プロローグ
この世界には、とある伝説がある。
〜誰にも消すことのできない最強の男〜
だが人々は、これを単なる伝説として認識しており、信じているものは、いない…。
202X年。
アメリカが世界統一を果たした。
全国名が「アメリカ合衆国」となり、全国を収めるアメリカ大統領には、シン・ディクテイトが在任した。彼は生粋の独裁君主で、気にくわないものがあればすぐに消す。こうして独裁政治はしばらく続いた。
スイート・ゾウンという、薬物乱用防止の非公式組織の首領、荒波全星は、「9SARI」と言う薬物を追っていた。
どんな作用を起こす薬かは知らないが、それが違法薬物だということと、主に政府を中心に横行しているということだけは知っていた。全星はいち早く9SARIの正体を暴きたかった。そして世間に広まることを阻止したかった。
その焦りがミスを誘った。たった1つの証拠隠滅不足で、全星が9SARIの正体を追っているということが政府にばれた。そしてすぐに、全星と、妻の由美子が殺され、息子の懸星は9SARIの実験台として捕まった。9SARIとは、自分に対してではなく、相手に対して使うものだったのだ。その作用は、記憶の消去。懸星は自分に関する記憶を失い、孤児院に引き取られた。
その頃、9SARIの正体を追っている男がもう1人いた。名を、鎮座 深也。鎮座は、元FBIの天才ハッカーであり、今はスイート・ゾウンのメンバー。全星とともに9SARIを追っていた。
全星が殺されたことを知ると、鎮座は自分の命も危ないことを悟った。そして、直ちに証拠を掴み、大統領に対抗しなければならないと思った。鎮座は覚悟を決め、政府極機密情報機関をハッキングし、情報を探った。これがバレれば即死刑だ。いち早く証拠を掴まなければ。
3日後、鎮座は9SARIの正体を掴んだ。
しかしその次の日、鎮座は政府に特定され、国家反逆罪として拘束された。
そして9SARIを打たれた。
目を覚ますと、そこは謎の場所。鎮座は、そこが自分の家だとは気づかず、ただ壁を見つめていた。視界がぼやけたので、机の上にあった眼鏡をかけた。違和感を感じた。眼鏡を外すが、何も感じない。再び眼鏡をかけると、レンズに何かの傷が付いていることに気づいた。よく見ると、それは英語や数字などが並んだ文だった。何かのデータだと解釈し、置いてあったパソコンを開き、慣れない手つきでそのデータを入力した。
そこには、鎮座 深也という男の存在と、荒波 全星、由美子、懸星の親子の存在、そして9SARIの存在が記されていた。鎮座はそれを全て読み終えた後、激しい頭痛に見舞われた。そして意識を失った。
鎮座は再び、同じ場所で目を覚ました。その時の鎮座は、もう記憶を失った鎮座ではなかった。鎮座が記憶を失う前、最悪の事態を考察しデータのURLを、気づく場所にーー眼鏡のレンズに刻んでおいたのだ。鎮座が記憶を取り戻したことに、まだ政府は気づいていない。全てを思い出した鎮座は、自分のすべきことを悟った。
鎮座は孤児院の懸星を引き取った。
そして、首領、全星の弔いのためにも、この独裁国家を消すことを誓った。
そして今、独裁者と反乱者の戦いが始まる。