安藤俊樹 【グー】
俺の名前は、安藤俊樹。 31歳。 ボクシングが趣味のサラリーマンだ。 俺はよく『大男』と呼ばれる。 其れもそうだ。小学生の頃からボクシングをやっていて、体格が良い。更には190センチと身長も高い。だから、『大男』と呼ばれている。 そんな俺は、『グー』の『服従機』を持っている。 いや、飲み込んだ。 つまり、『グー』の『服従機』所有者と言う事だ。 「はぁ、はぁ、はぁ」 疲れた。 俺は、今、街中を走っている。 高校生らしき制服姿の男子2人に追い掛けられている。 そして、身体が痺れる。 つまり、2人の中に俺の弱点の『パー』の『服従機』所有者がいるという事だ。もしかしたら、どちらも、『パー』の可能性も……。 まあ良い、今は兎に角逃げなければっ。 其の時、 「おいっ、篠田っ。もっとスピードを上げろっ」 男子のどちらかがどちらかに向かって叫んだ。 「はいっ。分かりました。朝倉様っ」 篠田と呼ばれた男子の叫び返した。 て言うか、「朝倉様」って、何で『様』付けなんだ? 其れより、マズい、スピードを上げやがったっ。 「よしっ」 俺は賭けに出た。 人混みの中に入り込んだ。 人混みに自分の姿を隠す作戦だ。 此れにより、相手の姿も分からなくなるから、賭けなんだ。 俺は、賭けに強い。 だからきっと大丈夫っ。 5分後。 俺は未だ人混みの中にいる。 男子2人を俺の事を見付けきれないようだ。 もう追ってこない。 「よし」 俺は辺りを確認しながら人混みの中から出た。 「助かったぁ」 俺は安堵の息を吐きながら歩いた。 ★ どれ位歩いただろうか。 多分1時間位だ。 する事が無いので今だに歩き続けている。 「ん?」 15メートル位先に制服姿の女子中学生3人が歩いているのが見えた。 全員此方に背を向けているが、どれも良い女の様に見えた。 「あぁ、俺の『物』にしてぇ」 何時の間にか、俺の歩くスピードが速くなっていた。 相当興奮したのだろう。かなりのド変態だ。自覚している。 女子3人の距離が10メートル内に入っただろうか。 突然身体が振動し始めた。 自分の弱点の『服従機』所有者が近くにいる痺れとは違う感覚。 「何だ……?」 まさか、俺の近くに俺が服従出来る相手がいるという事か? 其の時、前にいる女子3人が俺の方を見ると前へと逃げ始めた。 まさか、あいつ等かっ? よしっ。捕まえて服従させてやる。 俺も女子3人を追い掛けて前へ走った。 すると振動と共に身体が痺れ始めた。 女子3人の中に俺の弱点の『パー』の『服従機』所有者がいるという事か? まあ良い。其の時は。其の時だ。 突然女子3人の1人が石に躓きこけた。 俺はすぐさま、そいつにまたがった。 身体は痺れなかったが、逆に振動した。こいつは、『チョキ』の『服従機』所有者だ。やった。やった。 そいつは、泣いていた。美人だった。うほっ、興奮するっ。 「助けて、愛子。杏……」 そいつは泣きながら呟いた。 俺は前を見たら女子2人はもう、遠くに行っていた。 可哀想に、此の子。俺が可愛がってあげる。 俺はそいつの左胸を左手で触った。 「嫌っ」 そいつは可愛い声を出した。 だが、そいつの動作が突然停止した。 そして、 「ワタシハ、アナタノフクジュウシャ。ワタシハ、アナタノフクジュウシャ。ワタシハ、アナタノフクジュウシャ。ワタシハ……」 同じ言葉を繰り返し何度も何度も言った。 そいつは、俺の服従者になった。 6人服従 残り24人