告知③
『さて、それじゃあ続きを説明していくわね、心の準備は出来てるかな?』
『・・・はい』
キャロル先生はボクの手を握って(というか手首で脈の確認?)じっとボクの目をみながら口をひらいた
『キミの体は女の子になったの』
キャロル先生の口から出た言葉は、すぐには理解出来なかった
ボクはしばらく思考が停止していたようだ
キャロル先生はボクをじっと見つめたまま黙っている
『え~と、その・・・どういう事なんでしょうか?』
ボクの声を聞いたキャロル先生は手を放して話はじめる
『順を追って説明するわね
人間の体はたくさんの細胞が集まってできているの
その細胞は各々役割を与えられているんだけど、その役割を決めているのがDNAと呼ばれるモノ設計図みたいなモノね
人間の性別を決定するのもDNA、性染色体の組み合わせでY遺伝子が含まれていると男の子になるの
X遺伝子だけだと女の子になるから人間の基本は雌って事になるわね
Y遺伝子の指令がなんらかの理由で細胞が作られる現場に届かないと遺伝子は男の子でも体は女の子になっちゃうの
キミはこのY遺伝子の指令を受け取る受容体が壊れてしまったのよ
ただし、母体内で雄化が決定して男性器、ペニスや精巣が形成されると、完成した性器を消滅してまで女性器を再生成するような事は起こらない”ハズ”だったの』
『ソレが起こっちゃったって事なんですね?』
『そうなの、今まで放射線治療でY遺伝子受容体が機能不全になった例はあったけど、ED(勃起不全)や精子の生成不良による不妊の事例しかなかったわ、でも、それはすべて成人男性の事例だったの』
『ボクが子供だったから?』
『キミが世界初の事例だからそう判断するにはまだ早計だけど、おそらく二次性徴がまだ訪れていなかった事が要因だと思うわ、むしろたまたま二次性徴の時期と重なったからこそ起こった事例でしょうね』
『そうですか、あの・・・ボクは元に戻れるんでしょうか?』
『推測になるけど・・・キミが昏睡している2年の間に女の子としての二次性徴が起こってしまった以上おそらく男の子に戻ることは無いでしょうね』
『すいません、しばらく一人にして欲しいです』
『そうね分かったわ、ゆっくりでいいからね?幸いキミにはまだまだたくさんの時間があるんだから』
そう言うとキャロル先生はボクの頭をひと撫でして部屋を後にした
はあぁーーーーーーーーーーーーー
女の子かぁ・・・
どうしよう、ママも知ってるのかな?
キャロル先生とお友達なら聞いてるハズだよね
でも、ボクの意識が戻ってからママは一度も会いにきてくれてないよね
もしかして女の子になっちゃったから?嫌われたの?
ママに会いたいなぁ、でも会うのは・・・なんだか・・・こ わ い