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第26話 クラリスの新たな力

朝日が昇り始めた頃、屋敷の庭ではカインとヒカリがいつものようにクラリスに魔力を流していた。


カインはクラリスの背後で腕を組み、じっくりと観察している。ヒカリはクラリスの肩の上で、微かに輝きながら魔力を送り続けていた。


「……お! 魔力操作のコツが掴めてきた!」


ヒカリが嬉しそうに声を上げる。最近、彼は自分の魔力をクラリスに流す際に、より繊細な調整ができるようになったと感じていた。


カインも満足げに頷く。


「うむ、俺も魔力操作がかなりできるようになってきたな」


彼らはクラリスに魔力を送り続けることで、自らの力をより深く理解し、扱う技術を向上させていた。特にカインは、契約者であるクラリスとの繋がりを強化することで、自分自身の魔力量や精霊としての特性をより自在に使いこなせるようになってきていた。


ヒカリはふとクラリスの顔を見て、少し申し訳なさそうに呟いた。


「……実験台みたいにしてごめんね……」


しかし、その言葉を聞いたクラリスは、驚いたように目を瞬かせた後、穏やかに微笑んだ。


「別に気にしないで。私も、自分の魔力がどこまで伸びるのか知りたかったし。それに、ヒカリとカインがいてくれたからこそ、私はここまで成長できたんだから」


「……クラリス……」


ヒカリは感動したように小さく輝いた。


カインも腕を組みながら、真剣な表情で続ける。


「だが、お前の魔法は本当に異質だ。火の魔法なのに、どうしても光の要素が混ざってしまう。ヒカリの影響があるとはいえ、こんな魔法を使える人間は聞いたことがない」


クラリスは少し考え込んだ。


「そうね……でも、私はこの力を大切にしたいわ。火と光が混ざった魔法……それが私だけの力なら、しっかりと使いこなせるようになりたい」


「お前、前向きだな」カインは感心したように頷く。「なら、俺たちも全力で協力するだけだ」


ヒカリも元気よく応じた。


「そうだな! 俺たちはクラリスを守るためにいるんだから、どんな力だろうと役に立つようにしないとな!」


***


その日の午後、クラリスは実際に魔法の訓練を行うことにした。


「じゃあ、カイン、ヒカリ。いつものように魔力を流して」


クラリスがそう言うと、カインとヒカリはすぐに魔力の供給を開始した。カインの火の魔力がクラリスの体に流れ込むと同時に、ヒカリの光の魔力も混ざり込む。


クラリスは深く息を吸い込みながら、ゆっくりと両手を前に出した。


「……炎よ、輝きを増して――《光焔の槍》!」


クラリスの手のひらから、燃え盛る炎の槍が生み出された。その槍は通常の火の魔法とは異なり、炎の中に純白の光が揺らめいていた。


「……やっぱり混ざってるな」カインがしみじみと呟く。


ヒカリは目を輝かせた。


「でも、すげぇ強そうじゃないか!? その魔法、普通の火魔法よりも威力があるんじゃないのか?」


クラリスは槍を軽く振ると、目の前の標的に向かって投げた。


――ドンッ!!


炎の槍が標的に命中した瞬間、爆発のような衝撃が走り、強烈な光が一帯を照らした。


「うわっ! まぶしい!」


ヒカリが驚いてクラリスの肩の上でバランスを崩す。カインも思わず目を細めた。


爆発が収まると、標的は跡形もなく吹き飛び、その周囲の地面が黒焦げになっていた。


イザークが少し離れた場所で見ていたが、その結果を見て呆然としていた。


「……これは、ただの火の魔法ではない。光の属性が混ざることで、火の力が増幅されているのか……?」


クラリスは自分の手を見つめながら、確信を得たように微笑んだ。


「これなら……私、もっと強くなれるかもしれない」


カインとヒカリは顔を見合わせた後、力強く頷いた。


「お前がどこまで成長するのか、見届けてやるよ」


「もちろん、俺たちがいる限り、クラリスはもっともっと強くなれる!」


クラリスは二人の精霊に感謝しながら、さらなる成長を誓った。

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