「神谷」ゲームでのあいつ
一応、神谷の視点のやつは外転として見たほうがいいです
多分
前回概要:母上に教えた、後悔していない。
母上:そりゃ、こんな大事なこと、真っ先に両親に教えたほうがいいわよ
おれは叡山神谷だ。
凛のやつがおかしくなった日から、それなりの時間が過ぎた。
無口なのは今も変わらない。
それについてクラス全員が心配したが、最近になって無口可愛いとか意味わからんこと抜かすやつも出た。
でも、凛はちょっとずつ、生気を取り戻している。
髪の伸びがやばいので、切らないのかって聞いたら
「切らない」
とだけ返ってきた。何故かちょっぴりビビった。
それでよ、最近ネットゲーが流行ってて、凛と晶も誘ってんだけど
「お前のアバターって」
「何か?」
「いやいやいや、女じゃんそのキャラ」
「え?凛くんの?いいじゃない、可愛いし」
「ほっといて、貢がせる趣味はない」
いや、そうじゃなくてだな?
黒ロング和風美女ってアバターなんだが、めっちゃ凛本人に似てる。
髪の長さと性別と胸以外ならほぼ同じ人といっていいくらいに、凛に似ていて洒落にならん。
「パネェな……凛」
「それより、ギルドいかないの?」
音声ありのチャットで、凛の透き通た声が響く。
さっきから気づいたのだが、こいつはチャットでなら、普段よりちょっぴり口数が多くなる。
晶と比べては落ち着きがあり、抑揚がすくないが、楽しそうだ。
「ほら、神谷くん、パーティ入ってよ、凛くん行っちゃうよ?」
「わり、すぐ入る。」
パーティに入ると選択して、晶達の後を追ってギルドに入る。
冒険に出る前に、まずはここでクラスを選ばなきゃいけないのだ。
「神谷くん、どのクラスがいいかな?凛くんは目星ついた?」
「おれは断然斧戦士だな!」
「脳筋か」
「おい、今なんて変換した?それとバカン言うな!神谷だ!」
会話中、凛がボソと毒を吐くと、勝手に二階に上がった。
こいつめ、敢えてチャットではなく、ゲームでキーボード入力してバカにするとは
後を追おうと思っていたら、凛がまた階段から降りてきた。なんなん?
「斧戦士は攻撃力非常に高いが、防御とスピードに難ありの玄人クラス、いくらバカンでもおすすめしない」
「そうなのか、ってバカン言うな!」
「ねぇねぇ、凛くん、その回復師ってクラスどうかな!」
「パーティごと一人いると便利。むしろいないとボス戦で苦労するからいいチョイス。」
「やった!」
またバカにして……くそ、覚えてろ、後で凛より活躍して吠え面かかせてやんよ
にしても、凛、詳しそうだな。二階で調べ物でもしたのかな
「じゃおれはどんなクラスがいいんだ?」
今度は素直に聞いてみる。
凛は今まで満点しか取ったことがないので、俺たちには分からなければ凛先生に聞くという習慣ができたのだ
決して凛にクラスを選んでもらいたいわけではない、ではない
「遠距離だと銃兵、近距離だとパラディン。両方とも広範囲の攻撃手段を持つので、雑魚戦で役たつ。個人的にパラディンを押す。」
「え、おれはボスをぶっ倒したいんだが」
「アタッカーならさっきの斧戦士がおすすめ。でも」
「なんだよ、難しいだけなら慣れりゃいいじゃん。」
「その場合、三人でパーティを組むと、ボクが前衛になる。」
「ぜんえいって何?凛くん」
また聞いたことのない単語だな、ぜんえいってなんだ?
「前に出て、敵の攻撃を受ける役。盾役ともいう。基本的、回復師とアタッカーは防御力低いから、守ってあげるの」
「へぇ、そんな役もあるんだ。」
「でもそんな役って、凛くんに合わないよね。」
「まぁ、別に戦うのアバターだし、ボクが痛い思いをするわけじゃないけど。パラディンもパーティ一人くらいはほしい。」
「ふん~なぁ、凛、パラディンってどういう意味?」
「聖騎士」
「よっし、おれがパラディンやろう」
「え?斧戦士は?」
「バッキャロ!晶、聖騎士だぜ!それに憧れない男はない!」
ふふん、なんかエクスカリバー!って叫んでみたい気分だぜ!
なんか凛がボソとまた何か呟いたが、その際気にしない。
パラディンの説明をNPCに聞いたら、範囲攻撃と盾役を両立できる重装備戦士だとさ
特に仲間を俺らが守るんだ!という言葉にシビれる。最高にかっこいいじゃないか!
「凛くんは?」
「肉壁……聖騎士は神谷がやるから、ボクはアタッカーの魔法使い(メイジ)にする。」
「おお、魔法か。いいじゃねぇか。」
聞けば、魔法使い(メイジ)は火力が高いが、圧倒的防御力と体力の低いクラスらしく
同じ紙防御の回復師も防御は魔法使い(メイジ)の倍あるとかないとか
凛のイメージにぴったりだな。なんか頭よさそうなクラスだ。
それで三人はクラスを決めてから、冒険に出た
「なぁ、凛。」
「何」
「俺騙されてないか?」
今、俺たちはゴブリン五体と対峙している。
ゴブリンと言えば最弱のモンスター、でも俺たちも駆け出しだから一応油断ならない
そして今、晶は凛と一緒に俺の後ろで隠れて、俺は位置が前だからゴブリンにフルボッコされている
「大丈夫よ、神谷くん、回復してあげるから、もうひと踏ん張り!」
「ルーン」
晶が杖を掲げると、俺のHPがみるみると回復していく。
その更に後ろの凛は、魔法書と使って、ルーン魔法をぶっぱなして、ゴブリンを吹っ飛ばす。
そして俺は槍を抱え、攻撃しようとしたら
「グギャ!!」
残りのゴブリン共全体の攻撃で、攻撃がキャンセルされ、また重傷になる
これってすげぇ外れの役割じゃ……
「安心して、レベル20で横薙ぎを覚えられる。」
「でもまた先のことだよな!!そもそも攻撃できないんだが!」
「いい鎧を揃えるまでどうしても攻撃はキャンセルされる、諦めて」
「凛!!!騙したな!!!!」
「ふ、坊やだからさ。」
「あ、神谷くん、ちゃんと防御を選択した方がいいよ、そろそろ回復しきれなそうだから」
「ん。安心して肉壁となる。ルーン」
もう一発のルーン魔法、また一体のゴブリンが骸となる
そして俺はフルボッコされる
「もうひと踏ん張り!神谷くん!」
「ガンバ、ルーン」
扱いが酷いが、心なしか凛の声が明るい。
ま、凛と晶が楽しそうなら、いっか
後に逆転できるかもしれんし!
私がネットゲーやってた頃
めっっちゃいっぱいの男プレイヤーに貢がれそうになりました。
なんかイヤラシイ目的で女性アバター使ったように思えて、大体断りましたが(全部とは言ってない)
何故男性たちこうも単純なんでしょうか