表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

ここは異世界……!?

初投稿です

よろしくお願いします

―――水の音が聞こえる。まるで自分の体が水に溶けていくかのように、手足の感覚が鈍く、今自分がどこにいるのかすらわからない。けど、そんな曖昧な感覚がどこか気持ちよくて、意識すらもこの水に溶かしてしまおうかーーそう思った瞬間、一瞬にして水が弾ける音がした。



ドスン!!


「………うにゃっ!!」

いたた……。落下したのが柔らかいベッドの上で良かったぁ。ぶつけたお尻がじんじんする…。ん?何かおかしい。お尻をさすっている手があまりにも小さいような…

「ぅえっ!?」

あれ?なんで、僕こんなに小さくなってるの?

薄紫の髪、白い肌、プニプニの手、ちっちゃい足…。

「な、なんで…?それにここ、どこ…?」

プニプニおててから視線を外して、周囲を見てみると、全く知らない部屋だった。大きな天蓋付きのベッド、アンティークな家具、壁にかけられたいかにも高価そうな絵、ふかふかな絨毯…。まるで中世ヨーロッパの貴族の屋敷のような…。

「と、とりあえじゅ、ここで座っているわけにもいかにゃい…。」

何で小さくなってるのか、とか、髪色が薄紫ってなんだ、とか全然呂律が回ってないこととか色々と理解できないことがたくさんあるけど、何だか一周回って冷静になった。


 (ひとまずここから出てみよう)

とは思ったものの…。身長が小さいせいで、ドアノブに手が届かない。キョロキョロと何か踏み台にできそうなものがないか探していると、窓際に木製の椅子があった。あれを使おう!

「よ…いしょ…んっしょ…よっこらしょっ!……………ふう。」

気合いで椅子によじ登る。

 (ドアを開けるだけでこんなに大変なんて…)

ラッキーなことに鍵はかかっておらず、ドアノブはすんなりと回った。


――ガチャ

「やった!」

1つ目のミッションをクリアし、部屋から出ると、お城の廊下のようだった。

「ほへぇ……」

  あんぐりと口を開けながら、間抜けなため息が口からするりと出た。小さい身長も相まって天井がとてつもなく高く感じる。明かり取りのためか、大きな窓が等間隔で並んでいるて、繊細な刺繍が施されたカーテンは綺麗に飾り紐でまとめられている。ぽてぽてと短い足を動かして歩いていると、急に上から影が落ちてきた。振り返ってみると、白銀の滑らかな髪を後ろで1つに結んだ儚げなイケメンが片腕に紙の束を抱え、モノクル越しにこちらを見下ろしていた。


「こんにちは」

「あ、あの……。」

「あぁ、すみません。こんなところで一体どうしたのですか?」


 びっくりして何も言えなくなった僕を見て、怯えてると思ったのかしゃがんで目線を合わせてくれる。


「ぼく、迷子で……。」

「なるほど。では、一緒にお父さんを探しましょう。あなたのお名前は?」

「り、りお、でしゅ…」

「リオくんですか。可愛い名前ですね。お父さんのお名前は分かりますか?」

「…え、えっと……」



まずい。そもそも僕は親に連れられてここに入ったわけではないから、お父さんなんているはずがない。子どもが一人こんなところにいるなんてどこからどうみても怪しすぎる。…気づいたら知らない場所、西洋風のお城、目の前のイケメンに生えてるうさ耳…………これって、まさか噂の異世界転生ってやつですかっ!?

と、とにかくどうしよう…!この目の前のうさ耳イケメンはいい人そうだけど、ここの一番偉い人もそうとは限らない。いくら小さいとは言え、僕は得体のしれない侵入者……。これって、詰みでは……(汗)


とりあえず、今僕がすべきこと…。それは………


「ごめんなしゃいぃっ!」

「あ!リオくん!?」


走って逃げることっ!!!昔の偉い人が言ってた!!

三十六計逃げるに如かずって!!これは戦略的退避なのだ!!

 うさ耳のイケメンはこちらに手を伸ばしてきたみたいだったけど、なんとか体をひねって躱し、一目散に逃げ出した。



ぜぇ…はぁ…

必死に逃げて今は偶然ドアがほんの少し開いていた物置きのような場所に隠れている。

「はぁ、はぁ…ちゅ、ちゅかれた……」

埃っぽい床にズルズルと座り込むと自分の格好が目に入った。白い無地のワンピースのようなもの。普通はこんな格好で外にでないし、そういえば、靴も履いてなかった。怪しさ満点である。

さっきのうさ耳イケメンも優しく声をかけてきたけど、内心怪しんでただろうなぁ…

やっぱり逃げて正解だったかな……。

そう思うとホッとすると同時に力が抜けた。

(―これからどうなっちゃうんだろう。)

そんな不安を覚えつつ、膝を抱えると急に体がだるくなった。小さい体というのは燃費が悪いらしい。寝てはまずいと思いながらも、襲ってくる眠気に抗えず、瞼を閉じた。

(どうか、誰にも見つかりませんようにーー)


2019/07/16 読み返して気になった箇所を修正しました。話の流れは修正前と変わりません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ