第八節 松本の中学受験
第八節 松本の中学受験
松本、小学校六年生の3月――。
彼はマジメなお子様だった。小学校六年生にして、都内トップクラスの勉強時間を誇り、それは一日10時間を優に超えていた。
「カリカリカリカリ」
松本は、(何故か)万年筆で今日も勉強に勤しんでいた。
松本には目標があった。都立の有名進学中学校に通う――。その目標を達成する一心で、松本は勉強に努める。そんな中、
「にょいん」
変なおじさんが現れた。
「!?」
「あうん、よいん」
変なおじさんは変な言葉を話してきた。様子がおかしい。
そう、そのおじさんは正確に言えば、変なシゲミだった。
変なシゲミは松本を抱きしめる。
「小学生なのに受験勉強を頑張るなんて、いい子……」
「ちょっと、シゲミ叔父さん、勉強ができない」
「うふ」
「放してよ」
「あうん」
「放せよ」
「よいん」
「放せコラ!」
「ドッ」
松本は、腹を殴ってシゲミを突き飛ばした。
「いくらシゲミ叔父さんとは言え、勉強の邪魔をすることは許さない」
「うふ、照れちゃって。かわいい」
「ベロン」
不意に、シゲミは松本の頬を舐め回した。
「!!!?」
松本は全身に寒イボが襲った。
次に、冷静さを取り戻し、更にそれは怒りの感情に変わった。
「ブスッ」
松本は人差し指と中指でシゲミの目をつぶした。シゲミが泣き叫ぶ。
「ああああああああああああああああああああああああ」
「いねやあああああああああああああああああああああ」
小学生にして身長175cm、体重78kgあった松本はそのまま目に突き刺した指を支点にシゲミを投げ飛ばした。
「パリィイイン!!」
窓ガラスごと、シゲミは外に吹き飛ばされた。
シゲミ、死す!!!!
尚、葬儀は行われなかったという。
その件でひともんちゃくあった松本、受験は失敗に終わった。
受験は団体戦です。周囲の大人の方は受験でナイーブになるお子様に最大限の協力をしてあげてくださいね。




