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光精霊に転生した俺は悪役令嬢推しでした!  作者: のほほん


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第49話 戦いの余韻

盗賊の襲撃を退けたクラリスたちは、戦いの後の静けさに包まれていた。


ヒカリは深いため息をついて、地面に腰を下ろす。

「ふー……終わったね。」


その隣で、カインは腕を組みながら満足げに頷いた。

「うむ、いい実戦練習になったな。」


ヒカリは、思わずカインを睨む。

「いやいや……練習じゃなくて実戦だから!!」


「ほぼ同じことだろ?」


「全然違うよ!! こっちは生きるか死ぬかの戦いだったんだから!」


カインは軽く肩をすくめる。

「そうか? まぁ、どちらにせよ俺もヒカリも魔力操作は完璧だな。」


「うん、それは認める……ただ!!」


ヒカリはカインを指差し、真剣な目で言った。

「威力、もうちょっと考えて!!」


「……最後のやつか?」


カインは思い出したように顎に手を当てる。

「うむ、あれはな、どこまで威力を上げれば相手が消し炭になるか試したんだが……」


「いやいやいやいや!! 消し炭にしちゃダメでしょ!!」


ヒカリの叫び声が森に響き渡る。


「なんかもう……カインってさ、本当に戦うことしか考えてないよね……」


カインは平然とした顔で頷く。

「当然だろう? 俺は戦うために魔力操作をマスターしたんだ。」


ヒカリは頭を抱えた。

「精霊ってもっと……こう、優しくて温かくて、導く存在っていうイメージなんだけど……」


「それはお前の勝手なイメージだ。」


「それに俺が自分の意思で戦うことを促してたのはヒカリお前だろ!」


「そうだけどさぁ!!」


ヒカリがツッコミを入れている間に、護衛騎士たちは盗賊たちの遺体を片付けていた。


クラリスは震える手でスカートを握りしめながら、周囲を見回す。


初めての戦闘——。


目の前で人が倒れ、血が流れる光景を見たのはこれが初めてだった。


「クラリス様、大丈夫ですか?」


メイドのエルナが心配そうに駆け寄る。


クラリスはゆっくり頷いた。

「ええ……私は大丈夫。でも……」


彼女は視線を騎士たちへと向ける。


彼らの多くは傷ついていたが、クラリスの『光焔の槍』のおかげで重傷者は出なかった。


それでも、彼女は思う。


(私がもっと早く動いていたら、みんな傷つかなかったかもしれない……)


戦いの最中、足が震えて動けなかった自分が悔しかった。


クラリスはそっと拳を握りしめる。

「私は……もっと強くならないと。」


その呟きを聞いたヒカリが、優しく微笑んだ。

「クラリスはすごかったよ。あの『光焔の槍』、みんなの傷を治してくれた。」


「でも……」


「でもじゃない!」


ヒカリはクラリスの手を取る。

「クラリスの魔法があったから、誰も死ななかったんだよ。騎士たちも、俺たちも。」


クラリスは驚いたようにヒカリを見つめる。


「それにさ、クラリスが震えてたのは当然だよ。初めての戦場なんだから。」


「……でも、ヒカリもカインも、すごく落ち着いていた……」


「そりゃ、俺たちは精霊だからね。」


ヒカリはウインクしてみせた。


「でもクラリスだって、少しずつ慣れていけばいいんだよ。俺もカインも、ずっとクラリスのそばにいるからさ!」


「……ありがとう、ヒカリ。」


クラリスは小さく微笑んだ。


一方、その頃——


護衛騎士たちは、戦いで倒れた盗賊の遺体を片付けながら、最後に残った親分格の男を木に縛り付けていた。


「さて、どうするか……」


騎士の一人が親分を見下ろす。


親分は顔を青ざめたまま、ガタガタと震えていた。


「ひ、ひぃぃ……お、俺はもう悪いことしねぇ……」


護衛騎士の隊長が親分を睨む。

「この盗賊は町へ連行し、裁判にかける。クラリス様、それでよろしいですか?」


クラリスはしっかりと頷いた。

「ええ、それでお願いします。」


騎士たちは親分を拘束し、馬車へと押し込んだ。


「さて、次の町へ向かおうよ。」

ヒカリが伸びをしながら言う。


カインも満足げに頷いた。

「うむ、良い戦いだった。」


ヒカリは呆れたようにカインを見上げる。

「カイン、もうちょっと魔力量の調整してよ……」


「ははっ、今度は気をつける。」


「絶対に信じられない!」


クラリスはそんな二人のやりとりを聞きながら、微笑んだ。


そして盗賊を撃退したクラリスたちは、一息ついた後、再び馬車に乗り込んだ。


騎士たちは馬の手綱を握りながら、引き締まった表情で周囲を警戒している。


カインとヒカリもそれぞれ馬車の中でクラリスと共にいた。


「……ふぅ。やっと落ち着いたね。」

ヒカリが馬車の座席に身を沈めながら、大きく息を吐く。


「そうだな。」

カインは腕を組みながら、満足げに頷いた。


「やっぱり、戦闘の後は何とも言えない充実感があるな。」


「だから、そういうのはほどほどにしてってば!」

ヒカリがすかさずツッコむが、カインは意に介さない。


クラリスは静かに馬車の窓から外を眺めていた。


「……クラリス?」

ヒカリが不安そうに声をかけると、クラリスは少し驚いたように顔を向けた。


「あ、ごめんなさい……考え事をしていたの。」


「もしかして、まだ戦いのことを?」


クラリスは小さく頷いた。

「初めて……人が倒れるところを見たから……。私は、あの時、怖くて動けなかったのに……」


その言葉に、ヒカリは静かに微笑んだ。

「でも、クラリスはちゃんとやるべきことをやったよ。あの『光焔の槍』がなかったら、騎士たちはもっと傷ついていたかもしれない。」


「……そうかしら?」


「そうだよ!」

ヒカリは強く頷く。


「クラリスの魔法のおかげで、みんな助かったんだ。だから、自分を責めることなんてないよ。」


クラリスは少しの間、考え込むように視線を落とした後、小さく微笑んだ。

「……ありがとう、ヒカリ。」


馬車は順調に進んでいった。


盗賊との戦いを終えた後も、クラリスたちは警戒を怠らず、こまめに休憩を取りながら進んでいく。


「しかし、次の町にはちゃんとした宿があるといいな。」


ヒカリが伸びをしながら呟く。


「どうした? 馬車で寝るのに慣れていないのか?」

カインがからかうように言うと、ヒカリは頬を膨らませる。


「だって、馬車の中って揺れるし、あんまり熟睡できないんだもん!」


「ふむ……精霊でもそういうことを気にするのか?」


「気にするよ!! 俺は繊細な精霊なんだから!」


カインはそんなヒカリに言う。

「なら浮いて寝ればいいんじゃないか?」


ヒカリはカインに言い返す。

「俺は地に接して寝たいの!」


「ヒカリは変なやつだな」とカインは呟く。


クラリスはくすっと笑った。

「でも確かに、ちゃんとした宿で休みたいわね。私も少し疲れたわ……。」


「そうだな。野営だと周りを警戒しないといけないからな」とカインも頷く。


「次の町で休息を取った後、また進むのがいいだろう。」


その時、護衛の騎士の一人が馬を走らせながら馬車の窓の外に近づいてきた。


「クラリス様、もうすぐ次の町が見えてきます。」


「本当?」


クラリスは窓の外を覗き込む。


遠くに、町の輪郭がぼんやりと見えてきた。


「やったー! やっと休めるー!」

ヒカリが両手を上げて喜ぶ。


「まったく、お前は本当に楽観的だな。」

カインが呆れたように呟く。


「いいじゃん、たまにはゆっくりしようよ!」


そんな二人のやりとりを聞きながら、クラリスは小さく笑った。


「ふふっ……。」


こうして、クラリスたちは新たな町へと足を踏み入れていくのだった——。

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