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一言、ミカちゃんはいった。


「あの絵と関連してる絵はこれだけです」



そう言って取り出したのは真っ黒な絵だった。どこかの廃墟?いや…これは、トンネル?この絵を見る限り、左は行き止まり。右側に小さく白く光る点があるのがわかる。多分、それが出口なのだろう。そしてそれより大きく光る赤い点が二つある。非常灯か何かか?



その後、絵について質問してもミカちゃんは何も答えてくれなかった。わたしにもよくわかりません、と首を振るばかりでなぜ懐かしく感じたのか理由もよくわからぬまま、部活に集中したいので、と言われてわたしたちは美術室から出るしかなくなった。



その後、みんなと解散してわたしは帰宅、みんなは部活へと向かった。なんで、見たことあるんだ、あの風景。なのに、トンネルの絵は見たことなかった。なんでだ。あの子はたしかに知ってるはずだ、あの風景のことを。なんで、隠す?





知られたくない場所?


いや、それだったらまず絵に描かないだろう。わからない。考えても考えてもそれらしい答えは浮かぶことはなかった。


ご飯を食べて、風呂に入って。自分の部屋に戻ったものの、ずっと絵のことが頭に浮かぶ。気になるのは、あのトンネルの絵だ。わからない、わからない。



「…もう考えてもわからない!寝よう!」



いつもよりも早くベッドに潜り込み、目を閉じた。ふ、と眠気が襲ってくる。それに抗うこともなくわたしは眠気に身を任せた。だんだん意識が揺らいできて、わたしはそのまま眠りに落ちた。















はずだった。





「う…、?」



体に急に冷たい感覚が走り目を覚ます。布団で眠ったはずなのに、なんなんだこのザラリとした感覚は。慌てて飛び起きる。真っ暗闇だ。何も見えないはずなのに、なにかが倒れているのが見える。目の前に倒れているのは。



「絵凪!?ナユ!リョウ!」



倒れている三人に駆け寄った途端、後ろに気配を感じる。三人を背に後ろを振り向けば、そこには依が倒れていた。


「依!」





みんなの体をザッと見たものの外傷的なものはなく、熱や息も荒くないことからただ眠っているだけなのではという結論に至った。わたしにはこれ以上何をすればいいのかわからない。みんなを起こそうと揺らしたり軽く叩いたりしたものの微塵も起きる気配もなく眠り続けている。毛布をかけてあげたくてもわたしは何も持っていない。



仕方なくみんなをその場に放置して辺りを簡単に探索する。焦って慌てふためいても仕方ない。本当は叫びたい。暴れたい、なんでわたしがこんなことって言いたい。けど、そうしたって何にもならない。じゃあ、有益な行動をするべきだ。



だって、全く知らない場所じゃない。

この場所はさっき見たあの場所だ。




ミカちゃんの絵のトンネルだ。わたしが目覚めた時の位置に行けばあの絵のままだった。

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