表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星降る城で、わたしは恋をした ― 元気な少女と無表情な姫君の、ゆっくりとほどける心の距離 ―  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/51

第42話『一緒に笑えるという奇跡』

身分も、立場も、まるで違うふたり。

だけど――ふとした拍子に笑いあえたとき、

「あぁ、こんなにも近くにいられるんだ」と思える。

今日はそんな、ふたりにとっての小さな奇跡の物語。

「……それでね、その兵士さんが言ったの。“鎧がきつすぎて前にかがめません”って!」


「ぷっ……ふふ、それはちょっと……想像してしまいました……!」


ティアナが袖で口元を押さえながら笑うと、

向かいに座っていたリュシアも、つられて笑い声を上げた。


「ふふっ、久しぶりにティアナがちゃんと笑ってくれた気がするわ」


「え……わたし、そんなに笑ってませんでしたか?」


「うん。ここ最近は、どちらかというと“見守るモード”だったかも。

それも好きだけど……今日は、もっと顔が明るい」


ティアナは少し照れくさそうに視線を逸らした。


「……リュシア様が楽しそうだったから、つられてしまっただけです」


「じゃあ、わたしもつられてるわね。あなたが笑うと、わたしも笑っちゃうもの」


そんなやりとりのあと、ふたりの間に、心地よい静けさが流れる。


いつもの部屋、いつもの紅茶。

でも今日の空気は、少しだけ軽くて、やさしかった。


「……ティアナ」


「はい?」


「前にも言ったけど、“あなたと一緒に笑えること”って、奇跡みたいだと思ってるの」


「……それは、わたしも」


リュシアはティアナの手に、自分の手を重ねた。


「たとえ誰かに咎められても、

たとえ未来がどうなっても――

いま、あなたとこうして笑ってる時間が、いちばん大切」


「……そんなふうに言っていただけるなら、

わたしも、心から笑っていたいって思えます」


ふたりの指先が、自然と絡み合う。


笑うことは簡単なようで、難しい。

けれど――隣にいてくれる人がいれば、

その笑顔は、もっとあたたかくなる。

「一緒に笑える」ということは、

本当はとても尊くて、奇跡のようなこと。

だからふたりは、今日という日を大切に刻んでいきます。


次回、第43話は:

『恋人らしいこと、してみたい』

ふとしたつぶやきから始まった、リュシアの「恋人らしいこと計画」!?

不器用な王女と戸惑う侍女が織りなす、ちょっぴり甘くて初々しい一日。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ