適正と違いそして100年
そんなこんなでラリーサに修行をつけてもらうこと数週間、私の体は徐々に、そして確実に精霊へと変化していた。大きく変わったところといえば髪の色だろうか、剣道部に所属していたこともあり短髪で、黒だった私の髪の毛は徐々に色が薄くなっていた。現在は濃い灰色なのだがゆくゆくは白くなり、その後属性が決まることで属性ごとの色に変わるという。この属性がどのように決まるかというと、適正によるのだそうだ。自身のもっとも適正のある属性が髪の毛に現れる。これは精霊族特有のものらしい。
私ははじめ、それって欠点なのでは?と心配になったが、精霊は精霊体になることで普通の魔法は無効化できるため欠点と言えるほど問題ではないらしい。
そして皆さんも期待していることであろう私の適正を今から発表しましょう。
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火属性…適正アリ ランク(7)
水属性…適正アリ ランク(8)
土属性…適正ナシ
草属性…適正アリ ランク(3)
光属性…適正ナシ
闇属性…適正ナシ
混沌属性…適正アリ ランク(1)
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5/8に適正があるのは割とよいのでは?と思ったがこのくらいなら50年に1人の確率らしい。なんとも微妙…100年に1人だととてもすごく感じるが、そこまででもなく、かといって10年に1人よりはすごい感じがする。結構すごいけどそこまでではない、というのがなんとも私らしい。
ラリーサは闇属性以外に適正があるらしく、世界では勇者を除けば数人しかいないのだそうだ。勇者はすべての属性を最上ランクでもっており、上位属性が生まれつき備わっているのだそうだ。
あ、上位属性というのはランクが10になった者が新たに得る属性のことだ。例えば火属性ならば炎属性、水属性ならば氷属性、土属性は鋼属性、草属性は木属性、である。
光属性、闇属性、混沌属性には上位属性はないという。
ということで私は一番適正のランクが高かった水属性を極めることにした。早く氷属性に進化するために特訓中である。特訓と言っても基本的には水属性の精霊術を使うだけである。精霊術は魔法と属性という点では一致しているが、仕組みが根本から違う。魔法は自身の体内に生成される魔力を利用するのに対し、精霊術は世界に満ち溢れる精霊力を利用する。
精霊力は世界のどんな場所にでも存在している。そのため、エネルギーは無限に近い。しかし、問題が1つある。それは、短時間に精霊力と取り込み使用しすぎると、体の構成バランスが崩れてしまうことだ。肉体が精霊力に呑まれ存在が希薄になり、最後は世界と一体化する。つまり、死ぬのだ。
このキャパシティは人によって違い、多くの精霊族がキャパシティ管理を誤ってこの世を去っている。
魔法使いは魔力が尽きても意識を失うだけで命は落とさない、ここが最も大きな違いである。
もちろん私も、キャパシティの限界の管理をしながら特訓を行っている。もちろんラリーサに礫を撃たれながらだ。具体的には、ただひたすら水を生み出し続けている。これが一番精霊力の消費が少なく、精霊術を体で覚えることができる。とラリーサが言っていた。
精霊術に触れる時間が少しでも長いとよいらしい。それを聞いた私は寝ている間に何とか使えないかとラリーサに相談したところ。混沌属性の身体強化精霊術を教えられた。と言っても、寝ている間に死んだら目も当てられないので、寝る時間は休むことに集中することにした。ラリーサのキャパシティでは寝ている間でも無意識に精霊術の出力を調整して、朝まで発動し続けることができるらしい…イミワカラン。維持することに必死な今の私では到底できない芸当だ。
そんなこんなで100年