表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星降る城で、わたしは恋をした ― 元気な少女と無表情な姫君の、ゆっくりとほどける心の距離 ―  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/51

第14話『最前線にて、彼女の剣が光るとき』

王都に迫る謎の魔術師集団――

その影からリュシアを守るため、ティアナは“侍女”ではなく、“護衛”として立ち上がった。

そしてついに、敵との接触が始まる。

心にあるのはただひとつ――彼女を守り抜くこと。

南の森の手前、見張り塔の陰。

ティアナは騎士たちに交じり、剣を腰に静かに立っていた。


「確認されたのは三人。いずれも魔術使用の形跡あり。

中距離型の術師と推定されます」


「王女の護衛は私に任せてください」


ティアナの声に、騎士団の副長は一瞬だけ目を細め、うなずいた。


「無理はするな。だが……頼むぞ」


そのとき、警戒の鐘が鳴る。


「来た――!」


茂みを割って現れたのは、黒いフードをまとった人物たち。

その手から放たれる赤紫の魔力の奔流が、地面を焼いた。


「術式を展開しています! 騎士隊、迎撃配置!」


ティアナは一瞬、リュシアを振り返った。

その目はまっすぐで、不安などみじんもない。


(――わたしが、守る)


ティアナは剣を抜いた。

その刃先が、敵の魔弾を裂く。


「っ……!」


熱風が顔をかすめる。

それでも足を止めない。


「彼女には、指一本触れさせない!!」


相手の術が再び空間を裂こうとしたとき、ティアナは剣先を構えて、真正面から跳び込んだ。


激突する音。

火花のような魔力のきらめき。

だがその中心で、ティアナの姿は揺るがなかった。


「下がってください、リュシアさま!!」


「でも――!」


「わたしが信じた強さは、剣でも魔法でもないんです!」


ティアナの叫びが、戦場の空気を貫いた。


「“守りたい”と思ったときに、動ける勇気があるかどうか。それだけです!」


そして剣が、敵の魔術の隙を突いて一閃。


魔力の陣が崩れ、敵は驚愕とともに撤退を始めた。


「深追いするな! 敵は退却する!」


騎士団の声が響く中、ティアナは大きく息を吐いた。


その時、誰よりも早く駆け寄ってきたのは――


「……ティアナ!」


リュシアだった。


「無事で……よかった……!」


そう言って抱きしめられたその瞬間、ティアナの中で張り詰めていたものが、ふっとほどけていく。


「……リュシアさま」


「もう“さま”はつけなくていいわ。

だって今のあなたは、わたしの――」


リュシアは、何か言いかけて口をつぐむ。


けれどその目がすべてを語っていた。


戦いの中で知った本音と、ひとつの確信。

ふたりの距離は、もうごまかせないほど近くなっていた。

剣が交わり、魔術が飛び交う戦場で、

ティアナが守りたかったのは――ただ一人。

そしてリュシアもまた、それに応えるように、言葉ではなく行動で想いを示し始めています。


次回、第15話は:

『決戦のあとで、ふたりきりの場所へ』

騒動がひと段落し、ようやく訪れる静かな時間。

あの時言えなかった言葉を、今こそ伝えに――ティアナが選ぶ“特別な場所”とは?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ