表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

Search now...

学校に近づくにつれ、同じ制服の人間が増えていく。ざわざわと周りの音もうるさくなっていく。


「おはよー、優」


後ろからトン、と肩を叩かれ声をかけられた。後ろを向いて声の主を認識する。あ。


「絵凪、おはよ」


多分、親友ってやつ。そんで幼馴染。幼稚園からずっと一緒だ。今年も同じクラスなのでそのまま一緒に教室に向かう。下駄箱で靴を履き替えながら絵凪の話を聞く。


「あ。リョウ!おはよ〜」


「よーっす」


「おはよー」


もう一人の幼馴染である、リョウ。本当は理音宇なんだけど、呼びにくいからリョウ。彼も同じクラスである。


リョウの周りには彼と同じ剣道部仲間である那由多と、弓道部の依がいる。


「ナユも依もおはよ」


「優ちゃんおはよ〜」


「おはよ」


基本的にこの五人でわたしの高校生活は成り立ってる。


「あ、ねえねえミカちゃんの絵が校長室前に飾ってあるらしいから見にいこうよ!」


絵凪と同じ美術部の子だ。一個後輩で、ちょっと変わった子らしい。けど実力は確からしく、今から見に行く絵も、それなりに有名なコンクールに入賞してやっと帰ってきた絵らしい。


特に誰の異論もなくHRまで時間もあることだし、と皆でその絵を見に行くことになった。




その絵は圧巻だった。簡単に言えば中世ヨーロッパの街並みのようだった。


題"もう一つの故郷" 作"猪野塚 実果"


分かる気がした。どこか懐かしくて、見たことのある風景。頭のどこかで知ってる気がするのに、思い出せない。誰かがここで、私を待ってる気がする。わたしはここに暮らしてるし、暮らしてる人を知っている気がする。そんな絵だった。もやもやが取れない。


「絵凪、この子の絵他の見れないの?」


「え?放課後の部活で許可もらえば見れると思うけど…」


「お、俺も!」


「俺も見たい!」


「俺も見てえけど、ミーティングで遅れられないから写真撮れたら送ってほしい」



これないのは、依だけ。


「今日、美術部お邪魔してもいい?」















放課後。


「ミカちゃんもういるらしいよ!」


美術室の前にわたしたちは立っていた。柄にもなく、緊張している。バクバクと心臓が波打つ。ガラリと絵凪がドアを開ける。そこには一人の少女がいた。光に透けるような薄い茶色の髪。分厚いメガネをかけているもののその奥の瞳は溢れそうに大きかった。その姿は制服さえ変えれば、あの絵の中に紛れても違和感がないようで。まるで。



天使のようで。



まあるい瞳がわたしを見た。それがゆったりと細められる。長い睫毛が影を落とした。



()()()()()()()()()、先輩方」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ