第六節 イブキの修学旅行その5
第六節 イブキの修学旅行その5
「バッ!」
「ガバッ」
イブキと常盤さんは、似てんどうスネッチを取り出した。
「いざっ!!」
「デュエル!!!!」
小一時間後――、
「何で5戦5敗なんじゃーい!!!!」
イブキが嘆いていた。
「イブキ、ボケもんも弱いなー」
常盤さんは呆れ返っていた。
「何でやー! 何でなんやー!!」
「うーん……」
ここで佐伯さんが口を開く。
「対面が不利じゃない限り積み技を積んでアドバンテージをとっておきたいよね……」
「!」
「!?」
「でも中ボケ狩り講座(中年ボケ狩り講座じゃないよ)・講師〇こう氏も言っていたように、居座ってみるという立ち回りから学べるものもあるよ。かっちりと型にはめるなら、昆布戦法、初手ステルスロック、まきびし等を打って無理矢理交代させる技を打ち続けるっていう戦法も有名だよね。でも、それなりの耐久型ボケもんでも弱点を突かれると一撃で倒されてしまう現環境においては安易に先発させるのはあまり賢くないと思うの。それから天候パも誰? MAX技で簡単に天候が変わってしまうから、安定しないよね。うーん、立ち回りを有利にして、積み技を積むのが基本になってくるのかな? そうは言っても受けボケもんで受け続けるのが安定してるね。交代読み交代はリスキーだって言う人も居るけど、あからさまな相手側不利対面だと交代してみる時代になってきたんだと思う。それから……」
「ストォーップ佐伯さん。イブキ、今の話、分かる?」
「ま……まぁな……」
ホントは分かってない。
常盤さんに対し、イブキは嘘をついた。
「ちょっと、イブキさんスネッチ見せて」
佐伯さんは止まらない。
(あー、こうなった佐伯さんはブレーキ効かないからなぁ)
常盤さんは頭を重くしていた。
「うわっ、ちょっとイブキさん! 全部旅パじゃんかぁ!! それに性格ミントも使ってない……しかも努力値もテキトー。これじゃ勝てないよ」
「!!!?」
イブキは混乱した。いや、錯乱状態になったと言ってもいいだろう。
「まずね、〇タモンを用意して、……でももう間に合わないか……もう仕方ないから、全部レベル100にしないと……あと努力値、基礎ポイントというものがあってね、それを……」
「バッ!」
佐伯さんの言葉を遮るように、イブキは右手をかざした。そして……、
「ボケもんは――、小学生がやるゲームだ……。アタイは卒業するよ」
イブキ、ボケもん卒業!!!!
そこへ――、
「ガチャ」
「!!」
「!?」
担任教師が見回りにやってきた。
「何か揉め事か? ……何だ!? その光っているものは!!」
イブキと常盤さんは咄嗟にスネッチを布団の中に隠していた。
「ウォークマンです」
佐伯さんが機転を利かせて、話した。
「そうか、なら良いんだが……(何で布団の中にあるんだ?)じゃあな、早く寝ろよ」
「バタン」
担任教師は帰って行った。
「チキショー! 4dsならたためば済むのにぃ! 似てんどうスネッチのバケ!! ボカ!!」
イブキは似てんどうスネッチに当たり散らした。
「危なかったね」
「ふー。佐伯さん、ありがと」
「いやいや」
イブキは癇癪を持ち続けている。
「アタイはもう、戦わん! 寝る!!」
イブキはふて寝を決め込んだ。
「あちゃー」
「私達も寝る?」
「スピー」
女子Aはボケもんが始まった辺りから専門外なので寝ていた。
「……」
「寝よっか」
イブキ部屋、全員就寝!!
翌日――、
朝食を食べ、ホテルを後にする一行。
「修学旅行は今日で最後だ。国際通りで、お土産を買って帰る感じになるな」
教師がバス内で生徒達に言い掛けた。
(イィーン、散々な修学旅行だったゼェ……)
イブキは涙していた。
――、
国際通りに一行は辿り着いた。
「何買う?」
「キーホルダーとかあるぜ」
「私はご当地おやつかな? あ、ハイチュ〇がある!」
生徒達は和気あいあいとしていた。
(フ……。ガキは気楽でいいぜ……)
イブキは独り、黄昏れていた。
そこへ――、
「トンテンカントンピー、トンテンカントンピー」
イブキの携帯が鳴り始めた。
電話主は――、
「ガチャ」
「よぉ、松五郎。元気にしてたか? お金はあるか? 友達、出来たか?」
「俺は松本だ。イブキ、昭和歌謡の歌手に怒られるぞ?」
「フー」
タバコもないのにふかすイブキ。
「今どこに居る? アタイは修学旅行の最中だ」
「とりあえず、アメリカだ」
「!?」
イブキは目を見開いた。
「アメリカ……だと……? キサマ! 何でアメ公なんぞに魂を売った!? あの敗戦を忘れたのか? あの戦争から、何も学ばなかったのか!!!?」
「黙れ、いっちょ前のコトを言うな」
「シュン」
イブキの背中が小さくなった。
「ここでは学べるものが多い。主に、ビジネスについてだがな……半年もすればそっちへ帰るさ。ここで学んだコトを、日本で活かしたい」
「! 半年後には、戻ってくるんだな……?」
「ああ、戻るさ」
「なら、とっておきのポテチを買って待ってるからな!」
「ピッ」
イブキは電話を切った。
イブキの修学旅行は、シークワサー味のポテチを買ったところで、終焉を迎えた。




