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第一節 花火

第一節 花火


漢松本、高校二年生の夏――。






「ヒュ――……ドドォン」






花火が上がる夏祭りが行われている。


「キレーイ」


松本はイブキと一緒に祭りに来ていた。


「マツモォン、アタイもあれ、飛ばしたーい」






「無理だ」






「!?」




松本はイブキの切なる想いを一蹴した。


「あんなにデカいもの、一般人が作るのは、赤ん坊に水泳自由型で大人と一緒に泳げと言っているようなモンだ。しかも、飛ばす際も火を取り扱う為に危険が伴う」


「! ……」


ふるふると震えるイブキ。


そして――、


「アタイ、もう知らない!!!!」


イブキはダッシュで自宅に帰って行った。夏祭りの最中――。




「……」




松本も、思うことがある様だった。


小一時間後――、


「帰って来たぞー」


松本が自宅に帰ってきた。


「フン!」


イブキはへそを曲げたままである。


「フー。花火、買ってきた」




「!」




松本の一声にイブキは反応した。


「マツモン……」


「俺は松本だ。あと、これはさっき見た様なでかい打ち上げ花火じゃなくて、大体が手で持つタイプのモノだがな」


「マツモン、早くやろうよ!」


「(人称変えてくれないのな)ああ、公園でやるぞ」




松本は花火片手に、イブキと公園に向かった。イブキには、水の入ったバケツを運ばせた。


「マツモォン。コレ、重いよお」


「花火をやる時のマナーだ。我慢しろ」


「Boo」


イブキは不満気にバケツを運ぶのだった。






――。


公園に着いた。辺りには偶然、誰も居なかった。


「よし、始めるぞ」


松本は手にチャッカマンを持ち、花火の袋を開けた。


「ワクワク」


イブキはウッキウキだった。


「これを持て」


次いで、松本はイブキに手持ち花火を持たせた。


「マツモォン、コレは?」


「まぁ待ってろ。これの先を俺に向けるなよ?」


更に松本は手持ち花火の着火口に火を点けた。


「ジジ……シャアアアアアアア」


手持ち花火の先からは煌びやかな火が出始めた。


「Wow……キレイ」


イブキは目を輝かせながら、それを見ていた。


「こんなのもあるぞ」


松本は嬉し気に、イブキに線香花火を渡した。火を点けてみる。


「Oh……何だか、切なくなるな、マツモン!」


「フフフ」


松本は微笑んでいた。そこへ――。








「ここで会ったが三年目! 松本ォオ!! これを食らって死ねぇ!!!!」








延安がロケット花火片手に現れた。




「!!」




「コレに、火を点けてっと……」


「ジジ……ヒュ――――――!!」


ロケット花火が松本を襲う!


「!」




しかし……!




「ヒュ――」


確かにロケット花火は松本を襲った。ロケット花火は松本の腹部に当たり、燃え続けている。


「ヒュ――」


しかし松本は動じない、動かない。


「ヒュ――……シュボッ」


ロケット花火は、燃え尽きた。


「え? あ、ちょ……」




「マツモォン、3倍返しだ!!」




動揺する延安に対して、イブキは噴射花火を松本に投げ渡した。


「だな!」


松本はそれに火を点ける。


「シュボッ……シャア――――」


火を噴き始める噴射花火。それを松本は延安に向けた。


「あ……え……?」


延安のTシャツは見る見るうちに燃えていった。








「あ――――!!!!」








延安はもだえ苦しみながら走り去って行った。




町の住民は語る。




「あー、と叫びながらシャツが燃えた青年が走っていたんです」


「あれは熱そうでした」


「不謹慎ですが、炎は何故か、キレイに見えたんです」








延安、焼死!!








葬儀は火葬だったという。




「楽しかったな!」


「うん! マツモン!!」




松本とイブキはその夜、笑顔で家路を辿った。

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