表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光精霊に転生した俺は悪役令嬢推しでした!  作者: のほほん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
69/253

第68話:カサンガの視察

ヒカリは聖女の髪飾りをクラリスから預かり、後で試すために一旦自分の体内に取り込んだ。


(とりあえず、しばらく保管しておこう)


それが後に大変なことを引き起こすとは、この時はまだ誰も知らなかった。


クラリスたちは、町長ハリスの案内でカサンガの視察をすることになった。


「カサンガは交易都市として発展しており、公爵領内でも最も賑やかな町の一つです」


ハリスが誇らしげに説明する。


市場には異国の品々が並び、香辛料の強い香りが漂っていた。


「色々なものがあるね!」


ヒカリは興奮しながら、空中を飛び回っていた。


「ちょっとヒカリ、あんまり騒がないの!」


クラリスが注意するが、ヒカリはまったく聞いていない。


「だってすごいんだよ! 見て見て! あの金細工! こっちには見たことない魔導具もあるし!」


精霊の姿は普通の人間には見えないため、ヒカリが飛び回っていても町の人々には気づかれない。ただ、クラリスは「またか……」と苦笑いするだけだった。


「ヒカリ、少し落ち着いたら?」


「えへへ、ごめんごめん! だって、こんなに面白いものがいっぱいあるんだもん!」


ヒカリは興奮しすぎて、聖女の髪飾りのことをすっかり忘れてしまっていた。


「ここがカサンガ最大の交易市場です」


町長が案内した場所は、巨大な広場に数百もの露店が並ぶ大規模な市場だった。


「すごい……」


クラリスも感嘆の声を漏らす。


市場には異国の商人たちが集まり、見たことのない品物が並んでいた。


「こちらは異国から輸入された魔導具や装飾品を扱う店です」


町長が指差した先には、キラキラと輝くアクセサリーが並べられた店があった。


クラリスが何気なく手に取ったのは、青い宝石が埋め込まれた指輪だった。


「これ、珍しいですね」


「ええ、それは『蒼星の指輪』と呼ばれ、魔力増幅の効果があるとされています。ただ、使いこなすには魔力量がかなり必要だとか」


町長の説明を聞いて、クラリスは興味深そうに指輪を見つめた。


「うーん、今はいいかな」


「お目が高いですね。この指輪はカサンガでも希少な品ですので、売れるのも時間の問題でしょう」


店主が微笑みながら言った。


そのやり取りを聞きながら、ヒカリは相変わらずあちこち飛び回っていた。


「クラリス! あっちにもっと面白いものがあるよ!」


「ちょっとヒカリ、落ち着いて!」


クラリスは苦笑いしながらヒカリを追いかける。


町長と執事も、そんな様子に微笑んでいた。


「……賑やかですね」


「ええ、クラリス様の精霊が飛び回ってるんでしょう」


視察を続けていると、広場の一角で人だかりができているのを見つけた。


「何かしら?」


クラリスが近づいてみると、路上の占い師が人々を集めていた。


「おお、そこのお嬢さん! あなたの未来を占ってみませんか?」


占い師は年老いた女性で、手には水晶玉を持っていた。


「占い……?」


「この占い師は、時々当たると評判なのです」


町長が説明する。


「時々……?」


クラリスは少し笑いながら、占い師の前に座った。


「では、あなたの未来を見てみましょう……」


占い師は水晶玉に手をかざし、静かに呪文を唱え始めた。


すると、水晶玉が淡く光り始めた。


「……おや?」


占い師の表情が変わる。


「何か見えましたか?」


クラリスが尋ねると、占い師は慎重に言葉を選んだ。


「あなたの周りに……とても強い光の力を感じます。そして……」


「そして?」


「……あなたの運命が、大きく動こうとしています」


「運命が……?」


クラリスは驚いた表情を浮かべる。


「あなた自身が、その運命の中心となるでしょう。ですが、それは決して悪いものではない……むしろ、とても重要な使命を果たすことになるでしょう」


「……」


クラリスは静かに考え込む。


「大きな運命、か……」


「ふむ……ただ、一つだけ気になることが……」


「気になること?」


占い師は少し首をかしげた。


「……あなたの近くに、もう一つの光がある。いや、光の中に眠る何か……」


「え?」


クラリスが戸惑った瞬間、ヒカリが後ろから覗き込んだ。


「うわー! 面白そうな占いしてるね!」


「ヒカリ、ちょっと!」


クラリスが慌てるが、占い師はヒカリの存在には気づいていないようだった。


「……まあ、深く考えすぎる必要はないでしょう。あなたはきっと、自分の道を見つけられるはずです」


占い師はそう言って、微笑んだ。


「クラリス、何か気になること言われた?」


ヒカリが興味津々に尋ねる。


「うーん……『運命が動こうとしている』とか、『私の近くにもう一つの光がある』って……」


「もう一つの光……?」


ヒカリは少し考えたが、その瞬間、あることを思い出した。


(……あっ!! 聖女の髪飾り!!)


そう、ヒカリは完全に忘れていた。


今、聖女の髪飾りはヒカリの体内にある。


(ま、まさか……占い師が言ってたのって、それ!?)


しかし、すでに視察は次の場所へと進んでいた。


ヒカリは慌てながらも、とりあえず様子を見ることにした。


こうして、聖女の髪飾りを取り込んだまま、カサンガの視察は続いていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ