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1-5 『主人公補正の有無、それが重要だ』

え、なんで、どうして、さっきまでの笑顔はどこ?

別人みたいな目つきしてるんですけど!

純粋ガールはいずこに?雪の妖精さん(仮)が、氷の女王にジョブチェンジしてるんですけどぉ!


おちつけー、びーくーるだ、ビークール。

まずい時には現状分析だ。なに、何かまずいこと仕出かしたなら、説明すればいいだけだ。そんな意図じゃなかったんですってな!


よし、たしか…

1.まず僕、500円玉の価値を知らずに礼としてあげた。

2.で、その価値の高さに受け取れないと言った妖精さん(仮)に、お願いを一つすればトントンになんじゃね?と提案した。

…此処がアウト1だな。

3.そのせいで、どんなお願いをされるのか、妖精さん(仮)は警戒した。

4.何でも無いお願いをすれば、警戒が裏返って好意になるんじゃね?と、テンプレなろう主人公的行動をとる。

…んー、冷静に考えると、胡散臭さハンパないな。恩売ってる感しかねぇ。

アウト1かなぁ。

5.なぜか妖精さん(仮)、敵意?殺意?を向けてくる。←イマココ


……なんで?

いやさっぱり分からん。3アウト飛び越して、ゲームセット寸前までいく程とは思えん。状況的に、4でマズったんだろうけど、恩を売る感満載の行動がまずかったのか?地雷踏んだ?


「…そう言う意図が何を指しているのかは分かりませんが、仲良くなれたら良いな、なんて下心があったことは否定しません。」

と、幽霊を見たときのような、と寒気が襲ってきた。

茜色に綺麗に染まっていた空は、黒い絵の具を乱雑に塗りたくられたかのようになっていた。


「仲良く、ねぇ?」


やっちまったー!

こんな時に地雷踏み抜くとか、何やってんだよ僕ぅ!

これ絶対仲良くに、(意味深)ついてるよ!

腹黒いっぱいの学生生活は何だったんだよー!

あ、だから苛められまくってたのか。理解したわ。


「はい。健全な男子なら、あなたのように綺麗な女性の方と仲良くなりたいと、誰もが思うはずです。」

力強く、そして断言する。健全な、のところを強調したのは、決して気のせいじゃない。だってアピールしないと死ぬもん。


「それはそうかもしれないわね。」

褒めちぎり作戦は効いてないが、(意味深)を外すことには成功したか…?

「でもね」

何だ?

「私にはあなたがその、健全な男子とは思えないのよね?」

え、なんで?

異世界の基準は分からないけど、僕以上に健全な男子は早々いないぞ?

男子校に通ってたおかげで、女性耐性0だもん。

名前で呼んでって言われても苗字で呼び続ける自信だってあるんだぞ?

逆に不健全と言われればそれまでだけど。


「不健全な行動をした覚えは無いのですが…。」

「私にあんなことを言っておいて。なんて白々しい。」

言った言葉がまずかったのか。

ってことは、え、名前を聞くのって、異世界の常識的には悪手の極みなの?

そんなん知るかよ。これだから異世界は嫌なんだよ。

なんだよ名前を聞いたら殺意向けられるって。

「名前をお尋ねしたこと、申し訳ありませんでした。」

名前を聞いたらいけないなんて意味不明だし、納得できないけど、此処が異世界である以上、そう言うものであると受け入れて謝るしか無い…。

「それだけ?」

嘆息と共に、侮蔑の眼差しを向けられる。

「は?」

それだけ?

それ以上に何をしろって言うんだ?

「此処まで言ってあげてるのに、まだ自分が有利だと考えている様子ね。」

こっちが有利?

いやいやいや、どう考えてもこっちは不利な方にしか思えないのだけど。

「まあ良いわ。あなたの擬態に騙されたのは事実だもの。大したものね。」

一瞬で現れた氷の剣を手に携え、擬態とやらを称賛し始めた。

「まさか、演技のために魔素中毒になるなんて、今でも信じられないわ。」

擬態?魔素?中毒?

一体何の話だ?話が見えてこない。


…何てこった。多分何かと勘違いされてるなこれ。

しかもその相手は嫌な奴っぽい。

仕方ない。リスクは高いが、洗いざらい話してでも、誤解を解くしかない、か。

「あの」

口を開いたその瞬間、背中が焼けたように熱くなる。

暖かくも冷たい、奇妙な感覚が背筋を駆けると同時に、足元がおぼつかなくなり、地面に倒れこむ。

「あなたに何かさせるほど、油断してるとお思いで?死ぬより辛い目にあわせてあげるわ。」

目を上げると、そこには、人間大の大きさになった彼女が立っていた。

背中の方へ目を向けると、さっき彼女が手に取った剣よりも、はるかに大きな剣が突き刺さっていた。


体が急速に冷えていく。血が大量に流れているのだろう。

目眩だってしてきた。

意識を失う前に、何としてでも誤解だと伝えないと...。

「 。」

声をだそうとするも、口をパクパクと開けることしかできない。

「…魔素を空にしても意識があるなんて、あなた本当に人間?魔素中毒で倒れてたのも、ブラフってこと?」

続けて、何事かを唱え始めると、手から靄のようなもの出てきた。


…そういうことか。

あの時意識が飛んだのは魔素とやらの中毒になりかけてたからで、水を飲んで体力が回復したように感じられたのは、魔素とやらを摂取してたからか。

ということはつまり、空気中にも魔素があるってこと…?


もー嫌。


やっぱ、異世界になんて、行くもんじゃねぇな…。

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