いや・・・」

「・・・まさか、瑠奈が襲われたとか・・・」

「いやいや、私のときはむしろ私の方から・・・まあ、いろんな女にも手を出してるって聞いてちょっとショックだったってだけで」

「むむむ。やっぱり個人的な思い入れだったか」

「で、でも、いろんな女の子に手を出してるのは本当だよ。理沙も気を付けてね。まあ、好きになったなら止めはしないけど」

「いやー、そういうのは特に」


確かに顔はきれいだし、少しだけワイルドっぽくて男らしい。

体つきも線は細いが腕を見るだけでも筋肉質そうだ。

男として性的な魅力があるのは分かるが、だからといって即恋愛につながるわけではない。


「わたしにはまだ早いかな」

「何言ってんのよ、女子高生だよ。世界で最もエロい生き物だよ」

「・・・絶対違う」

「エロはともかく、恋愛はしたほうがいいよ」

「まあ、気が向いたらね」


恋愛か。

ほどほどに一人の女の子として興味はある。

さっきも思ったが、せっかくだし大垣君に話しかけてみよう。


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