生きよう
生きることより、難しいことはない
とある人が言ってました
前回概要:幼女じゃなかった!!おおいいい!!!私の期待返せ!!
「な、凛。数学のノート貸せよ!」
「断る。そもそもとっていない。」
「なぜに!!」
隣に煩く喚く幼馴染を軽くあしらいながら、今後のことを考える。
私がこのまま行けば、確実にまたあの時のように身を投げることになるだろう。
私は男、だが心は女。
体と心の違いが小さい頃では明確になっていないが、それでも影響はあった。
中学頃に気づき、自分に目を逸らし続けた
最後、高校三年に自分は男に恋したが最後、遂に全部を理解し、我慢が効かなくなった。
「お前……早ぇよ、どうやったらこう早く解けるんだ?」
「慣れ」
「よし、宿題終わったら貸せ。」
「断る。勉強しろアホ頭」
「なにを!!!」
ほっぺを引っ張れられながら、黙々と宿題を終わらせる。
正直必要ないことはやりたくないが、小学の頃私はまた不良ではない。
無駄に目立たないためにやっといたほうがいい。
どうせ5分もしないうちに終わるし。
「凛さ、なんか今日雰囲気変わってんぞ」
「自覚している」
「なんか悩みあったら教えろよ、親友だからな!」
「いやあ、そもそも凛くんは助けが必要なのかな…」
「ユウトウセイでも、そいつは体弱いからきっと必要だよ!オレは腹痛で悩んでるに一票な!」
「んな馬鹿な…」
「晶。バカがうつるからバカンから離れて」
「バカン言うな!神谷だ!」
そろそろ皆がやつのことうざいと思い始めた頃だろうか
紹介しよう。後ろこちゃこちゃうるさい奴は叡山神谷。
そして、後から騒ぎに気づいて参加したのは加持晶。両方とも高校までの腐れ縁。
高校の頃には二人が付き合い始めたらしく、私も二人とあんまり話さなくなった。
一応中学生になってからバカンもとい神谷は落ち着き始めるので、一応女にはモテる。
でも私からは、バカンという不名誉のあだ名からいつまでも卒業できなかった。
「本当に大丈夫か?」
「……ん」
私が無反応と見て、首に手を回して自分とこに抱き寄せ、心配そうに尋ねる。
こいつの無意識の女たらしは小学生でも変わらない。
だから神谷はバカンでいいのだ。バカンバカンバカン
「きゃはは!凛くん顔まっか!!」
「あん?」
「…」
そう、皆もお気づきであろう。
何を隠そう、そのバカン……叡山神谷こそ、私の初恋の相手、
そして、私の心に止めを刺した相手である。
別にあいつに告って、振られたわけではない。
だた気づいた頃には、もはや彼は晶とくっついてた。
その日からなんとも言えない苦しみに責められて、あれからほどんど毎日彼のことしか考えられなくなった。
忍耐して一年で理解した。
私がいつも耐えているのは、彼がそばからいなくなったという喪失感。
二年もかけて彼らを観察した。
卒業する頃にはついに諦めがついた。
そして気づいた。二人はいつもつるんでいる割に、身体接触が少ない。
私が死人のような目をしているから、遠慮しているのか、心配してそれどころではなかったかと判断。
そして私は死んだ。それが正しい道と信じた。
「おい、凛、そろそろ体育行こうぜ!」
神様が時間を巻き戻した理由はわからない。
でも、一つだけはわかった
「ん」
神様は、自殺をお許しにならない。
神様は、生きよと仰せだ。
「いこ」
神谷の手を引く。
健康的な赤黒い肌に、一抹の桜色がふわりと彩る
「バカン」
「バカン言うな!!神谷だ!」
ならば、今度こそ、本気で生きよう。
呪いを纏ったまま、生き続けてやろう
そう心の中誓って、私は神谷といっしょに教室を出た。
言ったの私ですけどね