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松本という漢Ⅴ  作者: 時田総司(いぶさん)


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第十節 ハロウィン

第十節 ハロウィン




今年も、何時頃からか分からない、いつの間にか流行り始めた行事の季節がやってきた。


そう、ハロウィンの季節である。


「Trick or treat」


幽霊やお化けに扮した子供達がお菓子を求めて近所を訪ねてくる……。というのは最早過去の産物で今は渋谷でハイテンションな若者達がコスプレをして大量のゴミを排出するというイベントになっている。


「ムッハー!! カッコイイ男性がいっぱいれすー」


後ろ美人、kもまたこのイベントで新たな不倫相手を探すべく、お粗末なコスプレ(変装?)で渋谷を徘徊していた。ハロウィンの渋谷では、役になりきるか、気合を入れ過ぎで上半身裸の状態の男性も多数居た。


「半裸の男性が、あんなに……」


kは興奮している。


「よっしゃー! 旦那のk氏さんの○○にも飽きたころだし、今日はワンナイトラヴでベッド一直線れすー」


お前もある意味k氏さんだけどな。kは手当たり次第に近くにいる男性に話し掛ける。


「Trick or do with your ゴールデンボール」


kは頭の中お花畑なので文法が間違っているかもしれない。しかし多数の男性に手を出したいkは話し掛けるのを止めない。




「Trick or do with your ゴールデンボール」


「Trick or do with your ゴールデンボール」


「Trick or do with your ゴールデンボール」




周囲は何となくニュアンスを理解し、ドン引きした。




「何だコイツ」


「気色わりーな。シカトだシカト」




「……」


独り、孤立するk。


「スッ」


どこかへ歩き出した。




小一時間後――、


「ウェーイ」


「ッハハ!」


ハロウィンは相変わらず明るく盛り上がっている。


そこへ――、


「ギラッ」


眼光鋭い、kが現れた。左手には出刃包丁を持っている。




「キエエエエエエエエエ!!!!」




kは暴走し始めた。




「わぁああああ!!」


「に! 逃げろぉ!!」


「ぎゃあああああ」




渋谷は阿鼻叫喚に包まれた。kから逃れようとする若者達。しかし運動神経のリミッターが外れたkは女子のそれと比べると格段に高い水準の機動力で走ってきた。




「ガッ」




「あぁ!」


「ドサッ」


足をつまずかせた男性が、こけてその場に手をついてしまった。


「キエエエエエエエエエ!!!!」


「わぁ!! ヤバい、逃げないと……うっ」


こけた際に足を捻挫してしまった男性。立ち上がれない。




「キエエエエエエエエエ!!!!」


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」




kの出刃包丁が、男性に襲い掛かる!




瞬間――、




「ゴッ!!」


松本がkの後頭部に殴打を繰り出した。


「あばっ!」


kはその場にうずくまる。そして、正気を取り戻したのか、松本に話し掛けた。


「あいぃぃいい! まちゅもちょらん、Trick or do with your ゴールデンボール」


やっぱり正気じゃなかった。


「……」


「Trick or do with your ゴールデンボール!」


暫くだんまりだった松本だったが、遂に口を開く。




「キモい!!!!」




「ゴッ!」


kに正面から一撃を食らわす。




k、死す!!!!




尚、葬儀は土葬だったという。








「ふぅ」


「ガチャ」


松本は自宅に帰宅した。


すると――、




「Trick or treat」




玄関に、マトリョーシカに近い服装の、座敷わらしの様な子供が、青白い顔で佇んでいた。


「――!!」


思わず血の気が引く松本。次いで、その子供は口を開いた。


「いいからチョコ出せやオッラーン!」


その子供の正体はイブキだった。


「! 何だ、お前か。驚かせやがって」


「見て見てマツモーン、お菓子一週間分貰って来た」


「俺は松本だ。よくそんなに訪問してきたな。恐れ入るよ」


「ハッハッハー、アタイのコミュ力を舐めるなよ?」


かくして、お菓子をゲットできたイブキ達。




痛ましい事件が多く物騒な現代にも、子供がやってきただけでお菓子がもらえるような世の中になってくれれば――と、切に願う。




「落ちは?」


「要らんだろ」

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