表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

まだ見ぬ婚約者

作者: レモン
掲載日:2026/08/03

 築100年の古い2階建てのお屋敷の一階で、異臭が、漂っていた。台所付近からだった。ガスの漏れた匂いだった。 

 そこで、このみ、27歳が、倒れていたのだ。兄のりんたろうが、発見した。第一発見者だ。すぐに、救急車を呼んだ。病院へ、搬送されて、診察を受けていた。命には、べつじょうないが、しばらく入院することになった。

 このみが、最近、元気がなかったのを、兄のりんたろうは、心配していた矢先だったのだ。

 この家で暮らしているのは、このみと、りんたろう夫婦、このみとりんたろうの両親、この5人だけだった。

 このみは、婚約していたが、婚約解消したばかりだった。傷心のあまりの、行動だったのかも、と、りんたろうは、思っていた。りんたろうは、あまりのことに、ショックを隠しきれなかった。

 それにしても、このみの婚約者とは、まだ、誰も会ったことがなかったのだ。実在する人物なのか、りんたろうは、疑問に、思っていた。

 このみは、入院していたが、病院食には、手をつけなかった。なかなか、元気にならなかった。

 このみの病室に、婚約者より、と、くだものかごが、届いた。このみは、そのくだものに、見向きもしなかった。

 りんたろうは、1度、このみの元婚約者に会って、このみが、なぜ、こんなことをしたのか、聞きただしたかった。そうとうな理由による、婚約解消だったのかと、おもっているのだ。

 でも、婚約者を知っているのは、このみだけなのだ。こんな状態のこのみには、聞けなかった。

 このみの友人たちに、聞いてみたが、2人は、仲良くやっていた、とのことだった。それなら、なぜ…りんたろうは、不思議に思っていた。

 りんたろうは、まだ見ぬ、このみの婚約者に、恐怖を覚えていた。どんな理由があろうとも、このみが、こんなことになる、きっかけが、あったのではないか、と、思っていた。

 このみは、順調に回復をして、退院した。

このみは、婚約者に関しては、いっさい、口をつぐんだままだった。

 りんたろうは、恐る恐る、このみに、元婚約者に、会わせてくれないか?と聞いた。このみは、首を横にふった。このみは、かかわりたくなかったのだ。

 どんなことであれ、りんたろうは、知っておきたかった。そして、元、婚約者が、誰なのか、知りたかった。

 ある日、背の高い、紺色のスーツを着た、男性が、自宅に、このみを訪ねてきたのだ。りんたろうは、きっと、こいつが、このみを、苦しめたやつだと思いこんで、つっけんどんな、対応をした。

 その時、2階から、このみが降りてきた。

ビックリしたように、「たかしくん。」と、呼んだ。りんたろうは、修羅場になるような気がした。このみを見つめていた。このみは、たかしに、「入って。」と、言ったのだ。りんたろうに、「同僚のたかしくん。」と、言った。たかしは、このみのことを、心配してきてくれた

だけだった。このみは、たかしにお茶を出した。2人で、仕事のことを、話し始めた。

 りんたろうは、元婚約者ではなかったのだ、と、がっかりしていた。

 そこへ、また、インターホンが鳴った。このみの親友のさえ子だった。さえ子は、このみの

様子を見に、訪ねてきたのだ。さえ子は秘密を持っていた。このみの元婚約者とつながっていたのだ。元婚約者と、付き合い始めたのだ。頼まれて、様子を見に来たのだ。案外、元気そうにしている、このみを見て、すぐに、帰って行った。

 このみは、元婚約者の相手が、親友のさえ子だとは、知らないのだ。ただ、元婚約者には、女が、できたことは、わかっていた。

 翌々日、元婚約者とさえ子は、2人で、なんと、このみに会いにきたのだ。家には、このみ以外、誰もいなかった。このみは、どういうことか、すぐには、把握できなかった。このみは、小さい声で、いった。「どういうこと?」さえ子は、「私達、付き合い始めたの。報告しておきたくて。」このみは、あまりのショックに、その場に倒れそうだった。それだけ言うと、2人は、帰って行った。

 このみは、家に一人で、いたくなかった。

ふらっと、出かけた。当てもなく、街をさまよっていた。

 偶然、買いものに来ていた、たかし、と、ばったり会った。うつろな目をした、このみに、たかしは、「大丈夫か?」と、声をかけた。

このみは、首を横にふった。「なら、どこか、カフェにでも入って、落ち着こう。」たかしは、そう言った。

 2人で、カフェに入って、お茶を飲んだ。少し、このみは、落ち着いた。たかしに、感謝していた。たかしは、「今、こんなこと言うの、ダメかもしれないけど、俺と付き合ってください。」そう言って、下を向いた。このみは、思わず、うなづいてしまった。気持ちの整理のつかないまま。

 たかしも、このみの、元婚約者のことは、きになっていたが、話題には、出さなかった。

 結局、元婚約者には、このみ以外、誰も、会ったことはなかったのだ。まだ、見ぬ婚約者のままだった。

 りんたろうは、このみが、たかしと、付き合いはじめたのを知って、とても嬉しかった。今、元気づけられるのは、たかししか、いないと思っていた。

 たかしは、たかしで、このみの傷が、早く癒えてくれることを、願っていた。 

家族全員とたかしが、このみが、元婚約者を早く忘れて、幸せになることを、願っていた。

 

 


 



 






   




 





 

 


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ