表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/20

第二節 イブキの修学旅行

第二節 イブキの修学旅行




イブキ、高校二年生の秋。都立あーだこーだ高校のホームルームにて――。


「明日が待ちに待った修学旅行だぞー」








「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」








イブキのクラスの担任の一言で、教室内のボルテージは最高潮に上がった。




因みに、その年既に〇△□×(丸さんかっけぇ死角無し)高校を卒業済みの松本、彼のその後を知る者はいない……。




「旅行先は知っての通り、沖縄だ」




「ハイハイハーイ!!!!」




イブキが全身全霊をかけて右腕を上げた。


「何だ? イブキ。質問か?」


「秋といってもあの沖縄。当然、泳げるんですかいー!!!?」


多少、言語障害になっている。


「イブキぃ、日本語は正しく使おうな。だが、その質問には答えてやる。天気によるが、海水浴には問題ないだろう」




「ヒィィイイイイヤッフゥゥウウウウウウ!!!!」




有頂天のイブキ。


「こらこら、あまりはしゃぐな」


(何持ってこっかな? トランプ、UNO、ピザ〇テト、ボケもんもいいかな?)


担任はイブキをなだめたが、あまり効果は無い様だ。


「ひとまず、だ。持って行っていいお小遣いは2万5千円だ。多く持って行ったら、一時的に没収するからな! あとは、不必要なものを、持ってかない様に!!」






『はーい!』






かくして、イブキのクラスのホームルームは終わった。






その夜――、


「佐伯さん、常盤さんをグループに入れてっと」


イブキ自室にて、どうやらイブキはスマホで連絡を取り合う様だ。




イブキ:明日はボケもん持ってこ―ぜ!?




常盤さん:おっいいねー




佐伯さん:え? いいのかな?




イブキ:全責任はアタイが負う!! 泥船に乗った気持ちで居ればええんや!




常盤さん:にゃはは! それ、大船の間違いじゃね?




佐伯さん:余計に不安になるよー




夜は更けていった。






そして――、




「皆居るかー!? 点呼をとるぞー」




修学旅行当日がやってきた。




一同は学校からバスに乗り、羽田空港に向かった。


「バリバリバリバリ、むっはー! ポテチが止まらないぜ!!」


イブキはバスの中、朝っぱらからポテチを頬張っていた。流石の担任もそれを見逃す事はできず、


「おーい、イブキぃ。ここで降りるか?」


「!? な、なな……」


動揺を隠せないイブキ。そして深々と頭を下げる。


「お代官様ーそれだけはお許しをー!」






「アハハハハハハ!」






バス内は笑いに包まれた。






数時間後――、


「よーし、空港に着いたぞ。もう一回点呼だ」


一行は羽田空港に到着した。


「何だ!? あんなにいっぱい鉄の塊が滑走して……な!? 飛んだ……だと……!」


「お前はいつの時代の人間だ? 飛行機も知らんのか」


「にゃはは、ウケる―」


驚愕するイブキ、それにツッコミを入れる担任。それを見た常盤さんは、笑いを堪えずにはいられなかった。




『まもなく○○時○○分の、那覇空港行きの便が発着します。該当の方は搭乗ゲートまでお越しください』




アナウンスが流れた。


「よし! 飛行機へ乗るぞ。皆、遅れるなよ」




『はーい!』




都立あーだこーだ高校一行は、飛行機に搭乗した。




『プー、プー、プー、……皆様、間も無く離着致します。シートベルトをもう一度ご確認ください。那覇空港への到着は……』




機内、アナウンスが鳴っている。


「ワクテカが止まらねぇ」


イブキはウッキウキだった。


「ガシャン」






「!?」






飛行機が離陸のため、動き出した様だ。








「ゴ――――」








乗客全員にGが掛かる。








「!? !? !?」








イブキは錯乱状態になった。次いで、


「ス……」


機体が離陸した。掛かっていたGもいつしか無くなっていた。


「ふいー、三途の川を渡りかけたゼー……!?」


ふと、機内から外を見るイブキ、陸地が遠のいていくのが見えた。


「ああぁ!! アースがァアア!!!」


「黙れ」


しびれを切らした担任が、遂にやってきた。


「お前なぁ、いくら飛行機が初めてだからって、はしゃぎ過ぎだ。高校生ならもっと、落ち着きをだなぁ」




「あ!!」




「!?」


再びイブキは機内から外を見る。


「雲に……近づいていく……」


「無視かコラ」


暫くし、機体は雲よりはるか上空を飛んでいた。


「ひゃっほーい! 今標高何mだ? 更なる高みへ、アタイは辿り着いたぞ!!」


(……馬鹿に付ける薬はない……)


担任はイブキを説得することを諦めた。




一同は知らなかった。この旅が、一体どのようなモノになってしまうのかを――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ