表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星降る城で、わたしは恋をした ― 元気な少女と無表情な姫君の、ゆっくりとほどける心の距離 ―  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/51

第18話『こっそり恋文、ばれて大混乱』

ふたりの間で交わされる、誰にも見せない“恋文”。

けれど甘く静かな秘密も、油断すれば――誰かの手に渡ってしまう。

偶然? 運命? それとも――お騒がせな天罰?

王城に巻き起こる小さな騒動と、揺るがぬ恋の行方。

ティアナは、控えの間に一人座りながら、そっと封筒を胸に押し当てた。

中には、彼女が昨夜こっそり書いた“恋文”――リュシアへの、まっすぐな気持ちを綴った手紙だ。


(今日の午前、リュシアさまの机にこっそり置く予定だったのに……!)


だが、その日は思いのほか忙しく、タイミングを逃していた。

ようやく空いた昼休み、彼女は手紙を持ってリュシアの私室へ向かう。


──が。


その途中、彼女の目の前に現れたのは、リュシアの幼なじみであり、騎士団に出入りするおしゃべりな貴族令嬢・マリーネだった。


「やっほー、ティアナちゃん♪ その封筒、もしかしてお手紙? 誰宛? 王女さま~?」


「えっ……な、なんで分かるんですか!?」


「うそ、ほんとに!? 当てずっぽうだったのに!!」


「えっ!? あっ、今のナシで!! 忘れてくださいマリーネさん!!」


「そう言われて忘れる人間が、この世にいるとでも!? ふふん、ティアナちゃんもついに来たわね、恋のステージに!」


「ああああ~~!! 返してください、今すぐ~~~!」


「ダメ~~! わたしがリュシア様に代わりに渡してあげるっ☆」


「お願いですから、騒がないで……!!」


まさかの恋文バレ(しかも強キャラ相手)。

ティアナの顔は耳まで真っ赤だった。


* * *


その日の夕方。

リュシアの部屋にて――


「……ふふ」


「っ、やっぱりもう読んでますよね!?」


「ええ、マリーネが鼻息荒く持ってきたわ。“こんな純情なお手紙ある!? あるの!? これ宝物ですわ~~!”って叫びながら」


「もう無理です……城を出ます……」


「ふふ、逃げないで。手紙、すごく嬉しかったわ。

特に、“あなたの笑顔が、わたしの朝を照らします”ってところ……綺麗だった」


「やっぱり読まれてる……っ!」


ティアナは崩れ落ちそうになりながら、それでもどこか救われた気持ちだった。


(……秘密はバレちゃったけど、リュシアさまは笑ってくれた)


その後、ふたりはマリーネにきつい口止めと、アイス菓子二つを“黙ってて料”として贈り、

どうにか城中に広まる前に事態を収束させた。


――と思いたい。

“ふたりの秘密”が、思わぬ形で第三者にバレてしまった今回。

でも、大切なものが壊れることはなかった。

むしろそれは、絆の強さを確かめる小さな試練――だったのかもしれません。


次回、第19話は:

『恋人と過ごす、雨の日の午後』

外は雨。静かな午後。

部屋にふたりきり、特別なことは何もなくても、心がとろけていくような――甘い時間。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ