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悪役令嬢の恋愛事情  作者: 水無月静琉
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1.わたしですか?

 ご機嫌よう。

 わたし、南波なんば 潮里しおりと申します。

 本日、高等部の入学式を終えたばかりの15歳の女の子です。

 突然ですが皆様は“乙女ゲーム”というものをご存知でしょうか?

 そうです、アレです。

 ヒロインの美少女が様々な攻略対象キャラである美青年達(王道系に軟派系、インテリ系にヤンデレ系など)をあの手この手を使って、恋に落とすというアレです。

 えっ? わたしですか?

 以前に少々、嗜みました。ふふふっ。


 以前といっても残念ながら、皆様が思ったこととは違うと思います。

 わたしが以前と申したのは、前世での話しになります。

 あっ、はい。そうです。

 ご想像の通り、わたし、転生者で前世の記憶を持っているんですよ。

 前世持ちといってもわたしは間違いなく南波 潮里で間違いありません。

 記憶が戻った当初、5歳だったわたしは大いに混乱致しましたが、今ではほとんど関係ない感じですね。

 成長過程で性格に多少の影響はあったのかもしれませんが、それも含めて潮里わたしですし、どちらかというと記憶や経験などが知識としてある。

 そういった感じになります。


 どうしてこんな話しをしているかって?

 実はたった今、気付いてしまったんです。



 ここが乙女ゲームの世界にそっくりなのだと――。



 ビックリしました。

 まさかまさか、転生した世界が乙女ゲームの世界だなんて思わないでしょう?

 最近(というより、前世の世界で)、異世界トリップや転生ものの物語とかが流行っていましたが、自分が体験するとは……。

 前世で知ったゲーム『悪役令嬢の恋愛事情~ヒロインは私よ~』の世界だったんですよ!

 このゲームは普通の乙女ゲームとはおもむきが違っていて、なんと! 主人公が悪役令嬢なんですよ。

 ゲームキャラクターであるヒロインが5人の攻略キャラとのイベントをこなし、逆ハーレムを築いていくのを阻止していくんです。

 何人の攻略を阻止出来たかでエンディングが変わる、といった一風変わったゲームなんです。

 えっ? わたし?

 実はわたし自身は残念ながらこのゲームはプレイしてないんですよ。

 前世の友人が嵌っていたので、ゲームの内容は聞いていた(聞かされていた)ので、知ってはいたのです。

 知ってはいたのですが……、友人が何度も何度も熱く語るので、聞き飽きたわたしは半分流しながら聞いていたので、すっかり記憶の片隅に追いやられていました。

 だから、気付くのが遅れてしまったのですよ。

 この世界がそれにそっくりだということに…。


 なんで思い出したか、というと――。

 今、目の前でヒロインが攻略キャラと出会いのイベントを起こしているのを目撃してしまったからですね。

 講堂で行われた入学式が終わり、HRホームルームを行う為に教室へと移動していたのですが、教室の扉を開けた女子生徒が目の前にいた男子生徒とぶつかって転んでしまう。

 という、ベタなシーンがあったのですよ。

 女子生徒は扉を開けて、中を確認もせずに突進するように教室に入ってきたのです。

 いるんですね、確認もせずに室内に飛び込む人って…。

 それに突進していたとはいえ、立っている人に一方的にぶつかったくらいで尻餅をついて転ぶでしょうか?

 蹌踉よろける程度で済みそうなものですが……。

 それだけ勢いが良かったのでしょうね。

 女子生徒はその後、立ち上がって男子生徒に上目遣いで謝っていましたが、何ですかねアレは?

 てへっ、と首を傾げて舌を出しています…。

 ………。

 コメントは止めておきましょう。


 それを見た時に『あっ、これ出会いのイベントだ!』と思わず口走ってしまいそうになりました。

 ……ギリギリで思いとどまりましたが。

 良かったです。口からこぼれなくて。

 教室には他の生徒の皆様もいらっしゃいますからね、怪しい人認定は避けたいですもの。


 という訳で、『悪役令嬢の恋愛事情』の内容を思い出そうとしたのです。

 熱心な友人のお陰でゲームの概要や登場人物などは何とか思い出せましたわ。

 前世のわたし、よく聞いていた! と褒めて差し上げたいですわ。

 それで内容は思い出せたのですが、とても重要なことに気付いてしまったのです!


 それが……。



 主人公である悪役令嬢の名前が南波 潮里なんですよね……。

 それってもしかしなくても…わたし……、ですよね?




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