いざ修学旅行④
「うぅ、みんなよくあれだけで足りるね・・・」
「仕方ないんです
それとも、帯を締めた時に吐きたいんですか?」
「うッ、美紀の言う事はわかるんだけど・・・
お茶漬け定食って、間違ってると思います
やっぱり、お茶漬けは最後の締めにサラサラっと流し込む物であって、メインにするのは役不足じゃないかな?」
「美里、色々間違ってるわよ」
「え?女の子なのに食い意地がはってるのは無しだよ?」
「それもあるけど(笑)
京料理では、食事の最後に出すお茶漬けは
”いつまでも居座らないでさっさと帰れ”って意味なのよ
それを知らずに、最後にお茶漬けで締めるモノだって勘違いした馬鹿が間違って広めちゃったのよね
だから、お茶漬けがメインだと、そういう意味を含まないから、アリって事ね
ただ、お茶漬け定食が1300円もするのはどうかと思うわ
それと、役不足じゃなくて力不足ね
役不足だと、能力に対して役割が軽すぎるって意味だから」
うっ、ボクも間違って使ってたかも・・・
「まあまあ、それぐらいで許してあげてよ美咲
それよりも、みんなで舞妓さんになった写真を撮ろうね
ボクは恥ずかしいから抜きで」
「「「ダメ!!」」」
「ヒカルがいないと意味無いでしょ!」
「私集合写真以外にも、ヒカルさんとのツーショット写真も撮っていただきますわ」
「どうしても撮らないとダメ?」
「ダメというか、コスプレして撮影がメインなんですから
撮影まで料金に入ってます
サービスで持参したデジカメで撮ってくれるんです
私はスマホで撮ってもらうつもりなんです」
「!、そうか、待ち受け画像にするんだ!
美紀、冴えてるね」
「うへぇ、こんな所まで白粉塗るんですか?」
「そうですよ、背中側も同じような位置まで塗ります」
「美里、黙ってじっとしていなさい」
「こちらのお嬢さんはお胸が豊かなので少し抑えないと・・・」
「そうなんですか?
せっかく大きいんだからアピールした方がいいような気がするんですが・・
ボク達は無いから無理ですけどね」
「舞妓というのは、芸妓になるための修行中の半人前の事なんですよ
アピールなんて、まだ早い、一人前になってからということですね」
「なるほど〜
あれ?ボクは白粉を塗らないんですか?」
「こちらのお嬢さんは、お肌が真っ白ですので白粉を塗っても色が変わりません
ひょっとすると白粉を塗らない方が白いくらいじゃないでしょうか・・・」
「あ、それだったら、代わりに日焼け止めクリームを塗り直してもらえますか?」
「はい、喜んで
・・・これは、見たことのない日焼け止めですね
どこのメーカーですか?」
「ああ、それは化粧品の日焼け止めじゃなくて、医薬品です
ボクの病気の為の特注品だそうですよ」
「そうですか
これだけ高性能な日焼け止めなら市販すれば売れそうですけれど
芸妓さん達も飛び付きそうですね」
市販しても1本十万円を越えそうだけど・・・
女の人はお金がかかるんだね




