表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星降る城で、わたしは恋をした ― 元気な少女と無表情な姫君の、ゆっくりとほどける心の距離 ―  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/51

第20話『リュシア、ヤキモチをやく』

恋人同士になったばかりのふたりに現れたのは――

ティアナの“旧友”、元冒険仲間でちょっと距離感が近すぎる彼女!?

静かだった王女の心に、はじめて芽生える“ヤキモチ”と、小さな嵐の始まり。

「ティアナ……! ひっさしぶりっ!」


王都に立ち寄った商隊の中に、ティアナの旧友――

冒険時代に一緒に旅をしていた女性戦士エリスがいた。


元気で快活、誰にでも分け隔てなく明るく接する彼女は、再会した途端にティアナに抱きついてきた。


「うわっ、エリス!? どうしてここに――」


「ちょっとした護衛依頼で王都まで来たの! それよりさ、元気だった? ねえ、髪伸びたねー! 昔のショートもよかったけど、今のも可愛い!」


「ちょ、ちょっと……! 近い……!」


そして、それを――

廊下の陰からじっと見ていたのが、リュシアだった。


(……あれは、なに?)


王女の顔に、じわじわと黒い影が差す。


(あの距離感。あの笑顔。なにそれ。わたし見たことない)


後日、ティアナが控室に戻ると、リュシアは机に肘をつき、頬を膨らませていた。


「……ただいま戻りました。あの、リュシア?」


「……ふーん、今日は楽しそうだったわね。旧友と再会して。たっぷり話せた?」


「……あ、あの、見てたんですね……?」


「“見てた”というか、“目に入ってきた”のよ。無意識に。勝手に。気づいたら。……気にしてないけど?」


「めちゃくちゃ気にしてますよね!? 顔に出てますよ! ぷくーって!」


「ぷくーとは言わないでちょうだい。王族の顔が台無しよ」


リュシアはそっぽを向いたまま、ふくれっ面のままだった。


「エリスさんとは、ただの仲間ですよ。もうずっと昔のことですし。

それに……その、リュシアにあんな顔される方が、わたしは動揺します」


「……わたし、そんなに変な顔してた?」


「……ちょっと可愛かったです」


「……!」


リュシアの耳が真っ赤になった。


「で、でも、次はもっと堂々とヤキモチ焼くから!」


「えっ、それって次も焼かれる前提なんですか!?」


「いいから! 焼かせないで!」


ふたりはしばらくの間、どちらからともなく笑い出し、

そして、そっと指先を絡めた。


誰かと再会しても、誰かが現れても、

心はもう、ここにある。


リュシアのヤキモチは――

まぎれもない「好き」の証だった。

リュシア、初めてのヤキモチ。

それは王族の誇りも忘れるくらい、全力で不器用で、全力で可愛い感情でした。

ティアナとの絆は、それを経てさらに深まっていきます。


次回、第21話は:

『ふたりでこっそり、夜のお茶会』

人目を避けて、ふたりきりの秘密のお茶会。

キャンドルの灯りと、甘いスイーツと――胸の奥でとろけるような恋心。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ