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光精霊に転生した俺は悪役令嬢推しでした!  作者: のほほん


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212/222

第211話 嘆きの塔

翌日、クラリスたちが学園に向かうのを確認したヒカリは、すぐに嘆きの塔へと向かった。


光の速度で飛んだヒカリは、一瞬でガルド王国に着いた。


「嘆きの塔は何処かな」

塔を確認する為に、ヒカリは高度一万メートルまで上昇する。


「お!絶景だな」

ヒカリの視界には、ガルド王国の全景が広がる。


「あそこが城で、北と東に塔がある。どっちだろ」


ゲームの記憶を頼りに、ヒカリは二つの塔の位置を特定した。嘆きの塔は冒険者ギルドの昇級試験で使用され、もう一つの塔は、別の目的を持つ。


(確か、東側にあるのが『嘆きの塔』だったはず)

ヒカリは記憶を確信し、東の塔へと急降下を始めた。


(塔のてっぺんから入れないかな)

塔の屋上に降り立ったヒカリは、通り抜けられないかを試みるが、魔力的な壁に弾かれてしまった。


「やっぱダメか。学園ダンジョンも壁はすり抜けられないもんな」


「仕方ない、入れるとこ探そっと」


ヒカリは塔の周りを旋回しながら入れそうな場所を探す。塔の周りには鳥系の魔物が、ヒカリの魔力を感知すると襲ってきた。


「うお!シャインプリズン!」

ヒカリは鳥の魔物を光の牢獄に閉じ込めた。


「また来た!シャインプリズン!」


「めんどくさいな! こんなんならカイン連れてけばよかった」


ヒカリは襲ってくる魔物を次々と牢獄に閉じ込めながら入り口を探していると、中層階に設置されたバルコニーを見つける。


「お!あそこから入れないかな」

バルコニーに降り立ったヒカリは、窓を通れないか試みると、スッと嘆きの塔の中へと入った。


「よっしゃ!入れた」


「後は上を目指すだけだ」

ヒカリは手当たり次第にアンデッドを浄化しつつ最上階を目指す。アンデッドはヒカリの光の魔力の前では抵抗もできず消滅していった。


もうすぐ最上階の所で通路の先から声が聞こえた。


「あれ、誰か居るのかな」

嘆きの塔はB級試験にも使われることがある。


ヒカリは辺りを警戒しながら声のする方へと進んだ。

「お!冒険者パーティーだ」


ヒカリの目の前には、アンデッドと戦闘中の五人組の冒険者パーティーがいた。


「昇級試験かな」

最上階のボスからドロップする嘆きの雫を取りに行くクエストだ。


「アンデッド系しか出ないし、魔石も闇だから人気無いんだよね」

ヒカリは彼らの戦いぶりを観察する。


「お!スケルトン倒した。聖印の入ってる武器持ってるのかな」


「盾役はゴースト系の敵を集めてるな。一気に浄化するのかな」

パーティーの後方に目をやると、知った顔があった。


「あれ、ソフィアだ」

その時、盾役からソフィアに指示が飛ぶ。


「今だ、ソフィア!」


「はい!」

ソフィアは集中し、詠唱を開始する。


「聖なる光よ、万象を包み、すべての穢れを祓え! ホーリーサークル!」


盾役の下に巨大な魔法陣が現れ、集められていたゴーストを一気に浄化した。


「おー!ソフィアやるな」


「ソフィア、次やるぞ!準備してくれ」


「はい!」


パーティーメンバーたちが前進すると、一人ソフィアだけが残された。ソフィアはマジックバッグから瓶を三本取り出すと、一気に飲み干した。


「お、魔力が回復してる」


「マジックポーションってことか」

ヒカリはソフィアに近づくと、声をかける。


「ソフィア、凄いね」


「ふぅー、そんなことないで……え?」

ソフィアが辺りを見渡すと、ヒカリがソフィアの隣を浮遊しているのが視界に入った。


「あ、ヒカリさん」


「久しぶり、ソフィア」

ヒカリは手を振った。ソフィアは驚きながらも、すぐに笑顔を見せた。


「凄かったね、ホーリーサークル」


「あ、ありがとう」

ヒカリがソフィアを褒めるが、ソフィアはソワソワしていた。


「あーごめん、急ぐんだよね」


「行きながらでいいよ」


「あ、はい」

ソフィアが仲間の元へと駆け出した。ヒカリは隣を浮遊しながら話しかける。


「でも魔法唱える度にマジックポーション三本飲んでるの?」


ヒカリの視線がソフィアのお腹に向けられていた。走っている間、ポーションを飲んで膨らんだソフィアのお腹が上下に揺れる。


ヒカリの視線を感じたソフィアが「キャー!」と悲鳴を上げ、反射的に手でヒカリを突き飛ばした。


ドン!

ヒカリは塔の壁へ激突した。


「えー!俺、精霊だよ!」


「え、あ、ごめんなさい!」


ソフィアは精霊のはずのヒカリに、恥ずかしさのあまり思わず物理的な力で突き飛ばしてしまったのだ。


(こんな事、前にもあったな。女性特有の感が働くのかな)


ヒカリは、精霊であるにもかかわらず、女性の「見てはいけないものを見た」という直感的な拒否反応に弾かれたことに、内心で苦笑した。


ソフィアの悲鳴に、仲間たちの声が届いた。

「ソフィア大丈夫か?」


「大丈夫です。転びそうになっただけです」


「気を付けろよ」


「はい」


ソフィアの悲鳴にすぐに反応したパーティーに対して、ヒカリは呟く。


「いいパーティーだね」


「あ、はい」


「でも突き飛ばされたのは別だからね」

ヒカリはプンプンとほっぺを膨らましていた。


「えー、ごめんなさい」

ソフィアがパーティーに合流すると、新たな敵と対峙していた。


「そろそろ準備頼む」


「はい」


ヒカリはボソっと呟く。

(これ待つの時間かかるな)


ヒカリは、パーティーを観察していたが、急いでいるのでどうするか考えていた。


(ソフィアたちの目的は嘆きの雫だから、抜いてもいいんだろうけど)


「ねーねーソフィア、目的は、嘆きの雫だよね」


「そうです」


「なら雑魚はいらないよね?」


「あ、はい」


「分かった」

ソフィアはヒカリの言葉に不安を感じる。


「あのー、また何かやろうとしてませんか?」

ヒカリはソフィアの問いにニコリと笑う。


ヒカリの笑顔にソフィアは警戒する。

(絶対に何かやる気だ)


「ソフィア、そろそろやるぞ。集中しろ」

前衛からソフィアに檄が飛ぶ。


「あ、はい」

ソフィアはヒカリを警戒しつつも集中すると、盾役より合図が出る。


「今だ、ソフィア!」


「はい」


「聖なる光よ、万象を包み、すべての穢れを祓え! ホ……え?」


ソフィアが詠唱中に、ヒカリがソフィアの手にそっと自分の手を乗せた。


驚いたソフィアの詠唱が止まった。その時、ヒカリはソフィアを見てニヤリとすると、ソフィアに魔力を流し込み叫んだ。


「ホーリーサークル・ターボ!」


盾役の周りの足元に展開していた魔法陣が消えると、塔全体を包む巨大な魔法陣が出現し、金色の魔力が塔全体を包みこんだ。


次の瞬間、塔にいた全てのアンデッドが浄化され静寂が訪れる。アンデッドを一掃されたパーティーメンバーは、何が起こったのか理解できず、呆然と立ち尽くしていた。


「な、何だ、今の!?」

盾役が叫んだ。

 

ソフィアは、自身の体に流れ込んできた途方もない魔力と、それが引き起こした現象に、腰が抜けて座り込んでしまった。


ヒカリは手を放し、満足そうに言う。

「これで最上階のボスまで、すぐに行けるよ。時間の節約!」


そして、ヒカリは座り込んでいるソフィアにニコリと微笑んだ。


「あ、もしかしたらボスも浄化されたかもしれないからお早めにね」

ヒカリはソフィアに助言を残した。

 

最上階にいるはずのボスも、広範囲の浄化魔法に巻き込まれた可能性が高いと推測したのだ。


「またね、ソフィア」


ヒカリはソフィアに手を振ると、すぐさま最上階のさらに奥にある隠し部屋へ急いだ。嘆きの涙は、最上階のボスではなく、隠し部屋のボスからドロップするアイテムだからだ。


「隠し部屋のボスも浄化されたかな」


ヒカリは淡い期待を抱きながら、隠し部屋へと続く隠された通路を探し始めた。


一方、ソフィアとパーティーメンバーは未だに事態を理解できていなかった。


「ソ、ソフィア、今のは……」盾役が震える声で尋ねる。


「光精霊さんが、私の魔法に……光精霊さんの魔力を足したみたいです……」


ソフィアは立ち上がり、ヒカリが去っていった方向を呆然と見つめた。彼女の手に残る、ヒカリの光の魔力の残滓は、あまりにも強大で、非現実的だった。


「あ、光精霊さんがボスまで、浄化されたかもって言ってました」


「な!行くぞ!最上階だ!ボスが消えていれば、昇級試験はクリアだ!」


状況は理解できないものの、結果として試験クリアの可能性が高まったため、パーティーは慌てて最上階へと駆け上がっていった。

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