篠田正明 【グー】
学生服の僕は、下校中でした。 「はぁ、はぁ、はぁ」 僕の名前は、篠田正明。 高校2年生。 校内で1位の成績を誇っています。 そんな僕は、ある日『グー』の『服従機』を手に入れ、飲み込みました。 興味本位でした。 まさか、こんな最悪な結果になるとは、予想もしていませんでした。 僕は、今、マンションの螺旋状の階段を駆け上がっています。 今は、5階です。 僕は、体力が無いのでもう息切れています。 カンカンカンカンカンカン。 後ろから僕の後に続き、階段を駆け上ってくる足音が聞こえます。 「あぁ、あぁ、来た……」 そいつは、僕を追い掛けているのです。 多分、僕を服従させる為に。 そいつも『服従機』を持っている。 しかも、僕の弱点の『パー』の。 身体が痺れるのです。 如何やら、弱点の『服従機』を持つ人が10メートル以内に入ったら、身体が痺れるらしいのです。そして、 今、僕の身体は、痺れている。 「もう止めてくれ」 僕は、そう呟きながら階段を駆け上がる事しか出来ませんでした。 僕の部屋は、此のマンションの13階に有ります。 現在7階。 あと6階。 「あぁぁああぁあぁぁぁああぁあぁぁああぁぁ」 僕は、近所迷惑など御構い無しに叫びまくりました。 カンカンカンカン。 未だ、追ってきています。 ★ 僕は、部屋に入り部屋の鍵を閉めました。 「はぁ、はぁ、はぁ」 僕は、無我夢中で階段を駆け上がり、無事自分の部屋に付き、現在に至ります。うん。我ながら凄い。意外と僕、体力有ったは。 「?」 バンバンバンバンバンバン。 突然、部屋の外側から誰かがドアを叩いてきました。 何度も。何度も。 靴を履いて玄関にいた僕は、驚きました。 諦めないタイプだな、僕はそう思いました。 同時に、恐怖も襲ってきました。 僕を、此処までして服従させたいか? 「あぁ、そうだ」 僕は、ズボンのポケットから携帯電話を取り出して、此のマンションに住む、同級生で幼馴染の朝倉良助に電話をする事にしました。 『もしもし』 ドアを叩く音が止むと同時に、朝倉君は、電話に出てくれました。 「もしもし。朝倉君。僕だけど」 『うん。如何した?』 「今変な人が僕の部屋のドアの前にいるんだ。怖いんだ。悪いけど今直ぐ来てくれないかな?お願いっ」 「いいよ。今行く」 朝倉君は、あっさりと了解してくれた。 「有り難う」 僕は、電話を切りました。 然し、何か未だ、身体が痺れるな。 まぁ、当たり前か。ドアの前にあいつがいるんだし。 数分後。 「篠田ぁ、来たぞぉ」 朝倉君の声がドアの外側から聞こえてきました。 「助かったぁ」 未だ、身体は痺れるが一先ず助かった。 僕は、ドアを開けました。 同時に、朝倉君が僕の左肩に触れました。 「待ち伏せ作戦成功」 ……え? 意識がぼんやりとしてきた。 「まさか、僕を追っていたのは、朝倉君かい?」 「勿論。そして、僕は、『パー』の『服従機』を飲み込んだ」 「何故、僕を服従させようとした?」 「服従者が沢山いた方が楽しいじゃん」 「つまり、此れから、服従者を沢山増やしていくってことだね?」 「勿論」 僕は、朝倉君にまんまと騙された訳だ。 最悪……だ。 ん?……あっ、まずい。意識が飛んでいっ……。 暗闇が辺りを支配した。 2人服従 残り28人
【支配者と服従者】【支配者 篠原明子 服従者 植村至昭】【支配者 朝倉良助 服従者 篠田正明】