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光精霊に転生した俺は悪役令嬢推しでした!  作者: のほほん


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第52話  崩れた運命の先に

ミリアがヒカリの前から去ったことで、一つの節目を迎えた。

それを見届けたカインは、腕を組みながらヒカリに問いかけた。


「あれが……クラリスを断罪する元凶か?」


ヒカリはその言葉に少し考え込みながら答える。


「元凶だけど……ただ、俺が契約してないから、聖女になれなくて男爵の養子になることがないんだよな。」


「それはどういうことだ?」


カインが眉をひそめる。ヒカリは小さく息を吐きながら説明を続けた。


「本来のシナリオでは、ミリアは聖女としての力を得て、その才能を見込んだ男爵が養子にする流れになってたんだ。男爵はミリアの力を利用して自分の地位を上げようとして、だけど、ミリアが聖女じゃなくなった今、男爵が彼女を養子にする理由がなくなった。」


「つまり……学園に来ることもなくなったってことなのか。」


「うん、そうなると今後のシナリオが大きく変わっちゃってどうなるかさっぱり分からないんだよね。」


ヒカリの言葉にカインは沈黙する。

もしミリアが学園に来なければ、クラリスが断罪される運命そのものが崩れる可能性がある。

だが、それと同時に、未知の展開が待っているということでもある。


そんな二人の会話を遮るように、クラリスがやって来た。


「ヒカリ……本当に良かったの?」


クラリスの真剣な瞳がヒカリを見つめる。

ヒカリは迷うことなく微笑みながら答えた。


「俺はクラリスと一緒にいたいからね。それ以外は考えたことないよ。」


クラリスはその言葉を聞くと、じっとヒカリを見つめ、やがてふわりと微笑んだ。


「ヒカリ、ありがとう。」


「こちらこそ。」


二人の間に柔らかな空気が流れる。


しかし、ヒカリの心の中には、言葉にできない不安が渦巻いていた。

シナリオが完全に崩壊したことで、今後の展開が全く読めなくなってしまったのだ。


(本当にこれでよかったのか? いや、俺はクラリスを守るためにここにいるんだから……でも、この町に長く滞在するのは危険かもしれない。)


ヒカリはふと顔を上げ、真剣な表情でクラリスを見る。


「クラリス、悪いけど……早くこの町を出たい。」


「え……?」


クラリスは驚いた表情を浮かべたが、すぐにヒカリの表情が本気であることを悟る。


「……分かったわ。」


クラリスは迷うことなく頷くと、すぐに町長との視察を早めに切り上げる手配をした。

さらに執事に指示を出し、予定より早く次の町へと向かう準備を進める。


ヒカリは町の出口を見つめながら、小さく息を吐いた。


(シナリオが崩れた以上、俺たちはもうゲームの枠を超えた……でも、これでいい。俺はクラリスを守る。それが俺の選んだ道だ。)


そう自分に言い聞かせながら、彼らは次の町へと向かう馬車に乗り込んだ。

馬車は静かに揺れながら、次の町へと向かっていた。

ヒカリはクラリスの肩に乗りながら、ぼんやりと考え込んでいた。


馬車の中でヒカリは再度考えていた

(俺がミリアと契約しなかったことで、物語の流れは大きく変わったんだよな、うーん本当に良かったのかな。)


今までずっと"ゲームのシナリオ"を知っているという優位性を持っていた。

だが、今はもう違う。


(もう俺の知ってるストーリーはないんだ……)


ヒカリは深く考え込んだが、しばらくしてふっと肩の力を抜いた。


(……いや、考えても仕方ないな。)


大事なのは、クラリスを守ること。

それ以外に余計なことを考えても意味がない。


ヒカリは小さく伸びをすると、クラリスの肩の上でくるりと回り、明るく声をかけた。


「次の町、楽しみだね!」


クラリスはその言葉に驚き、ヒカリを見つめる。


「さっきまで難しい顔をしてたのに……もう吹っ切れたの?」


「うん、考えても答えが出ないことは考えるだけ無駄だからね。」


クラリスはクスリと微笑みながら、ヒカリの頭をそっと撫でた。


「そうね、ヒカリらしいわ。」


そんな二人を見ていたカインは、呆れたように腕を組みながら言う。


「まあ、シナリオが崩れたとかなんとか言ってたが、要はお前がクラリスの傍にいることに変わりはないんだろう?」


「そういうこと!」


ヒカリは元気よく答えた。


「だったら、それでいいんじゃないか?」


カインの言葉に、ヒカリは一瞬驚いたが、すぐに笑顔で頷いた。


「うん!」


馬車はゆっくりと進み、次の町が見えてきた。

新たな展開が待つ場所へ向かって——。

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