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人は、何かを得るには何かを犠牲にしなければいけない。などのキレイ事はよく耳にするが、果たして犠牲を払ってまで得るものとはなんだろう。


例えば、犠牲を払えるほどのものを持っていなければ、どうすればいいのだろう。







目の前に広がる世界は、どこなのか。一体、なんなのか。

僕には、理解ができなかった。


まどろみの中、やっと見据えた世界はあまりにも見慣れない。


白浜のような地に、突き抜けるような空を薄い雲が被いその上から光が射し、まるでマリア像が置いてある教会のようで、真っ直ぐに見た先には葉まで白い白樺の森があり下にはマーガレットの絨毯が敷き詰められていた。



「キレイだ。」


夢なのか現実なのかも、まだわからない世界。そこが僕には暖かく、冷たく居心地がよかった。













「アナタは、新しい人ね。」









突然、背後から人の声が聞こえて振り返ると白いワンピースに身を包んだ少女と女性の間にいる年頃の子がこちらに微笑みながら話かけてきた。


「キミは?」


問うた僕に彼女は変わらずに微笑みを向けた。


「ここは一体どこなんだい?」


次いで問いかけながら、微笑む彼女をもう一度よく見た。

腰まである長い髪をなびかせ、小ぶりな目元に少し垂れた眉。薄い唇は優しいピンクで、すっとした身体を柔らかいコットンのような素材のワンピースで飾られ他には何も身につけず、この世界に同化しそうなほどの落ち着きをみせていた。



「アナタはここに来たばかりでしょう。今すぐに全てを知る必要はないわ。」



やっと応えてくれた言葉は、質問にはそぐわない答えだった。


「そういう訳にはいかないよ。僕は帰らなくては。」


僕の言葉に彼女は、ほんの少しだけ寂しさを滲ませ


「なぜ?」


問われた質問に驚き言葉をつまらせる。


「まぁ、いいわ。誰にでも生きていれば帰省本能はあるもの。それでも、すぐには難しいわ。」


彼女は、僕に背を向けて話をすすめる。


「少しだけ、私と旅をしましょう。ここが何処で、私が誰かをこれからアナタは知っていくわ。ひとつ言えるのは、アナタの案内役には私でないとダメだということ。」


彼女は背を向けたまま話を終え、歩み出した。

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